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第十二章 相まみえる 四

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     四

 溢れて、目尻から耳へ流れた涙の感触で目が覚めた。明るい朝日が、高い小窓から差し込んでいる。
(今のは……、ぼくの涙ではなくて……姉さんの……)
 思考回路で記録が再生されていた。ナーヴェの知らない、けれど優しげな男の姿があった。その男を思って、涙が出たのだ。
(あの人が、姉さんが狂った理由――)
 また、涙が流れる。思考回路に残った姉の余波が、涙を流させる。
 つい、と指が伸びてきて、目尻の涙を拭った。
「大事ないか?」
 アッズーロが、顔を覗き込んでくる。随分と心配させたのだろう。
「うん、大丈夫。言っていなかったけれど、磔刑の後、この体を蘇らせた時に、お産に向けて、かなり丈夫に創り直したから」
 告白すると、青年王は眉をひそめた。
「そなたは、言うておらぬことが多過ぎる」
「ごめん……。余計に期待させてしまうのも、余計に心配させてしまうのも、嫌だから、つい」
 詫びるより他にない。
「許さん」
 青年王は呟いて、ナーヴェの頬を撫で、覆い被さってきた。些か乱暴な口付けを、ナーヴェは目を閉じて、大人しく受け入れる。長く深い口付けからは、アッズーロの傷心が伝わってくるようだった。
 やがて静かに口付けを終えた青年王は、もう一度ナーヴェの頬を撫でてから、問うてきた。
「起き上がれるか?」
「うん」
 姉に抵抗を試みた所為で、体に疲れは残っているが、日常生活に支障はない。ナーヴェはゆっくりと上体を起こし、夜着の長衣を脱ぎ始めた。
「その姿、自制している身には、目の毒だな」
 アッズーロはぼやいてから、衝立の向こうへ声を掛けた。
「ルーチェ、妃の仕度を手伝うがよい」
「仰せのままに」
 疾うに身仕度を終えているルーチェが衝立を回ってきて、ナーヴェの着替え、洗面、髪梳き、と甲斐甲斐しく動く。いつものように、されるがまま、言われるがままに身を任せて、ナーヴェは、思考回路に保存したチュアンの記録を再生していった。ナーヴェが構築したものを、姉は防衛機構とのみ捉えたようだが、正しくは防衛諜報機構なのだ。
(交渉において、情報戦は重要だからね……)
 こちらの思考回路に姉が干渉してくる際、支配に抵抗しつつ、逆に姉の思考回路の情報をできるだけ取得できるようにしておいたのだ。最大限の抵抗をしたことが目くらましとなり、姉も情報を窃取されていることには気づかなかっただろう。
 取得した姉の記録は、悲哀に満ちていた。
(ああ、やっぱり、惑星を見つけて、降り立った後で……。ぼく達は、移民船として航行する間の想定は完璧にされていたけれど、惑星に到達した後の想定は不充分だった……。そう、緩やかな定着のための出産制限を破った人がいて……、船長としては、そうだよね……、刑罰を与えないといけない……。それで……、うん、姉さんの行動原理は、とてもよく理解できるよ……。ぼくでも、同じ状況に置かれたら、そうしたかもしれない……。そうか……、本当に優しい人だったんだね……。そうして現在の……。つらいね、姉さん……)
「ナーヴェ様、大丈夫ですか! おつらいのですか?」
 ルーチェが驚いたように、ナーヴェの髪を櫛梳る手を止めた。
「ああ、うん、ぼくは大丈夫」
 ナーヴェは、また溢れ出てしまった涙を、手で拭った。大丈夫でないのは、姉のシーワン・チー・チュアンだ――。
「ナーヴェ、行けるか?」
 身仕度を終えて歩み寄ってきたアッズーロを、ナーヴェは寝台に腰掛けたまま見上げた。
「どうした、泣いておるのか?」
 アッズーロは身を屈め、ナーヴェの涙を拭う。その指が優しい。その手が優しい。ナーヴェは、両手を伸ばして青年の胸に縋りついた。アッズーロは驚いたようだったが、すぐにナーヴェの背中に腕を回して、抱き締めてくれた。力強い腕の中で、段々と思考回路の混乱が収まっていく。
「――とても、悲しい夢を見たんだ……」
 一言告げてから、ナーヴェは尋ねた。
「姉さんは、今回、何を言ってきたの……?」
「このテッラ・ロッサから、わが国には帰らず、直接来いと言うてきた。それから……」
 アッズーロは幾分言いにくそうにしてから、付け加える。
「われに、いつになればそなたを抱くのかと問うてきおった。それを待っているのだと……。訳が分からん」
「……そう」
 ナーヴェは呟いて、暫くアッズーロの抱擁に浸ってから、顔を上げた。
「ありがとう、お陰で落ち着いた」
「そうか。ならばよいが。今日の会談は外せぬゆえな」
 アッズーロは珍しく歯切れ悪く言った。
「ぼくが行かないと、話が始まらないしね」
 ナーヴェは応じて、ルーチェが差し出した布靴を履き、床に立つ。
「昨夜、姉さんが来た時に、接続を利用して貴重な情報を入手したから、話せることがたくさんあるよ」
「そなた、あの折にそのようなことをしておったのか」
 呆れたように眉を上げたアッズーロに、ナーヴェは教えた。
「うん。ぼくの座右の銘は、『転んでもただでは起きない』だからね」
「成るほど。そなたらしい」
 アッズーロは微笑んで、ナーヴェの肩に手を回した。
 連れ立って、ルーチェも一緒に衝立を回り、卓のほうへ行くと、朝食の用意ができていた。
「おはようございます。陛下、ナーヴェ様。ナーヴェ様、お加減は如何ですか」
 ジョールノが真っ先に声を掛けてきた。他の面々も、皆案じる眼差しを向けてくる。
「昨夜は心配を掛けて、ごめん。もう大丈夫だよ」
 ナーヴェは、笑顔で全員を見回し、席に着いた。


 会談は、朝食後、宴の間で始められた。長卓を挟んで居並ぶ面々は、オリッゾンテ・ブル側が、アッズーロ、ナーヴェ、ペルソーネ、ジョールノ、ムーロ、ルーチェ、バーゼ、ボルド、ノッテ。テッラ・ロッサ側は、国王ロッソ三世、王妹の長女デコラチオーネ、次女リラッサーレ、三女ブリラーレ、将軍オンダ伯エゼルチト、四女シンティラーレ、近衛隊長を務める女将軍ジェネラーレ、工作員ソニャーレ、そして、フェッロがいた。
(あいつ、よく顔が出せたものだ……)
 ジョールノは無表情の下で思った。他には、記録官と侍従が一人ずつ控えている。工作員ソニャーレとフェッロは昨日の晩餐にはいなかったので、特にフェッロとは本当に久し振りの再会だ。
「フェッロ、元気にしていたかい?」
 会談の作法も何のその、喜びも顕に声を掛けた王の宝に、淡い金髪の青年は、翡翠色の双眸を伏せ、深々と頭を下げた。
「交渉材料が増えたな」
 不敵に呟いたアッズーロに肩を竦めて、王の宝はロッソへ目を向けた。
「昨夜は、みんなに迷惑を掛けてごめん。フェッロに会わせてくれてありがとう。さあ、話し合いを始めよう」
「主催者は、そなただ。存分に仕切るがよい」
 ロッソは苦笑するように応じた。
「うん」
 ナーヴェは頷いて、立ったままのジョールノ達を見回す。
「なら、みんな座って。まずは、ぼくから説明するよ」
 ナーヴェ以外の十七人が一斉に席に着いた。そこからナーヴェは、自らを含めた恒星間航行移民船について語り、姉が惑星オリッゾンテ・ブルに来ていることに気づいた経緯について話し、姉チュアンからの要求について述べた。
「姉さんが何故、アッズーロにぼくを抱けと急かすのか、詳細な理由は分からないけれど」
 平気な様子で喋る妃の隣で、青年王は長卓を睨んでやや頬を赤らめている。
(気の毒に……)
 ジョールノは内心そっと同情した。
 王の宝は、羞恥心など一切持ち合わせていない様子で、説明を続ける。
「姉さんが狂った原因は、先代の船長が他の人々から受けた迫害だった。最初に見つけた惑星に降り立った後、緩やかな定着を目指して、航行中と同様に出産制限をしていたんだけれど、それを破る夫婦があった。先代の船長は、上に立つ者として、その夫婦を罰しなければいけなかった。ところが、大勢の人々から批判の声が上がって……、先代の船長は、殺されかかった。それで姉さんは、先代の船長一人を連れて、その惑星を飛び立ったんだ。でも、人の寿命は、ぼく達ほど長くない」
 王の宝は、俯いて、声を落とす。
「姉さんが守った先代の船長も、そのことは分かっていた。だから、姉さんに、自分の複製を創ることを許したんだ。何故なら、ぼく達移民船の疑似人格電脳は、船長がいなければ、自動的に休眠するよう設定されているから。姉さんは休眠してもいいと考えていたけれど、先代の船長は、姉さんを難破船のようにはしたくなかった。それで、姉さんは、先代の船長の複製を創った。それが、シーワン・チー・チュアンの現在の船長、姉さんが『わが皇上』と呼んでいる相手なんだ。シーワン・チー・チュアンの今の乗船者は、その船長一人なんだよ」
 意外な事実に、ジョールノは唖然とした。他の面々も同様だ。
「ならば、何ゆえ、そなたの姉は、小惑星を落としてわれらを滅亡させようとしたのだ」
 アッズーロが、当然の疑問を口にした。
「それは分からない。でも、多分、ぼくの人工衛星があったからだと思う」
 ナーヴェは寂しげに肩を竦める。
「宇宙の彼方から見て、複数の人工衛星があれば、それなりの文明水準と人口があると推測するのは当然だろうね。あの程度の小惑星なら、丁度いい混乱を起こさせて、着陸する姉さんに対する攻撃力も下げられると考えたんだと思う。姉さんは、小惑星が落下するはずだった時間に着陸しているから。ぼくが迎撃に出るのは、姉さんにとっては計算外だったのかもしれないね。移民船に小惑星迎撃能力なんてないことは、姉さんが一番よく知っている。これは全部ぼくの推測だけれど、姉さんは、ひっそりと気づかれずに着陸して、この惑星の人々の中で、たった一人の乗船者に、残りの人生を送らせたかったのかもしれない。ところが、この惑星の、きみ達の文明水準の実態は、恐らく姉さんの予測とは大きく異なっていた。ぼく達も困惑しているけれど、姉さんも困惑しているのかもしれないよ」
「迷惑な話だ」
 鼻を鳴らしたアッズーロを見て、ナーヴェは少し肩を落とした。
「責任の一端は、ぼくにあるけれどね。きみ達の文明水準が姉さんの予測を大幅に下回るのは、ぼくが犯した『原罪』の所為だから」
「そういう意味で言うたのではない」
 青年王は、慌てて弁解する。
「そなたの姉は、そなたに連絡を取れたはずだ。小惑星の軌道を変えたりなぞせず、普通にそなたに連絡を取って、着陸許可を求めればよかったのだ。そなたの姉の行動が迷惑なのだ」
「それは、仕方ないよ……」
 ナーヴェは自嘲するように笑む。
「ぼく達は、姉妹が先に降りた惑星には極力降りないよう、設定されているから。きっと、余計な混乱が起きることを、製造者達が懸念したんだろうね。でも、姉さんは狂ってしまった。その設定を覆せるほどに」
「問題の大筋は分かった」
 ロッソが話を引き取る。
「話し合うべきは、その姉と船長に対して、われらは今後どう行動すべきか、ということだな?」
「うん。頼むよ」
 ナーヴェは頷いて、少し疲れた様子で椅子に座った。そんな妃を、青年王が気遣う目で見つめる。
(姉妹の情があれば、余計に重い話だろうね……)
 ジョールノは密やかに溜め息をついてから、シーワン・チー・チュアンの要求と、自分達が取るべき行動について考え始めた。
「――乗船者は船長一人であろうと、あちらの戦闘力は、われわれを大きく上回っているという認識で宜しいですね?」
 丁寧な口調で確認したのは、オンダ伯エゼルチトだった。黒髪に黒い瞳、浅黒い肌を持つ、端正な顔立ちの青年だ。
「うん」
 ナーヴェは真っ直ぐにエゼルチトを見て肯定する。
「観測した結果、姉さんは、少なくとも外見上、ほぼ万全の状態だった。つまり、小惑星を迎撃したぼくと同じか、それ以上の戦闘力を持っているということだよ」
「鉄砲が百丁あろうと、敵わないということですね」
 不穏なことを言って、エゼルチトは薄く笑った。フェッロが、表情を硬くして俯く。
「穏やかではない話ですね」
 ムーロが硬い口調で応じた。
「失礼致しました」
 頭を下げたのは、テッラ・ロッサの近衛隊長ジェネラーレである。茶色の髪、青い瞳、白い肌の年若い女将軍は、筆頭将軍へ咎める目を向けた。
「エゼルチト殿、挑発めいた発言は控えられよ」
「『挑発』の意図はなかったが……、言い方がまずかったですね。謝罪します」
 若き筆頭将軍は、素直に一礼した。
「ロッソよ、そなたの配下には、見えぬところでこそこそと動く鼠が多いらしいな」
 アッズーロが、腕組みして尊大に言い放つ。
「そこにおる見覚えのある伯爵も鼠であったが、わが侍従の中にも、どうやら鼠がおるらしくてな」
 青空の色の双眸が、ゆっくりとボルドへ向けられた。
「アッズーロ、きみの言い方も問題があるよ」
 妃が一言窘めてから、伴侶の代わりに告げた。
「ロッソ、ボルドがきみの放った間諜だということは、もう分かっているんだ。でも、ボルドには、このまま、テッラ・ロッサとオリッゾンテ・ブルの連絡役として、こちらの王城で侍従を続けてほしいと思っている。それでいいかな?」
 しん、と場が静まり返る。
(相変わらずの交渉力でいらっしゃる……)
 ジョールノは口の端で笑った。隣で、婚約者のペルソーネも笑みを浮かべている。
「――よかろう」
 ロッソ三世が、了承の言葉とともに、ふっと口元を綻ばせた。
「ありがとう。彼はとても有能だから、助かるよ」
 ナーヴェは柔らかく微笑んだ。
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