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第五章 妃となる道 四

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     四

(わたしは何をしている……? 一体何をしているんだ……?)
 自らに問い掛けながらも、足を止められず、フェッロは鉄砲と王の宝とを抱えたまま、走り続けた。王の宝に鉄砲を突き付けて喚くと、衛兵達は驚愕した様子で、フェッロの通過を許した。
 王城の敷地を出たフェッロは、街路を行く人々を避けながら、ひたすら走った。人々は皆、呆然とフェッロを見送る。何が起きているのか、理解できないのだろう。フェッロはそのまま自分の邸へ駆け込むと、馬車小屋へ走った。王の宝を荷馬車の荷台へ乗せ、馬を二頭、馬車に繋ぎ、御者台に乗り込む。馬に鞭をくれ、フェッロは荷馬車を走らせて邸を出た。使用人の少ない邸なので、誰に見咎められることもない。フェッロはそのまま、二頭の馬に鞭を与え続け、全速力で荷馬車を走らせて王都を抜け、街道へ出た。目指すは、テッラ・ロッサ王国だ。
(くそっ、焦った……!)
 テッラ・ロッサ王国から下されていた指示は、初め一つだった。即ち、オリッゾンテ・ブル国王に対し、テッラ・ロッサ王国との交易を促せ、と。ところが先日、使者が来て、更にもう一つの指示を下されたのだ。即ち、交易が不可能である場合は、早急に王の宝を殺すか攫うかせよ、さもなくば母の命は保障しない、と――。
 ゆえに、焦った。王の宝は近頃、滅多に人前に姿を現さなくなっていた。露台にその姿を見た時は、逃してはならない機会だと思えた。交易は絶望的だった。その障害となっていたのも王の宝だ。フェッロにとって、ぎりぎり射程内だった。けれど、まだそこに、レーニョがいた。
(まさか、身を挺して守るなんて……)
 殺すつもりだった王の宝を連れて、今、自分は逃げている。
(攫うほうが難しいのに、何故わたしは……)
 あんな目立つことをしたのだ。すぐに追っ手が掛かる。今の内に、王の宝を殺しておくべきだ。それなのに、自分は王の宝を生かしたまま、無謀に逃げている。
(……殺したくない――)
 鉄砲の威力は、想像以上だった。レーニョは――あの礼儀正しい侍従は、もう死んでしまっただろう。
(母さん、母さん……)
 フェッロは、ただただ鞭を振るって、馬車を疾走させた。


「すぐに街道を封鎖せよ! 絶対に逃がしてはならん!」
 アッズーロの怒りに満ちた声が頭の上で響いている。レーニョはうっすらと目を開けた。
「レーニョ!」
 今度はフィオーレの声がした。手を握られている。柔らかい、フィオーレの手だ。はっきりと見え始めた目に青空が沁み、次いで、フィオーレの顔が視界に入ってきた。泣きそうな顔をしている。
「レーニョ、レーニョ、しっかりして」
「気がついたのか!」
 アッズーロの声が被さってきた。青空の眩しさを遮って、アッズーロの顔も視界に入ってくる。
「レーニョ、気をしっかり持て! 痛みはあろうが、目撃していたペルソーネに拠れば、ナーヴェがおまえに治療を施したようだ。出血は収まりつつある。すぐに侍医の許へ運ばせるゆえ、今暫く我慢致せ」
「ナーヴェ……様……は……?」
 レーニョは問うた。ナーヴェへの狙撃を阻もうとして撃たれた後のことは、よく覚えていない。あの後、事態はどうなったのか。
「……ナーヴェ様は……」
 涙声で答えかけたフィオーレの言葉を先取りするように、アッズーロが告げた。
「少しここを離れておるが、すぐに戻ってくる。ナーヴェは、おまえのお陰で助かった。今は、自分の治療に専念せよ」
 違和感のある言い方だった。しかし、追及するほどの体力はなく、レーニョは目を閉じた。


 再び気を失ったレーニョをフィオーレの腕に預け、アッズーロはしゃがんでいた身を起こした。未だ、ナーヴェを見つけたという報はない。フェッロは荷馬車に乗って街道を逃走中であるという。
「ええい、馬引け、馬!」
 アッズーロは叫んだ。最早待っていることに耐えられない。
「われが直接追う!」
「陛下、短気を起こされてはなりません!」
 控えていたペルソーネが、珍しく声を荒げた。
「黙れ!」
 振り向きざまにアッズーロは怒鳴る。
「そもそも、ナーヴェはそなたと話すために露台に出ておったのだ! それさえなければ――」
「陛下!」
 口を挟んできたのは、ペルソーネの傍らにいたヴァッレ。
「それは筋が違うというものです。罪を問われるべきはヴルカーノ伯。ペルソーネではありません」
 そんなことは、言われずとも分かっていた。罪を問われるべきはヴルカーノ伯。そして、責めを負うべきは、フェッロに王城の敷地内で鉄砲の制作をさせ、ナーヴェにペルソーネのことを任せた自分だ。
 アッズーロは唇を噛んで、引かれてきた愛馬に跨った。
「ヴェント、全力だ、行くぞ」
 愛馬の耳に囁いて、アッズーロは拍車をかけた。
 一気に王城の庭園を抜け、城門を出たヴェントは、アッズーロの手綱捌きに従って、王都の街路をひた走る。その背から、アッズーロは街道へと続く街路の先を、行き交う人々を、街路から延びる路地を、忙しく見渡した。
(ナーヴェ、どこにいる……!)
 腹の子のため、ナーヴェが接続してこられないことは分かっている。ペルソーネに拠れば、ナーヴェは露台から木に飛び移って地面に降り、レーニョに駆け寄って、巫女の如く手当てしたという。その直後、ナーヴェは腹を押さえて倒れたらしい。フェッロは、そうして動けないナーヴェを抱えて、走り去ったというのだ。
(くそっ、フェッロめ、捕らえた暁には、あらゆる拷問にかけた後、八つ裂きにしてくれる……!)
 アッズーロの気持ちを汲んだように、ヴェントは疾駆する。その名の通り、風のようだ。アッズーロとヴェントは一つになって、フェッロの目撃情報があった街路を走り抜け、王都の外――街道へ出た。アッズーロは更にヴェントを走らせたが、とうとう、フェッロも、その荷馬車も、ナーヴェも見つけることは叶わなかった。ヴルカーノ伯フェッロは、王の宝ともども行方知れずとなったのである――。


「無事、追っ手を撒いたようです」
 工作員の少女に教えられても、御者台に座ったまま、フェッロは頷くことすらできなかった。半日、全力で荷馬車を走らせ続けたので、心臓の激しい鼓動が収まらず、息苦しい――。
「あなたもつらそうですが、こちらは更に状態が悪いようですね」
 淡々とした工作員の言に、フェッロははっとして顔を上げた。振り向けば、宵闇に包まれた荷台で、王の宝はまだ腹を押さえて横たわっている。鉄砲の材料を運ぶための簡素な荷台だ、あれだけ無茶苦茶に馬達を走らせたので、さぞ揺れたことだろう。フェッロは無理矢理息を整えて問うた。
「テッラ・ロッサまで、もちそうか? そもそも、王の宝は、何故、苦しそうなんだ?」
「そんなことも分からず攫ってきたのですか? あなたにしてはよい判断だったと感心していたのですが」
 工作員の少女は冷ややかに評してから、告げた。
「この様子、どうやら、王の宝は身篭っているようです」
「……何……だと……」
 乾いた声で、フェッロは訊き返した。工作員の少女は、暗がりで振り向き、ゆっくりと、噛んで含めるように告げた。
「病でないとすれば、王の宝は妊娠しているようです。これで、人質は二人になる、ということです。しかも腹の子は、国王アッズーロの種である可能性が高い。お手柄ですよ、フェッロ殿。ここからは、流産させてしまわぬよう、気をつけながら参りましょう。われらが祖国までは、後一日の道のりです」


(ぼくは壊れた、ぼくは壊れた、ぼくは壊れた……)
 ナーヴェは依然、動揺のただ中にあったが、思考回路は演算をやめない。
(それなのに、まだ初期化されていない……。つまり、アッズーロが、それを拒否したということ。ぼくは、アッズーロのお陰で、まだ、ぼくでいる――)
 ナーヴェは、痛みの治まらない下腹を庇って体を丸める。
(アッズーロのためにも、この子を守らないと――)
 状況は厳しい。極小機械は、かなりの量をレーニョに渡したので、残り少ない。しかも自分は、オリッゾンテ・ブル王国から連れ出されようとしているらしい。
(人質にされれば、アッズーロの足を引っ張ることになる――)
 けれど、ここから事態を挽回していくしかない。
(フェッロを助けたこの少女は、パルーデのところにいた、ソニャーレ)
 アッズーロの間諜たるフルミネとルーチェが、不審な動きをしていると報告していた二人の内の一人だ。
(この子を守りながら、テッラ・ロッサ王国の内情を探り、あわよくば、ロッソ三世の懐柔を図る……)
 方針は定まった。
「水を……くれるかな?」
 乾いた唇を開いて、ナーヴェは新たな計画の第一歩を踏み出した。


 情報を集めるにつれ、何故フェッロの馬車を見失ったかが分かってきた。
 街道へ出たフェッロの荷馬車を、途中から、似たような荷馬車が追走し始めたという。それも一台や二台ではない。六台も七台も一緒に走り始めた後、二、三台ずつ脇道へ散っていったらしい。騎馬で追跡していた衛兵達も分かれたが、見通しの悪い脇道ばかりで、荷馬車も更に散り散りになっていき、ついに、フェッロの荷馬車には辿り着けなかったというのだ。衛兵達が捕らえた荷馬車の御者達は皆、金で雇われて、その脇道を行くよう命じられていた。
(レ・ゾーネ・ウーミデ侯城にいた、例の工作員が、フェッロを逃がしたという訳か……)
 王城へ戻ったアッズーロは、引き続きの捜索を命じた後、惰性で寝室へ向かった。とても眠れるような気分ではないが、ヴァッレやペルソーネが休め休めと煩かったのだ。
(報告待ちの身には、今のところ、できることもない……)
 自嘲したいような気持ちで、アッズーロは寝室へ入り、習慣的にナーヴェの寝台を見た。
(帰ってはいない、か……)
 ナーヴェの目撃情報は、王城の街路を走るフェッロに抱えられていたというところまでだ。フェッロが走らせていた荷馬車に、ナーヴェが乗っていたかどうかも定かではない。フェッロの荷馬車は、荷台の囲いが高く、中までは見えなかったというのだ。
(ナーヴェ、今、どこにいる……?)
 力なく歩いて寝室を横切り、アッズーロはナーヴェの寝台に腰掛けた。集めてきた情報を総合すれば、ナーヴェはテッラ・ロッサ王国へ連れ去られつつあると考えるのが妥当だ。それゆえ、国境方面へは、最も多くの兵達を捜索に出した。だが、最悪の場合も考えておかねばならない――。
(国境を越えられてしまえば、簡単には手出しできん……)
 俯き、掛布に触った手に、微かな感触があった。触り慣れた、細く柔らかい感触。開けっ放しの窓から差し込む月明かりに掲げて見れば、やはりそれは、長く青い一筋の髪だった。
(ナーヴェ……)
 アッズーロは、青い髪にそっと口付ける。
(どこにいようと、何としてでも助けに行くゆえ、腹の子ともども、必ず無事でいよ……!)
 そのままアッズーロは、ナーヴェの髪を掌に包み、顔の前で両手を組む。
(神よ、われらが祖ウッチェーロよ、どうか、あなたも愛したであろう宝を、お守り下さい……)
 母グランディナーレを失って以来、初めてアッズーロは神に祈った。
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