魔法小学生。

夕凪 伽夜

文字の大きさ
上 下
12 / 13

11話♥最後の手紙

しおりを挟む
「ねえ、あなた」
私はビックリした、前に殺そうとしたやつが自分から話しかけにくるなんて。
「なっ何の用だよ。」
私は少し怯えながら話した。
「私は…もう死ぬの…だから…」


(ガチャ…)
玄関の扉を静かに開ける。
家の中は静かだった、お母さんもどうやら気付いていないようだ。
私は部屋に入ってともえさんに言われた通り、手紙を読んだ。

「はなみちゃんへ。この手紙をはなみちゃんが読んでいる時には、もう私は死んでると思います。今まで色んな事があったね、確か出会いは学校の裏だっけ?まぁいいや!実はめいなに協力してくれって言われた時に教えてもらったんだよね…魔法小学生になった人は小学生までしか生きれないって…その事はなみちゃんに言ったら、はなみちゃんはいい子だからきっと悲しんじゃうかなって思って言わなかったの、本当にごめんね。はなみちゃんをいじめっ子から助けた時はやっとヒーローになれたんだなって、すっごく嬉しかった。最初は怯えながら見てるだけだったけどね…。めいなも復讐ができたら、きっと幸せに眠るんだろうね、私ははなみちゃんといれてすごく楽しくて、さ。もう毎日毎日幸せだったよ!だから卒業式の日までしか生きれないって聞いた時はもうはなみちゃんとお話出来なくなっちゃうんだ…ってすごい悲しかった。はなみちゃんは優しいし、きっと真のヒーローになれるよ。もしネコが私達を騙してるのだとしても人の役に立てることが大事!それこそ魔法少女!頑張ってね!はなみちゃん、大好きだよ!!    さゆりより」

涙がポツリと零れた、あのネコに騙されていたのを知ってた上でもさゆりさんは魔法小学生として頑張っていたのだと。
「さゆりさん…」
ネコは恨みがある子にわざと"魔法小学生"などと言ってステッキを渡し、みんなが殺し合うのをただ楽しんで見ているのかもしれない。
そうなると、昨日見られていて…
「楽しんでいた…?」
許さない…あいつを絶対に許さない…。
夢を見させてただ殺し合いをさせる悪魔だ…。
私はさゆりさんの手紙を引き出しにいれて、大事しまった。
(プルルル…)
携帯電話がなった、すかさず出た。
「はっはい…」
誰の番号かはわからなかったが聞いた事のある声が聞こえた。
「はなみか?今病院なんだが、二人はもうダメらしい…。私達の寿命も限られてるみたいだな。」
ともえさんはあと1年、私はあと2年。
「私達…きっとやらないといけないと思うんです。」
私は決心して言った。
「あぁ…私達が残された寿命でやる事は…」
これ以上ネコに騙されてしまう犠牲者を出さない事、ただひとつ。
「そのためにはどうすれば…」
私はありとあらゆる事を考えたが、気まぐれに現れるネコにどう対処すればいいかわからなかった。
「あいつは皆に魔法のステッキを渡すぐらいだから、とんでもない魔法を使ってくるかもしれない…。それも私達じゃ対処できないくらいの、な。」
ネコを倒そうにもやっぱりともえさんと私の2人じゃ絶対無理だ。
「他の魔法小学生に協力してもらうというのは?」
私達二人じゃ叶わないなら、他の魔法小学生に協力してもらえばいんじゃないかとふと思った。
「相手が私達をどうみるか次第では命を落とすかもしれないけどな。」
…そうだった!
ともえさんのような…突然襲いかかってくる魔法小学生もいれば、恨みをもち殺しにかかってくる人もいる。
「敵視してくる魔法小学生もいますしね…」
「まぁどっちにしろやり方は協力してもらうしかない。敵視してきたらこっちもそれなりの対処をとればいい。」
こうして私達は他の魔法小学生に協力してもらってあの"悪魔"を倒す事にした。
「頑張ろうな、おやすみ。」
「はい、おやすみなさい。」


そんな…。
「私は…小学生までしか生きられないって事かよ!?」
さゆりが頷く。現実から目を背けたい、だがそんな事はできない。
「私も…まだまだやりたい事たくさんあるわ…でももうダメみたい…」
あのネコが蘇る、何だか怒りがわいてきた。
「私達の殺し合いを楽しんでたって言うのかよ…!?ふざけんなッ!!」
すかさずさゆりが私を止める、今は怒りで頭が回らなかった。
「私は…倒れたおばあちゃんを回復させるために頑張ってきたのに…」
私は両親に捨てられ、仕方なくおばあちゃんに預けられる事になった。
私はそんなおばあちゃんが大好きだから魔法小学生になって救うって誓って…。
そのために魔法小学生を殺してステッキを奪って、治癒できる能力じゃなけりゃ捨てて…。

「まぁどっちにせよ、私達は騙されてるわけで…」
さゆりは突然険しい表情をした。
「あなたに頼みたい事があるの…」
私はなんだよ?と答える
「はなみちゃん、あの時一緒にいた女の子。あの子をあなたに任せたいの」
つい、は?って言葉が出てしまった。
なんで私があいつなんかを?
「あの子は…酷いいじめに耐えながら今を生きてる。あなたの事はめいなから調べさせてもらったわ」
するとさゆりはポケットから書類らしきものを取り出した。
「過去にいじめられた経験があるのね?」
私はビックリして、少し間があいてからあぁそうだよと答えた。
「なら、きっと気持ちをわかってくれると思うの、いじめられる側の気持ち。」
すると昔のトラウマが蘇った。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

悪意のパーティー《完結》

アーエル
ファンタジー
私が目を覚ましたのは王城で行われたパーティーで毒を盛られてから1年になろうかという時期でした。 ある意味でダークな内容です ‪☆他社でも公開

【完結】20年後の真実

ゴールデンフィッシュメダル
恋愛
公爵令息のマリウスがが婚約者タチアナに婚約破棄を言い渡した。 マリウスは子爵令嬢のゾフィーとの恋に溺れ、婚約者を蔑ろにしていた。 それから20年。 マリウスはゾフィーと結婚し、タチアナは伯爵夫人となっていた。 そして、娘の恋愛を機にマリウスは婚約破棄騒動の真実を知る。 おじさんが昔を思い出しながらもだもだするだけのお話です。 全4話書き上げ済み。

7個のチート能力は貰いますが、6個は別に必要ありません

ひむよ
ファンタジー
「お詫びとしてどんな力でも与えてやろう」 目が覚めると目の前のおっさんにいきなりそんな言葉をかけられた藤城 皐月。 この言葉の意味を説明され、結果皐月は7個の能力を手に入れた。 だが、皐月にとってはこの内6個はおまけに過ぎない。皐月にとって最も必要なのは自分で考えたスキルだけだ。 だが、皐月は貰えるものはもらうという精神一応7個貰った。 そんな皐月が異世界を安全に楽しむ物語。 人気ランキング2位に載っていました。 hotランキング1位に載っていました。 ありがとうございます。

三歳で婚約破棄された貧乏伯爵家の三男坊そのショックで現世の記憶が蘇る

マメシバ
ファンタジー
貧乏伯爵家の三男坊のアラン令息 三歳で婚約破棄され そのショックで前世の記憶が蘇る 前世でも貧乏だったのなんの問題なし なによりも魔法の世界 ワクワクが止まらない三歳児の 波瀾万丈

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

ママと中学生の僕

キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。

理不尽な異世界への最弱勇者のチートな抵抗

神尾優
ファンタジー
友人や先輩達と共に異世界に召喚、と言う名の誘拐をされた桂木 博貴(かつらぎ ひろき)は、キャラクターメイキングで失敗し、ステータスオール1の最弱勇者になってしまう。すべてがステータスとスキルに支配された理不尽な異世界で、博貴はキャラクターメイキングで唯一手に入れた用途不明のスキルでチート無双する。

処理中です...