上 下
64 / 105

第十六章 王として 三

しおりを挟む
     三

〈到着した〉
 沈黙を破って告げ、ナーヴェ本体は降下を始めた。行きよりは随分と穏やかに王城の庭園へ着陸し、全員の座席帯を外して扉も開ける。アッズーロは立ち上がり、操縦席のナーヴェの肉体を、注意深く抱き上げた。
「……ごめ……ん」
 微かに肉体の口を動かし、ナーヴェが謝る。右肩の包帯は既に全て血に染まり、白い腕を血が伝っている。相当痛むはずだ。
「済んだことはよい。それよりも、治療に専念せよ」
 言い聞かせて、アッズーロは惑星調査船を降りた。
「陛下、ナーヴェ様!」
 フィオーレが珍しく大きな声を上げて、レーニョとともに走り寄ってくる。アッズーロは玄関へ歩きながら、それぞれに命じた。
「フィオーレ、メーディコに銃創の手当ての準備をさせて寝室へ連れて参れ。レーニョ、バーゼを大臣会議に参加させて反乱民どもの内情を報告させよ。われはナーヴェの体調が落ち着き次第行く」
「はい、ただちに!」
「仰せのままに」
 フィオーレとレーニョは、各々一礼し、命令を遂行するため、また走っていく。アッズーロはそのまま足を緩めることなく玄関を入り、階段を上がり、回廊を歩いて、寝室へ直行した。腕に抱えたナーヴェは、つらそうな表情で目を閉じたままだ。その顔を見ていると、胸が掻き毟られるような気持ちになる。ナーヴェは「彼ら」と言った。つまり、一人の狼藉ですらなかったのだ。何故、これほどの重症を負ったいたいけな少女に、輪姦などという悍ましいことができたのだろう。
(われは許さん……! そなたが何と言おうと、われは、あやつらを許さんからな……!)
 アッズーロは怒気を表情に上らせながら寝室に入り、出迎えたポンテには目もくれず、ナーヴェの寝台に歩み寄った。右肩に負担が掛からないよう、ゆっくりと寝かせ、乱れた長く青い髪を直してやる。重症を負った宝に対し、自分は、そのくらいしかできない――。
「陛下、お待たせ致しました」
 診察道具の入った鞄を抱えたメーディコが、急ぎ足で入ってきた。その後ろには肩で息をしているフィオーレもいる。まるで自分が大怪我を負ったような悲壮な表情だ。
「出血が酷い。骨折もしているらしい。弾は抜いたが、その際、焼いた火箸を使った所為で、火傷も負ったそうだ」
 アッズーロは告げながら、寝台脇の場所をメーディコに譲った。
「分かりました。とにかく、まずは診てみます」
 メーディコは寝台の端に置いた鞄から鋏を取り出し、ナーヴェの包帯を切って丁寧に外していく。顕になっていく酷い傷口に、アッズーロは唇を噛んだ。
 深い穴のような銃創からは、鮮血が溢れ続けている。銃創の周囲は、ところどころ引き攣れたような火傷になっている。その傷口を更に開くようにして、メーディコが覗き込んだ。
「あっ、うっ……」
 ナーヴェが呻いて身を捩る。アッズーロは思わずメーディコの肩に手を掛けた。
「やめぬか! 痛がっておるではないか!」
「いい……から、アッズーロ……」
 息も絶え絶えに、ナーヴェが口を挟んでくる。
「メーディコ……は、きちんと、診てくれようと、しているだけ……」
「申し訳ございません。ですが、今暫くの御辛抱を」
 メーディコは、ナーヴェとアッズーロ双方に向けて頭を下げ、診察を続けた。ナーヴェは、声を上げまいとしてか、歯を食い縛って耐えている。ぎゅっと閉じたその目尻から、涙が溢れて耳のほうへ流れていく。アッズーロは寝台の反対側へ回り込み、指先で、流れる涙を拭ってやった。自分には、そのくらいのことしかできない――。
 傷口を覗き終えたメーディコは、次に、そっと右肩全体を触診し始めた。それもまた痛むのか、ナーヴェは殆ど息を止めて耐えている。
「少し動かします」
 メーディコが前置きして右腕を掴み、僅かに動かした時には、ナーヴェは頭を振って涙を零した。
「――やはり、折れておりますな」
 沈痛な面持ちで、メーディコはナーヴェから手を離し、診断結果を述べる。
「出血、火傷、骨折。どれも酷うございます。特に骨折は、常人であれば、一生涯、肩が上がらなくなるほどの複雑骨折をなさっておられます。とにかく、一切動かさぬように固定し、薬草を貼り、朝夕包帯を変えるしか手の施しようがございませぬ。後は、ナーヴェ様御自身の、驚異的な回復力に頼るのみです。傷口は、火傷の痕が残らぬよう、できるだけ綺麗に整え、縫いましょう。わたくしにできるのは、そこまででございます」
 冷静に締め括った侍医に、アッズーロは文句を言った。
「結局、殆どナーヴェの極小機械頼みではないか」
「さようでございます」
 殊勝に、メーディコは頷く。
「このお方は、いつもいつも、無茶をなさい過ぎます。もっと御身大切にと申し上げたいところではございますが、それは陛下が充分に仰っておられますでしょう。わたくしにできることと言えば、誠心誠意、御快復のお手伝いをする、ただそれだけにございます」
 小柄な壮年の侍医の、丸い顔に浮かんだ慈愛の表情を見て、アッズーロは溜め息をついた。
「よい。分かった。では、おまえにできることを最大限致せ」
「仰せのままに」
 メーディコはすぐに自らの鞄を開いて、縫合用の針と糸、消毒のための酒精の瓶、替えの包帯、薬草類などを取り出して、寝台脇の小卓の上に並べていった――。


 右肩の銃創をメーディコに丁寧に治療されたナーヴェは、幾分落ち着いた様子で目を開いた。
「メーディコ、ありがとう。凄く綺麗に縫って貰ったと分かるよ。いつもいつも、大変な治療ばかり頼んでごめん」
「いえいえ」
 メーディコは、小さな両眼を細めて、優しくナーヴェを見下ろす。
「多少なりともあなた様のお役に立てる。それだけで、身に余る光栄でございます、ナーヴェ様。よくお分かりでしょうが、右肩は動かさず、絶対安静に。暫くは御不自由でしょうが、耐えて下され」
「うん。分かったよ」
 素直に返事をしたナーヴェに一礼し、アッズーロにも一礼して、メーディコは鞄を持ち、退室していった。それを見送ったナーヴェは、深い青色の双眸で、アッズーロを見上げてくる。
「アッズーロ……、できれば沐浴をして、体を洗いたいんだけれど、いいかな……?」
「そなた、今、メーディコに『絶対安静に』と言われたばかりであろう?」
 眉をひそめて歩み寄り、アッズーロは最愛の顔を覗き込んでから、その全身を見遣った。右肩だけは綺麗にされたが、ナーヴェはまだ血と埃に汚れた長衣を纏ったまま、下半身には何も穿いていない。
「着替えついでに、フィオーレに体を拭かせる。それでは駄目なのか?」
「……もっと……、きちんと洗いたいんだ……。それに……、できれば、きみに洗ってほしい……。きみが、できるだけ早く大臣会議に出なければいけないのは、知っているんだけれど……」
 言いにくそうな宝の様子に、アッズーロは目を眇め、了承した。
「分かった」
 包帯の上から木製の固定具で固定された右肩に注意しつつ、アッズーロはナーヴェを抱き上げる。戸口へと歩き始めながら、アッズーロは控えているポンテとフィオーレに命じた。
「ポンテ、ナーヴェの着替えを持ってついて参れ。フィオーレ、ナーヴェの掛布と敷布と枕を取り換えよ」
「仰せのままに」
「畏まりました」
 それぞれ一礼して、女官達も動き始めた。
 二階の回廊から階段を降り、アッズーロはナーヴェを抱えて沐浴場へ入る。円形をした広い人工の水場には、いつも通り澄んだ水が並々と湛えられていた。その端に設けられた段の一つに、下半身が水に浸かるよう慎重にナーヴェを座らせ、その横に、自身は衣を着たままアッズーロも座る。
「まずは衣を脱がせるぞ」
 告げて、アッズーロは腰帯に差した小刀を抜き、襤褸雑巾のようになっている長衣と、土と血に汚れた胸当てを切り裂いて脱がせた。その残骸を水場の淵に置き、小刀を収めて、アッズーロは隣からナーヴェの顔を見つめる。
「綺麗にしたいのは、ここか……?」
 水の中で左手を動かし、白い足の間に触れると、ナーヴェは泣きそうな表情になって、こくりと頷いた。
「馬鹿者め……。そういうことは、もっとさっさと言うがよい」
 低い声で叱って、アッズーロは右手を動かし、傷ついた右肩に気を付けながら、そっと華奢な上半身を抱き寄せる。されるがまま、アッズーロの胸に頭を押し付けたナーヴェは、俯いて、ぽろぽろと涙を零し始めた。
「そなた、本当に、人らしくなったな。そういうところを、あまり隠さぬがよい。特に、われにはな」
 囁いたアッズーロに、宝は小さな声で疑問を呈してきた。
「何故……? こんな時に涙を流しても、きみを苛立たせたり悲しませたりするだけで、何の益もないのに……。これは、ただの不具合だよ。せっかく新しい本体になったのに、ぼくはまだ、不具合を起こしてしまう……」
「以前にも言うたであろう?」
 アッズーロは、静かに言い聞かせる。
「『不具合』もまた、そなたの学習の一つだ、と。そなたはそうして、一歩一歩、人らしくなっていくのだ。だから、そなたの人らしくなっていく道のりを、隠さずわれに見せるがよい。そなたはわれの宝ゆえ、われは全てを見たいのだ」
「何の益もなく、涙を流すところまでかい……?」
 頑固な宝はなかなか納得しない。アッズーロは小さく溜め息をつき、わざと明るく茶化してみた。
「そなたが益のある涙なぞ流し始めたら、さぞ見物であろうな」
 ところが、宝は俯いたまま生真面目に応じた。
「――できるよう、努力するよ……」
「たわけ。戯れ言を真に受けるでない」
 憮然として、アッズーロは再度言い聞かせる。
「涙に益なぞ求めぬわ。そなたがわれの前で泣く。涙を見せる。その事実に意味があるのだ。他の者の前では泣かぬがよいぞ。その泣き顔は、われ一人のものだ」
「……きみは本当に、変わっているね……」
 淡々と呟いたナーヴェの涙は、ぽたぽたと零れ続けて止まらない。アッズーロは水中の左手で、無慈悲に他の男達に暴かれてしまったところを優しく愛撫し、指先を使って、間まで、中まで、できる限り清めていった。


「……もう、大丈夫。ありがとう、アッズーロ」
 囁いてきて顔を上げたナーヴェに、アッズーロは軽く口付け、問うた。
「本当に大丈夫か? もっと甘えてよいのだぞ?」
「本当に大丈夫だよ。それに、これ以上、きみの時間を奪うことはできない。大臣達が、国民が、きみの裁定を待っているよ」
 最愛は柔らかく微笑んで、政務に戻ることを促した。
「全く、そなたはでき過ぎた妃だ」
 アッズーロはぼやいて、傷ついた細い体を注意深く抱き上げ、水場から出る。控えていたポンテがすぐに寄ってきて、手に提げた篭から大きな布を取り出した。体を拭くためのものだ。アッズーロは、水場の脇の台にナーヴェを座らせ、ポンテから布を受け取ると、自ら最愛の体を拭いていった。右肩に障るといけないので、水には下半身しか浸からせていないが、胸の頼りない突起も洗い清めたので、そこも優しく拭いてやる。腫れは少し引いたが、血の滲んだ歯型がまだくっきりと残っているのが腹立たしい。
「――あやつらを殺しはせん。だが、いずれは捕らえて罪を償わせるぞ」
 アッズーロが宣告すると、宝は寂しげな表情で頷いた。
「うん。それは仕方ないと思っている。でも、どうか、彼らの未来に繋がる償い方を与えてほしい」
 アッズーロは鼻を鳴らしたが、反論はせず、ポンテに布を返し、替わりに胸当てを受け取って、ナーヴェの幼げな胸を覆い、真ん中を結んだ。次いで、下袴を受け取り、ナーヴェを自らの肩に掴まり立ちさせて、片足ずつ通して穿かせ、紐を括ってやる。
「きみは王なのに、結構何でもできるよね……。テゾーロの世話も、器用にこなすし」
 ナーヴェが、感心したように呟いた。
「ほぼ毎日そなたの着替えを見ておるのだ。できんほうがおかしいだろう」
 憮然として言い返し、アッズーロは手早く筒袴も穿かせて、ナーヴェを座らせる。長く青い髪の上から、すっぽりと長衣を被らせ、頭を出させてから髪も出してやり、左袖だけ腕を通させて、裾を引き下ろした。
「右肩に負担の掛からん衣を仕立てさせたほうがよいか……」
 顎に手を当て、考えたアッズーロに、ナーヴェが苦笑する。
「わざわざいいよ。こうして袖を通さず着ていれば、負担は掛からないから」
「御遠慮なさらず、ナーヴェ様。衣の一つや二つ、すぐ縫えますよ」
 横からポンテが口添えしてきた。
「でも……」
 ナーヴェはすまなそうな顔をする。
「その分、きみ達が忙しくなるだろう?」
「では、暇な時にさせて貰いますよ。それなら宜しいでしょう?」
 ポンテは、さすがの貫禄で王の宝を言いくるめてしまった。
「分かった。ありがとう」
 律儀に礼を述べた宝を抱き上げ、アッズーロは立ち上がる。自身の下半身はまだ筒袴ごと濡れたままだが、上半身でナーヴェを抱き抱える分には、何の問題もない。
「きみは着替えないのかい? 風邪を引いてしまうよ」
 ナーヴェのほうが気にしてきたが、アッズーロは鼻を鳴らして言った。
「人の心配をしたければ、まずは己の体を己で世話できるようになるがよい。この右肩、上がらぬようになるは許さぬぞ」
「……努力するよ……」
 しゅんとして、宝はアッズーロの腕の中で項垂れた。そんな姿が、堪らなく愛おしく大切で、だからこそ、傷つけられたことが許せない。
「――そなたを、ずっとわが寝室に閉じ込めて、誰にも触れさせんようにできれば、どんなによかったか……」
 つい心の声を漏らしたアッズーロを、ナーヴェは驚いたように見上げてきて、真顔で指摘した。
「それなら、きみはぼくに肉体を持たせるべきではなかった」
 鋭い言葉に、アッズーロはナーヴェの澄んだ双眸を見つめ返して黙る。すると、最愛はふっと頬を弛めて告白した。
「でも、ぼくはこうして肉体を持てて、とても嬉しいんだ。きみに、とても感謝している。肉体を持てたお陰で、ぼくは多くの人と関わることができている。人の痛みも喜びも、より深く知ることができた。きみと繋がって、生命の連鎖の一端に連なることすらできた。だから、ぼくにとっても、この肉体は大切なんだ。できる限り、完治を目指すよ」
「――ならばよい」
 不覚にも目頭が熱くなったアッズーロは、ナーヴェから視線を逸らすと、沐浴場を出て階段を上がり、西日が差す回廊を歩いて寝室へ戻った。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

夫の色のドレスを着るのをやめた結果、夫が我慢をやめてしまいました

氷雨そら
恋愛
夫の色のドレスは私には似合わない。 ある夜会、夫と一緒にいたのは夫の愛人だという噂が流れている令嬢だった。彼女は夫の瞳の色のドレスを私とは違い完璧に着こなしていた。噂が事実なのだと確信した私は、もう夫の色のドレスは着ないことに決めた。 小説家になろう様にも掲載中です

仲の良かったはずの婚約者に一年無視され続け、婚約解消を決意しましたが

ゆらゆらぎ
恋愛
エルヴィラ・ランヴァルドは第二王子アランの幼い頃からの婚約者である。仲睦まじいと評判だったふたりは、今では社交界でも有名な冷えきった仲となっていた。 定例であるはずの茶会もなく、婚約者の義務であるはずのファーストダンスも踊らない そんな日々が一年と続いたエルヴィラは遂に解消を決意するが──

お飾り公爵夫人の憂鬱

初瀬 叶
恋愛
空は澄み渡った雲1つない快晴。まるで今の私の心のようだわ。空を見上げた私はそう思った。 私の名前はステラ。ステラ・オーネット。夫の名前はディーン・オーネット……いえ、夫だった?と言った方が良いのかしら?だって、その夫だった人はたった今、私の足元に埋葬されようとしているのだから。 やっと!やっと私は自由よ!叫び出したい気分をグッと堪え、私は沈痛な面持ちで、黒い棺を見つめた。 そう自由……自由になるはずだったのに…… ※ 中世ヨーロッパ風ですが、私の頭の中の架空の異世界のお話です ※相変わらずのゆるふわ設定です。細かい事は気にしないよ!という読者の方向けかもしれません ※直接的な描写はありませんが、性的な表現が出てくる可能性があります

【完結】気付けばいつも傍に貴方がいる

kana
恋愛
ベルティアーナ・ウォール公爵令嬢はレフタルド王国のラシード第一王子の婚約者候補だった。 いつも令嬢を隣に侍らす王子から『声も聞きたくない、顔も見たくない』と拒絶されるが、これ幸いと大喜びで婚約者候補を辞退した。 実はこれは二回目人生だ。 回帰前のベルティアーナは第一王子の婚約者で、大人しく控えめ。常に貼り付けた笑みを浮かべて人の言いなりだった。 彼女は王太子になった第一王子の妃になってからも、弟のウィルダー以外の誰からも気にかけてもらえることなく公務と執務をするだけの都合のいいお飾りの妃だった。 そして白い結婚のまま約一年後に自ら命を絶った。 その理由と原因を知った人物が自分の命と引き換えにやり直しを望んだ結果、ベルティアーナの置かれていた環境が変わりることで彼女の性格までいい意味で変わることに⋯⋯ そんな彼女は家族全員で海を隔てた他国に移住する。 ※ 投稿する前に確認していますが誤字脱字の多い作者ですがよろしくお願いいたします。 ※ 設定ゆるゆるです。

お腹の子と一緒に逃げたところ、結局お腹の子の父親に捕まりました。

下菊みこと
恋愛
逃げたけど逃げ切れなかったお話。 またはチャラ男だと思ってたらヤンデレだったお話。 あるいは今度こそ幸せ家族になるお話。 ご都合主義の多分ハッピーエンド? 小説家になろう様でも投稿しています。

まだ20歳の未亡人なので、この後は好きに生きてもいいですか?

せいめ
恋愛
 政略結婚で愛することもなかった旦那様が魔物討伐中の事故で亡くなったのが1年前。  喪が明け、子供がいない私はこの家を出て行くことに決めました。  そんな時でした。高額報酬の良い仕事があると声を掛けて頂いたのです。  その仕事内容とは高貴な身分の方の閨指導のようでした。非常に悩みましたが、家を出るのにお金が必要な私は、その仕事を受けることに決めたのです。  閨指導って、そんなに何度も会う必要ないですよね?しかも、指導が必要には見えませんでしたが…。  でも、高額な報酬なので文句は言いませんわ。  家を出る資金を得た私は、今度こそ自由に好きなことをして生きていきたいと考えて旅立つことに決めました。  その後、新しい生活を楽しんでいる私の所に現れたのは……。    まずは亡くなったはずの旦那様との話から。      ご都合主義です。  設定は緩いです。  誤字脱字申し訳ありません。  主人公の名前を途中から間違えていました。  アメリアです。すみません。    

王妃の仕事なんて知りません、今から逃げます!

gacchi
恋愛
側妃を迎えるって、え?聞いてないよ? 王妃の仕事が大変でも頑張ってたのは、レオルドが好きだから。 国への責任感?そんなの無いよ。もういい。私、逃げるから! 12/16加筆修正したものをカクヨムに投稿しました。

【完結】殿下、自由にさせていただきます。

なか
恋愛
「出て行ってくれリルレット。王宮に君が住む必要はなくなった」  その言葉と同時に私の五年間に及ぶ初恋は終わりを告げた。  アルフレッド殿下の妃候補として選ばれ、心の底から喜んでいた私はもういない。  髪を綺麗だと言ってくれた口からは、私を貶める言葉しか出てこない。  見惚れてしまう程の笑みは、もう見せてもくれない。  私………貴方に嫌われた理由が分からないよ。  初夜を私一人だけにしたあの日から、貴方はどうして変わってしまったの?  恋心は砕かれた私は死さえ考えたが、過去に見知らぬ男性から渡された本をきっかけに騎士を目指す。  しかし、正騎士団は女人禁制。  故に私は男性と性別を偽って生きていく事を決めたのに……。  晴れて騎士となった私を待っていたのは、全てを見抜いて笑う副団長であった。     身分を明かせない私は、全てを知っている彼と秘密の恋をする事になる。    そして、騎士として王宮内で起きた変死事件やアルフレッドの奇行に大きく関わり、やがて王宮に蔓延る謎と対峙する。  これは、私の初恋が終わり。  僕として新たな人生を歩みだした話。  

処理中です...