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第二十二章 願いは一つ 三

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     三

――「そなたの瞳は、やはり青色なのだな、と祖父様に言われた。おれは、どう答えたらよい?」
 苦い笑みを浮かべた親友に言うべき言葉を、エゼルチトは持たなかった。
(翡翠色の瞳だったロッソ一世陛下は、青い瞳の妃殿下を娶られた。やはり翡翠色の瞳だったロッソ二世陛下も、同じく青い瞳の妃殿下を娶られた)
 代々の執念が、親友を苦しめる。青い瞳に生まれてしまった親友には、オリッゾンテ・ブル国王になるしか、苦しみを撥ね除ける術がない――。
(そもそもの理由を作った王の宝ナーヴェ。恨んでも恨み切れないから、本当に破壊してしまいたかったんだがな……)
 返す返す、残念だ。
(尋問に、あれも来るだろうか……?)
 あの船自体は来たがるだろう。そういう性格だ。問題は、アッズーロがそれを許可するかどうかだ。
 エゼルチトの疑問に回答を与えるように、地下牢の通路から、複数の足音が響いてきた。


(やっぱり、ちょっとひんやりする……。アッズーロの言う通りだったね……)
 肉体というものは本当に繊細だ。ナーヴェは、傍らを歩くフィオーレが着せ掛けてくれた上着の前を掻き合わせ、ミエーレが地下牢の通路へ置いてくれた椅子に腰掛けた。
 前を進んでいたアッズーロとレーニョ、軍務担当大臣カヴァッロ伯ムーロ、将軍ファルコ、近衛兵のグーストとブイオは、エゼルチトが入れられている部屋の扉前で足を止める。陽気なグーストと慎重なブイオは、どちらもナーヴェと顔見知りで、出会えば話をする仲だ。アッズーロが、特に信用できる近衛兵として選んだのだろう。彼らの傍へ走り寄ったミエーレが、傍の篝火近くに椅子を置いた。どうやら、アッズーロは中へは入らないらしい。恐らくレーニョが小声でアッズーロに言い含め、ミエーレにも目で合図したのだ。
(よかった……。きみは、少しでも楽にしていてくれないと)
 安堵したナーヴェの視線の先で、グーストが鍵を使って扉を開け、ムーロとファルコ、ブイオが中へ入っていった。アッズーロは椅子に腰掛け、レーニョがその傍らに付き添う。そうして、尋問が開始された。
「あなたは、オンダ伯エゼルチトで相違ないですね?」
 ムーロが丁寧な口調で確認する。エゼルチトの声が、笑い含みに答えた。
「違うと言えば、どうなるのですか?」
「余計な時間が掛かるだけですな」
 ファルコが面白くもないというふうに告げた。
「記録を取っておりますので、話はできるだけ簡潔に願います」
 ブイオが硬い声音で口を挟んだ。
(彼らしい)
 ナーヴェはくすりと笑った。尋問などというものは、雑談も交えながら、捕虜の心を解して、あれやこれやと聞き出すものと記録しているが、ブイオにそのようなつもりは皆無らしい。目上のムーロやファルコに遠慮せず話すところも、ブイオならではだ。神経質なところのある黒髪の青年の仏頂面が、まざまざと思い浮かぶ。
(まあ、目上の人に対して遠慮がないのは、グーストも同じだけれど)
 暇な時には常に軽口を叩いている金髪の青年もまた、上官に対して遠慮がない。そして、王の宝であり王妃ともなったナーヴェに対しても、屈託なく話し掛けてくれる。最初にナーヴェが二人の名前を記録したのも、グーストに話し掛けられたことが切っ掛けだった。
(ただ、こういう面倒な場面では、グーストはできる限り黙っているだろうな……)
 ナーヴェが二人の近衛兵の様子を想像している間にも、尋問は進んでいく。自身がオンダ伯エゼルチトであることすら素直に認めない青年に、ムーロが単刀直入に問うた。
「では、あなたが今回、わが国内で行なったことは、誰の命令に拠るものですか? それとも、全て或いは一部は、あなたの独断に拠るものですか?」
「全て、わたしの独断です」
 即答したエゼルチトの声音は凜としていて頑なだ。
(絶対に、彼はそう言い通すだろうね……)
 ナーヴェは密やかに溜め息をついた。エゼルチトの第一優先はロッソだ。ロッソに迷惑の掛かるようなことは一切口にしないだろう。一昨日も、ナーヴェがアッズーロの治療に専念していた間、ファルコがエゼルチトの尋問を行なったが、大した成果は上げられなかったと聞いている。
(彼の口を割らせるには、ロッソをここに連れてくるか、口を割ったほうがロッソのためになると思わせるしかない……)
 ファルコは、一昨日の尋問で、その辺りをよく理解したはずなので、これから時間を掛けて上手く誘導していくだろう。
(一番に知りたいことは、反乱を起こしている人達の中に、エゼルチトの配下の人達が、どのくらいいて、どんなふうに動いているかだ)
 ロッソがエゼルチトの今回の行動に対して、どういう見解を持っているかについても知りたいが、そちらについては、ヴァッレの監督の下、ボルドが連絡員として努力していると聞く。じきに詳細が伝わってくるはずだ。
(ぼくが本体でエゼルチトと対面できれば、もっと簡単にいろいろと探れるんだけれど……)
 アッズーロは、絶対にそれを許さないだろう。
(ラーモはエゼルチトから引き離してあるし、他の部下の人も牢内の彼には近付けないから、もう人質を取られる心配はない……。不注意を装ってエゼルチトにぼくの存在を知らせて、本体との話に持ち込むという手段もある……。でも、それは、アッズーロとぼくの間にある心を踏みにじることになるよね……)
 演算して、ナーヴェは、もう一度密やかに溜め息をついた。まだまだ本調子ではないアッズーロに負担を掛ける訳にはいかない。
(ここは、ムーロとファルコに任せよう)
 結論を導き出すと、ナーヴェは改めて耳を澄ませた。
「ゼーロ、ベッリースィモ、ニード、ドゥーエ、キアーヴェ、ヌーヴォローゾ、タッソ、チーニョ、ダーチェ。この中に、知っている名はありますか?」
 ムーロが相変わらず丁寧に尋ねている。反乱を起こした人々の中心人物達の名だ。
(バーゼが掴んでいた人達よりも一人名前が増えている……。潜入しているルーチェが、新しく鳩で知らせてきたんだね……。ダーチェ、か……。どんな人なんだろう……)
「ベッリースィモについては、多少知っています」
 エゼルチトの返答に、ナーヴェは目を瞬いた。今日初めての、はっきりとした受け答えだ。ムーロも驚いたのだろう。一瞬間を置いてから、重ねて問うた。
「……どのようなことを知っているか、知っていることを全て話して下さい」
「フォレスタ・プルヴィアーレ・カルダ侯ズィンコの妹ジュディチェの息子ですよ」
 エゼルチトはすらすらと告げる。
「ズィンコの息子スターニョは、まだ二歳と幼い。ベッリースィモは自分に跡継ぎの地位が回ってくると思っていたようですが、ズィンコはベッリースィモの父の身分を理由に、それを認めなかった。ゆえに、強引な手段に出たようですね」
「つまり、ベッリースィモは、自らがフォレスタ・プルヴィアーレ・カルダ侯になるために、反乱に加わった、ということですか?」
 確かめたムーロに、エゼルチトは笑い含みに応じた。
「さて。そこまでは存じません。ただ、風の噂では、国王になる野望を懐いているとも聞きました」
「『風の噂』ではなく、具体的に誰から、と教えて下さい」
 ムーロは冷静に食い下がったが、エゼルチトは、それ以上、何一つ確たることは言わず、時間が過ぎた。
(そろそろムーロがファルコへ、尋問役を交代するかな……?)
 ナーヴェが予測した時、不意に、それまで黙っていたアッズーロが扉の外から口を挟んだ。
「よい。一先ずそこまでにしておけ」
「「――御意のままに」」
 ムーロとファルコは、鼻白んだような声で了解し、ブイオとともに部屋から出てくる。最後に出てきたグーストが丁寧に扉の鍵を閉め、尋問は一端終了となった。
「どうして、早々に尋問を終わらせたんだい?」
 地下から地上へ出る道すがら、ナーヴェは王に尋ねた。
「時間の無駄だからな」
 アッズーロは眩しい日差しに目を眇めながら言う。
「奴には、あれ以上を話す気がない。拷問しても、碌な情報は出てこんだろう。それよりは、大臣会議で情報交換し、今後の戦略を練るほうが、時間の使い方として有効だ」
「まあ、そうだね」
 納得したナーヴェの肩を、つとアッズーロが抱き寄せた。
「そなたは、このまま寝室へ戻るがよい。会議が終わるまで、暫し休んでいよ」
 囁くように命じられて、ナーヴェは王の顔を見上げた。見下ろしてくる青空色の双眸には、有無を言わさぬ感情が浮かんでいる。
「……きみも、まだ安静が必要なんだよ? 無理は禁物だよ?」
 それだけ言い返すのがやっとだった。
「分かっておる」
 アッズーロは頬を弛め、微笑む。
「そなたの通信端末を持っていくゆえ、会議の模様は聞いておくがよい」
「それは、きみが言い出さなかったら、お願いしようと思っていたことだけれど……」
 ナーヴェはもどかしく、特別に愛する相手に訴える。
「ぼくは、きみの傍にいたいんだ。この肉体の手を伸ばせば、きみに触れられる距離にいたいんだ。だから、地下牢にもついて行った。きみが心配なんだ。きみと、離れたくないんだよ……!」
 アッズーロは軽く目を瞠ってから、ナーヴェの背中へ両腕を回して、痛みのない程度に強く抱き締めてきた。
「――われも、そなたと離れたくはない。だが、わが子を身篭もってくれたそなたの体を、大事にしたいのだ。無理をさせたくないのだ」
「……うん、理解しているよ」
 動く左腕でアッズーロを抱き返し、その胸に顔を押し付けて、ナーヴェは答えた。理解している。理解はしている。ただ、心配なのだ。不安なのだ。
「……そのように憂えた顔を致すな。子には、母の笑顔こそが必要だ。朝にも言うたが、テゾーロのためにも、セーメのためにも微笑んでおるがよい」
 顔を覗き込むようにして窘められ、ナーヴェは小さく頷いた。
「……努力、するよ……」
 直後、顎に手を添えられて上向かされ、口付けられた。
「っ……ん……」
 周りには、フィオーレもミエーレも、レーニョもグーストもブイオもいる。会議室へ急ぐムーロとファルコも、まだ遠くへは行っていないはずだ。しかも、白昼の庭園である。だが、アッズーロは青空の下、深くナーヴェに口付けた。舌を舌で愛撫する甘く長い口付けに、両足から力が抜けていく。
「……ぁ……はっ」
 崩れ落ちそうになったナーヴェの体を抱き支え、口付けを終えたアッズーロは、再び見下ろしてきて、優しく宣言した。
「そなたの傍以外では絶対に死なぬ、という誓いの口付けだ。違えぬゆえ、安心するがよい」
「――ぼくの傍でも、死んだら駄目だよ……」
 その時、確実に訪れる悲嘆と暴走については、演算したくもない。必死に請うたナーヴェに、青年王は、にっと、いつもの笑みを見せた。
「それは、そなたの努力義務だ。その明晰なる思考回路で考え、さまざまに手を打つがよい」
「――分かった。今まで以上に、ぼくの全力を尽くすよ」
 ナーヴェは、しっかりと青年王を見つめ返し、最大限の約束をした。


「――大事にする、とは難しいものだな……」
 会議室へと歩きつつ、呟いた幼馴染みの王に、肩を貸すレーニョは労る目を向けた。王の宝ナーヴェは、目に見えて不安定になっている。それが、この幼馴染みを案じてだということは、傍目にも明らかだ。
「陛下は、近頃は充分、大事になさっておられます」
 レーニョが慰めを口にすると、幼馴染みは鼻を鳴らした。
「あのように憂えた顔をさせておいて、『大事にする』もない」
 自嘲した王の横顔にこそ、深い憂いが表れている。
「われの、その場凌ぎの言葉になぞ、何の確証も得られんだろうに、あのように無理に了解して、全て呑み込もうとしておる。そうさせてしまう己の力不足が歯痒いことだ……」
 アッズーロが自己嫌悪めいたことを他人に話すなど、滅多にないことだ。
「本当に、陛下は、近頃は充分、ナーヴェ様を大事になさっておられます」
 レーニョは懸命に力説した。途端に、アッズーロが胡乱げな目付きでこちらを見てくる。
「おまえ、『近頃は』と随分強調するではないか」
「それは――」
 無意識の内に、本心を吐露してしまっていた。言葉に詰まったレーニョに、アッズーロは、ふっと笑った。
「よい。それはわれも同感だ。あやつに肉体を持たせた当初は、われは少しもあやつを大事にしておらなんだ。今ならば、パルーデの許にあやつを行かせるなぞ、考えただけで虫唾が走るわ」
「あの一ヶ月間は、毎夜、ナーヴェ様を案じて、碌に眠れませんでした……」
 夜中にパルーデの訪れがなかったと聞いた朝は、心底嬉しかったものだ。
「――おまえにも、苦労を掛けたな」
 不意に労われて、レーニョは、まじまじと幼馴染みの双眸を見た。だが、青空色の双眸は、会議室へ通じる通用口へと、すぐに逸らされてしまった。
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