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皆さんとお夜食
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しおりを挟む旦那様こと、ヴィンセント・ルッツァ・グランデュール様は借金取りではなく、マフィアみたいな?日本でいう極道みたいな人でまぁぶっちゃけ裏の世界の人だったみたいです。
ヴィンセント様は借金取りのがまだ可愛い方だと笑っていたけど、あいつら本当に何をしたの。
そして俺はヴィンセント様…旦那様の家の家政婦ならぬ家政夫として働くことに。
それも一軒家ではなく屋敷。なぜこんなに大きいんだと口を開けて見ていたら、どうやら組員の人達もいらっしゃるようでヴィンセント様は日本支部のボスらしい。
住み込みという形で咲良共々お世話になってるんだけど、割り当てられた俺の部屋がまぁ大きいこと。
旦那様はまだ小さい方だと仰っていたけど、前に住んでいたアパートよりも大きいし綺麗。
ふかふかな掛布団に柔らかいマットレスのベッド。肌触りのいいシーツにパジャマまでくれた。咲良はいたく気に入ったのか何度もベッドやパジャマに頬を擦り寄せて満足げに笑っている。
部屋には立派な棚に机にソファと家電や家具が一通り揃えられ、テレビで見るようなオシャレな家具や配置に俺なんかが使っていいのかと躊躇うほどのものだ。
「…すぅ…すぅ…」
「…ふふっ…」
俺と一緒のベッドで眠る咲良は一足先に夢の中。俺はというと、今日の仕事は一通り終え今は勉強している。と言っても料理関係のものばかりだけど。
「…せっかくこんな恵まれた場所を与えてくれたんだから、頑張らないと」
背伸びをして横目で時計を見ると、既に10時を回っていた。早く寝ないと明日もばたばたしながら準備することになる。
旦那様にお世話になりはじめてから、空腹で寝れないとか背中が痛くて寝れないとか、うるさくて寝れないとかが無くなり快適に過ごさせてもらっているけれど、快適過ぎて自分でも驚く程に眠るようになってしまった。
それは咲良も同じみたいで、時折心配になるくらいによく寝るようになった。
「…皆も良い人達ばっかりで良かったね」
同じように屋敷に住んでる人達も皆俺達兄弟を気にかけてくれていて、俺が仕事している間なんかに咲良はよく遊んでもらっている。そしていつの間にか咲良のおもちゃが増えていることもしばしば。
「…あ、炊飯器のスイッチ押したっけ…?」
ふと今日を振り返り、明日の朝ごはん用にいつも炊飯器の予約をしていたけれどそのスイッチを忘れているかもしれない。
俺は咲良を起こさないようにそーっと部屋から出てキッチンへと向かう。
そしてちゃんと炊飯器のスイッチが押されていることにほっとしていると、玄関の方がなんだか騒がしい。
気になって玄関の方へ向かうと、そこには旦那様と数人の組員さんがちょうど帰られたみたいだった。
「皆さん、おかえりなさい。遅くまでお疲れ様です」
「咲耶、起きていたのかい?」
「ちょっと炊飯器のスイッチ押したか気になっちゃって…」
「昼は暖かいとはいえ、夜はまだ冷える。ちゃんと上着を着ないと」
「すぐ寝ようと思ってたんで…」
あはは、と笑ってみせると旦那様は首に巻いていたストールを取り、俺の肩に掛けてくださった。柔らかい肌触りに旦那様の温もりが残っているストールからは、ふわりと旦那様の香りが俺の鼻を通る。
「…ふふっ…」
「咲耶?」
「いえ、暖かくて、旦那様の匂いがするなぁと思いまして」
「っ」
「…え、旦那様?」
落ち着くなぁ、なんて思いながら旦那様のストールを触って堪能していると、旦那様は何故だか震えている。
俺が旦那様のストールをお借りしているからか、旦那様が寒いのかもしれないとストールを脱ごうとしたら後ろから組員さんから声が掛かった。
「あー、咲耶、そのままでいいから」
「え?でも…」
「あはは!だいじょーぶだいじょーぶ。ほら、風邪引く前に部屋に戻りな~」
────ぐぅぅぅぅっ、ぐーーーっ……
「「「…………」」」
突然の音に、一瞬この場が静かになる。
なんの音だろうときょとんとしていると、先程俺に声を掛けてくれた組員さんの顔が赤くなっていた。
「…すみません、朝食べただけで今日昼も夜も食ってなかったんです」
「え!?も、もしかして皆さん…?」
俺の問いに組員さんは困ったように笑うだけだ。その表情で、俺は皆さんが今日何も食べてないと悟り早々にキッチンへと引き返す。
「皆さんはお座敷で待っていてください」
「え、咲耶?」
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