14 / 25
第1章 欲望と大罪
13. 生き地獄
しおりを挟む
ケリー達が「処刑人」と闘っている頃。
ロビンが推測した通り、リチャードとアイリスは「フリー」達の避難誘導を行っていた。
「もうお終いだ……」
「ついに……殺されてしまうんだ……」
ところどころ漆喰が崩れて鉄骨が覗き、多くの窓が割れて本来の機能を失った講堂のような廃墟。そんな寂れた建物の中で、数十人の老若男女が息を潜め、雛乃達の救援を待っていた。
……が、時間が経つにつれ、彼らの間には悲観的な空気が漂い始める。
「もう無理だ……殺されるくらいなら……あんな奴らに処刑されるくらいなら……!!」
部屋の隅で頭を抱え、震えていた男性が、おもむろに銃を口にくわえた。
引き金を引こうとしたところで、リチャードがその手をしっかりと掴む。
「ちょっとちょっと、諦めるのは早いですって! 『処刑人』なら、ロビン達がきっと……」
「離せ……! もう死なせてくれ! こんな世界懲り懲りなんだ……!」
リチャードの言葉は男性に届かない。
とはいえ銃を持つ腕は骨と皮ばかりの状態で、いくら暴れてもリチャードの手を振りほどけそうになかった。
「止めてどうするの」
アイリスが冷静に問う。
「離してあげて。無理に生かした方が、もっとつらいかもしれないわ」
隻眼を伏せ、アイリスは淡々と語る。
「う……。そりゃ、死にたいなら、仕方ないかもだけどさ……」
世界から「存在するべきでない」とされ、隠れて暮らさなくてはならない生活。
力あるものから「仲間」と認められるわけでもなく、いつ「処刑人」にすべてを奪われてもおかしくない人生。
いっそ、終わらせてしまいたいと願うのは、何もおかしくはない。
「なんか……悲しいだろ」
だが、リチャードはそれを看過できなかった。
……脳裏に過ぎる疑問。
雛乃はなぜ、集落のフリー達の中からセドリックを、他の地域からリチャードをわざわざ「仲間」に選んだのか。……なぜ、ここに集う人々ではいけなかったのか。
リチャードの場合は、「手記」を手に取り洗脳電波から抜け出し、研究所に辿り着くまでの過程で能力を見出されたのだとわかる。
セドリックも料理が上手く、かなり古い型の車の運転もできる。少なくとも、器用な青年であることは間違いない。
「うう……ううう……」
頭を垂れ、呻く男性にはなくて、自分達には存在するもの。
おそらくは、「世界」に対抗できる何かしらの「能力」……その、残酷な差異が、リチャードと目の前の男性を分けている。
「……いいや……」
リチャードは頭を振り、自らの思考を別の方向へと切り替える。
雛乃は学者として頭は切れるがコミュニケーション能力が高いとは言いがたく、アイリスは感情を持っているとはいえ、その思考はアンドロイドらしく合理性に寄っている。ロビンは「強欲」の悪魔……つまり、「力なき者を救う」ことに関しては、得意分野とは考えにくい。
ただ単に、希望を失い、疲弊した彼らを導く術が「まだ」存在しないだけかもしれない。……それならば、未来を指し示すことで、希望にはなり得ないだろうか。
「俺達が『世界連合』に立ち向かうのは何のためだ? 目の前の命を見捨てて、力のある人間だけが生き残って……それだけで本当に良いのか? 俺達が救う命を選ぶ側になるんなら……何も、変わらないだろ」
「……目の前の命を見捨てるわけじゃないわ」
アイリスは手に持った端末でセドリックにメッセージを打ち、蒼い隻眼でリチャードの目を見据える。
「目の前の命をより多く救うために、言っているの」
リチャード達と動く「フリー」達の数は数十人。
他にも、独自で逃げ隠れしている者達がその何倍も存在するだろう。
救うべき命は、何も、その男性だけとは限らない。
「死が救いかどうかは、わたしには分からないし、判断できることでもない」
アイリスは淡々と、それでもしっかりとした語調で語る。
「だけど、生が苦痛だと……もう耐えられないと嘆く人を無理に生かすのは、本当に慈悲深いことかしら?」
その問いに、リチャードは反論できなかった。
「……でも……」
項垂れるリチャードの耳に、甲高い女性の声が突き刺さる。
「見捨てられませんよね、その通りですとも!!」
声の主はこの場に相応しくないほど瞳を爛々と輝かせ、こちらに近寄ってきた。
その様子に見覚えがある。確か、ケリーを信仰していた男性も、このような目をしていたような……
「ルシファー様はおっしゃられました。我々はみな救われるべき、尊き魂だと!」
「……くそ、こんな時にまでお前らは悪魔崇拝かよ……」
男性は忌々しそうに吐き捨て、近付いてくる女性から距離をとる。
「何を言いますか! 神にさえ見捨てられた我々にとって、ルシファー様は最後の希望! 貴方も信じれば救われるのですよ!」
「ああ……くそったれ。地獄ってのはこの世のことを言うんだ。間違いねえ……」
もはや、喧嘩をする気力すらないのだろう。
男性は澱んだ双眸から涙を零し、頭を抱える。
「……」
リチャードはその光景に、何か、胸の奥でつっかえるものを感じた。
「来たわ!!」
……が、胸に引っかかる「何か」を言語化する暇もなく、アイリスの叫びが響く。
「な、何が……?」
「……歩幅、体格を思うに……『テレーズ・マーモット』ね。戦闘スタイルから考えれば、まだマシな相手よ」
テレーズ・マーモット。
リチャードの知らない名前だ。
「もしかして、『処刑人』か?」
「ええ」
「そいつも、フランシスみたいに特殊な武器を……?」
「今は知らなくていいわ。あなたが戦う必要は無い。こういう時の戦闘は、わたしの役目」
アイリスは太もものホルスターから拳銃を取り出し、スーツの上着をバサリと脱ぎ捨ててベストとシャツだけの姿となった。
そのまま、スカートのホックにも手をかける。
「えっ、ちょっ、何を……!?」
「何って……戦闘形態に切り替えるのだけど?」
腰布を取り払った臀部から太ももにかけては鎧のような金属に覆われており、薬莢がずらりとその表面を覆っていた。
「セドリックへの連絡は任せるわ」
アイリスは端末をリチャードに渡すと、凄まじいスピードで壁を登り、割れた窓から建物の外へと飛び出した。
軽々と壁を駆け抜ける姿に、リチャードはもちろん、避難中のフリー達も魅せられたかのように釘付けになる。
彼女は空を舞い、やがて、敵の前に降り立った。
ロビンが推測した通り、リチャードとアイリスは「フリー」達の避難誘導を行っていた。
「もうお終いだ……」
「ついに……殺されてしまうんだ……」
ところどころ漆喰が崩れて鉄骨が覗き、多くの窓が割れて本来の機能を失った講堂のような廃墟。そんな寂れた建物の中で、数十人の老若男女が息を潜め、雛乃達の救援を待っていた。
……が、時間が経つにつれ、彼らの間には悲観的な空気が漂い始める。
「もう無理だ……殺されるくらいなら……あんな奴らに処刑されるくらいなら……!!」
部屋の隅で頭を抱え、震えていた男性が、おもむろに銃を口にくわえた。
引き金を引こうとしたところで、リチャードがその手をしっかりと掴む。
「ちょっとちょっと、諦めるのは早いですって! 『処刑人』なら、ロビン達がきっと……」
「離せ……! もう死なせてくれ! こんな世界懲り懲りなんだ……!」
リチャードの言葉は男性に届かない。
とはいえ銃を持つ腕は骨と皮ばかりの状態で、いくら暴れてもリチャードの手を振りほどけそうになかった。
「止めてどうするの」
アイリスが冷静に問う。
「離してあげて。無理に生かした方が、もっとつらいかもしれないわ」
隻眼を伏せ、アイリスは淡々と語る。
「う……。そりゃ、死にたいなら、仕方ないかもだけどさ……」
世界から「存在するべきでない」とされ、隠れて暮らさなくてはならない生活。
力あるものから「仲間」と認められるわけでもなく、いつ「処刑人」にすべてを奪われてもおかしくない人生。
いっそ、終わらせてしまいたいと願うのは、何もおかしくはない。
「なんか……悲しいだろ」
だが、リチャードはそれを看過できなかった。
……脳裏に過ぎる疑問。
雛乃はなぜ、集落のフリー達の中からセドリックを、他の地域からリチャードをわざわざ「仲間」に選んだのか。……なぜ、ここに集う人々ではいけなかったのか。
リチャードの場合は、「手記」を手に取り洗脳電波から抜け出し、研究所に辿り着くまでの過程で能力を見出されたのだとわかる。
セドリックも料理が上手く、かなり古い型の車の運転もできる。少なくとも、器用な青年であることは間違いない。
「うう……ううう……」
頭を垂れ、呻く男性にはなくて、自分達には存在するもの。
おそらくは、「世界」に対抗できる何かしらの「能力」……その、残酷な差異が、リチャードと目の前の男性を分けている。
「……いいや……」
リチャードは頭を振り、自らの思考を別の方向へと切り替える。
雛乃は学者として頭は切れるがコミュニケーション能力が高いとは言いがたく、アイリスは感情を持っているとはいえ、その思考はアンドロイドらしく合理性に寄っている。ロビンは「強欲」の悪魔……つまり、「力なき者を救う」ことに関しては、得意分野とは考えにくい。
ただ単に、希望を失い、疲弊した彼らを導く術が「まだ」存在しないだけかもしれない。……それならば、未来を指し示すことで、希望にはなり得ないだろうか。
「俺達が『世界連合』に立ち向かうのは何のためだ? 目の前の命を見捨てて、力のある人間だけが生き残って……それだけで本当に良いのか? 俺達が救う命を選ぶ側になるんなら……何も、変わらないだろ」
「……目の前の命を見捨てるわけじゃないわ」
アイリスは手に持った端末でセドリックにメッセージを打ち、蒼い隻眼でリチャードの目を見据える。
「目の前の命をより多く救うために、言っているの」
リチャード達と動く「フリー」達の数は数十人。
他にも、独自で逃げ隠れしている者達がその何倍も存在するだろう。
救うべき命は、何も、その男性だけとは限らない。
「死が救いかどうかは、わたしには分からないし、判断できることでもない」
アイリスは淡々と、それでもしっかりとした語調で語る。
「だけど、生が苦痛だと……もう耐えられないと嘆く人を無理に生かすのは、本当に慈悲深いことかしら?」
その問いに、リチャードは反論できなかった。
「……でも……」
項垂れるリチャードの耳に、甲高い女性の声が突き刺さる。
「見捨てられませんよね、その通りですとも!!」
声の主はこの場に相応しくないほど瞳を爛々と輝かせ、こちらに近寄ってきた。
その様子に見覚えがある。確か、ケリーを信仰していた男性も、このような目をしていたような……
「ルシファー様はおっしゃられました。我々はみな救われるべき、尊き魂だと!」
「……くそ、こんな時にまでお前らは悪魔崇拝かよ……」
男性は忌々しそうに吐き捨て、近付いてくる女性から距離をとる。
「何を言いますか! 神にさえ見捨てられた我々にとって、ルシファー様は最後の希望! 貴方も信じれば救われるのですよ!」
「ああ……くそったれ。地獄ってのはこの世のことを言うんだ。間違いねえ……」
もはや、喧嘩をする気力すらないのだろう。
男性は澱んだ双眸から涙を零し、頭を抱える。
「……」
リチャードはその光景に、何か、胸の奥でつっかえるものを感じた。
「来たわ!!」
……が、胸に引っかかる「何か」を言語化する暇もなく、アイリスの叫びが響く。
「な、何が……?」
「……歩幅、体格を思うに……『テレーズ・マーモット』ね。戦闘スタイルから考えれば、まだマシな相手よ」
テレーズ・マーモット。
リチャードの知らない名前だ。
「もしかして、『処刑人』か?」
「ええ」
「そいつも、フランシスみたいに特殊な武器を……?」
「今は知らなくていいわ。あなたが戦う必要は無い。こういう時の戦闘は、わたしの役目」
アイリスは太もものホルスターから拳銃を取り出し、スーツの上着をバサリと脱ぎ捨ててベストとシャツだけの姿となった。
そのまま、スカートのホックにも手をかける。
「えっ、ちょっ、何を……!?」
「何って……戦闘形態に切り替えるのだけど?」
腰布を取り払った臀部から太ももにかけては鎧のような金属に覆われており、薬莢がずらりとその表面を覆っていた。
「セドリックへの連絡は任せるわ」
アイリスは端末をリチャードに渡すと、凄まじいスピードで壁を登り、割れた窓から建物の外へと飛び出した。
軽々と壁を駆け抜ける姿に、リチャードはもちろん、避難中のフリー達も魅せられたかのように釘付けになる。
彼女は空を舞い、やがて、敵の前に降り立った。
0
お気に入りに追加
5
あなたにおすすめの小説


ライトニング・エクリプス
suepi2007
SF
chatGPTとともに細かい設定を考えました。大まかな設定や主人公の能力設定は自身のイメージで作っています。
「未来の地球で、光と闇の力が交錯する中、18歳の青年が唯一無二の能力を駆使して運命に立ち向かう。彼の名は氷霧碧(ひぎりあおい)。敵対勢力『ルナティック・クラン』との壮絶な戦いが、今始まる…」
『星屑の狭間で』(チャレンジ・ミッション編)
トーマス・ライカー
SF
政・官・財・民・公・軍に拠って構成された複合巨大組織『運営推進委員会』が、超大規模なバーチャル体感サバイバル仮想空間・艦対戦ゲーム大会『サバイバル・スペースバトルシップ』を企画・企図(きと)し、準備して開催(かいさい)に及んだ。
そのゲーム大会の1部を『運営推進委員会』にて一席を占める、ネット配信メディア・カンパニー『トゥーウェイ・データ・ネット・ストリーム・ステーション』社が、配信リアル・ライヴ・バラエティー・ショウ『サバイバル・スペースバトルシップ・キャプテン・アンド・クルー』として、順次(じゅんじ)に公開している。
アドル・エルクを含む20人は艦長役として選ばれ、それぞれがスタッフ・クルーを男女の芸能人の中から選抜して、軽巡宙艦に搭乗(とうじょう)して操り、ゲーム大会で奮闘する模様を撮影されて、配信リアル・ライヴ・バラエティー・ショウ『サバイバル・スペースバトルシップ・キャプテン・アンド・クルー』の中で出演者のコメント付きで紹介されている。
『運営推進本部』は、1ヶ月に1〜2回の頻度(ひんど)でチャレンジ・ミッションを発表し、それへの参加を強く推奨(すいしょう)している。
【『ディファイアント』共闘同盟】は基本方針として、総てのチャレンジ・ミッションには参加すると定めている。
本作はチャレンジ・ミッションに参加し、ミッションクリアを目指して奮闘(ふんとう)する彼らを描く…スピンオフ・オムニバス・シリーズです。
『特別解説…1…』
この物語は三人称一元視点で綴られます。一元視点は主人公アドル・エルクのものであるが、主人公のいない場面に於いては、それぞれの場面に登場する人物の視点に遷移(せんい)します。
まず主人公アドル・エルクは一般人のサラリーマンであるが、本人も自覚しない優れた先見性・強い洞察(どうさつ)力・強い先読みの力・素晴らしい集中力・暖かい包容力を持ち、それによって確信した事案に於ける行動は早く・速く、的確で適切です。本人にも聴こえているあだ名は『先読みのアドル・エルク』と言う。
追記
以下に列挙しますものらの基本原則動作原理に付きましては『ゲーム内一般技術基本原則動作原理設定』と言う事で、ブラックボックスとさせて頂きます。
ご了承下さい。
インパルス・パワードライブ
パッシブセンサー
アクティブセンサー
光学迷彩
アンチ・センサージェル
ミラージュ・コロイド
ディフレクター・シールド
フォース・フィールド
では、これより物語は始まります。
忘却の艦隊
KeyBow
SF
新設された超弩級砲艦を旗艦とし新造艦と老朽艦の入れ替え任務に就いていたが、駐留基地に入るには数が多く、月の1つにて物資と人員の入れ替えを行っていた。
大型輸送艦は工作艦を兼ねた。
総勢250艦の航宙艦は退役艦が110艦、入れ替え用が同数。
残り30艦は増強に伴い新規配備される艦だった。
輸送任務の最先任士官は大佐。
新造砲艦の設計にも関わり、旗艦の引き渡しのついでに他の艦の指揮も執り行っていた。
本来艦隊の指揮は少将以上だが、輸送任務の為、設計に関わった大佐が任命された。
他に星系防衛の指揮官として少将と、退役間近の大将とその副官や副長が視察の為便乗していた。
公安に近い監査だった。
しかし、この2名とその側近はこの艦隊及び駐留艦隊の指揮系統から外れている。
そんな人員の載せ替えが半分ほど行われた時に中緊急警報が鳴り、ライナン星系第3惑星より緊急の救援要請が入る。
機転を利かせ砲艦で敵の大半を仕留めるも、苦し紛れに敵は主系列星を人口ブラックホールにしてしまった。
完全にブラックホールに成長し、その重力から逃れられないようになるまで数分しか猶予が無かった。
意図しない戦闘の影響から士気はだだ下がり。そのブラックホールから逃れる為、禁止されている重力ジャンプを敢行する。
恒星から近い距離では禁止されているし、システム的にも不可だった。
なんとか制限内に解除し、重力ジャンプを敢行した。
しかし、禁止されているその理由通りの状況に陥った。
艦隊ごとセットした座標からズレ、恒星から数光年離れた所にジャンプし【ワープのような架空の移動方法】、再び重力ジャンプ可能な所まで移動するのに33年程掛かる。
そんな中忘れ去られた艦隊が33年の月日の後、本星へと帰還を目指す。
果たして彼らは帰還できるのか?
帰還出来たとして彼らに待ち受ける運命は?

【完結】仰る通り、貴方の子ではありません
ユユ
恋愛
辛い悪阻と難産を経て産まれたのは
私に似た待望の男児だった。
なのに認められず、
不貞の濡れ衣を着せられ、
追い出されてしまった。
実家からも勘当され
息子と2人で生きていくことにした。
* 作り話です
* 暇つぶしにどうぞ
* 4万文字未満
* 完結保証付き
* 少し大人表現あり

「日本人」最後の花嫁 少女と富豪の二十二世紀
さんかく ひかる
SF
22世紀後半。人類は太陽系に散らばり、人口は90億人を超えた。
畜産は制限され、人々はもっぱら大豆ミートや昆虫からたんぱく質を摂取していた。
日本は前世紀からの課題だった少子化を克服し、人口1億3千万人を維持していた。
しかし日本語を話せる人間、つまり昔ながらの「日本人」は鈴木夫妻と娘のひみこ3人だけ。
鈴木一家以外の日本国民は外国からの移民。公用語は「国際共通語」。政府高官すら日本の文字は読めない。日本語が絶滅するのは時間の問題だった。
温暖化のため首都となった札幌へ、大富豪の息子アレックス・ダヤルが来日した。
彼の母は、この世界を造ったとされる天才技術者であり実業家、ラニカ・ダヤル。
一方、最後の「日本人」鈴木ひみこは、両親に捨てられてしまう。
アレックスは、捨てられた少女の保護者となった。二人は、温暖化のため首都となった札幌のホテルで暮らしはじめる。
ひみこは、自分を捨てた親を見返そうと決意した。
やがて彼女は、アレックスのサポートで国民のアイドルになっていく……。
両親はなぜ、娘を捨てたのか? 富豪と少女の関係は?
これは、最後の「日本人」少女が、天才技術者の息子と過ごした五年間の物語。
完結しています。エブリスタ・小説家になろうにも掲載してます。
【BIO DEFENSE】 ~終わった世界に作られる都市~
こばん
SF
世界は唐突に終わりを告げる。それはある日突然現れて、平和な日常を過ごす人々に襲い掛かった。それは醜悪な様相に異臭を放ちながら、かつての日常に我が物顔で居座った。
人から人に感染し、感染した人はまだ感染していない人に襲い掛かり、恐るべき加速度で被害は広がって行く。
それに対抗する術は、今は無い。
平和な日常があっという間に非日常の世界に変わり、残った人々は集い、四国でいくつかの都市を形成して反攻の糸口と感染のルーツを探る。
しかしそれに対してか感染者も進化して困難な状況に拍車をかけてくる。
さらにそんな状態のなかでも、権益を求め人の足元をすくうため画策する者、理性をなくし欲望のままに動く者、この状況を利用すらして己の利益のみを求めて動く者らが牙をむき出しにしていきパニックは混迷を極める。
普通の高校生であったカナタもパニックに巻き込まれ、都市の一つに避難した。その都市の守備隊に仲間達と共に入り、第十一番隊として活動していく。様々な人と出会い、別れを繰り返しながら、感染者や都市外の略奪者などと戦い、都市同士の思惑に巻き込まれたりしながら日々を過ごしていた。
そして、やがて一つの真実に辿り着く。
それは大きな選択を迫られるものだった。
bio defence
※物語に出て来るすべての人名及び地名などの固有名詞はすべてフィクションです。作者の頭の中だけに存在するものであり、特定の人物や場所に対して何らかの意味合いを持たせたものではありません。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる