10 / 25
第1章 欲望と大罪
9. 遊戯
しおりを挟む 翌朝、僕は親父と母さんを連れて東京へ向かっていた。今日はさっさと東京へ行って葉月ちゃんに会いたいので、特急電車に乗ってます。特急電車に乗るのなんて何年ぶりだろうか?
数年前に特急電車が新型車両になって話題になっていたけれど、実は初めて乗りました。外観が銀色で先頭車両が丸いフォルムになっていて、内装は座席の間隔が広くてゆったりと座れ、黄色いシートが鮮やかです。座り心地も良くてお金を払う価値があるなって感じました。
2列シートなので両親が並んで座り、僕は一人です。チラッと聞こえる会話を聞いていたら、旅行気分で楽しいと喜んでいました。まあ旅行気分で居られるのもあと半日だけどね!
特急電車で40分くらいで池袋駅に着き、そこから乗り継いで東京スカイツリーへ来ることが出来た。正直なところ、何回か迷ってスマホで調べました。東京観光に連れて行くと言いながら、僕のヘタレ具合を披露する形になってしまった。まあうちの親だし、良いよね!
天望回廊と天望デッキがセットになった当日入場券を買って館内を進み、煌びやかなエレベーターに乗り込みます。休日という事もあってすごく混んでる……。
「すごい加速だな」
「楽しいわね」
「展望デッキは地上350mらしいよ」
展望デッキで降りて窓側へ進み窓の外を見渡せば、模型のように小さくなったビルで溢れていた。東京にはこんなにビルがあったのかと思い知らされてしまった。葉月ちゃんのお家はどっちの方角だろうか?
「見て見ろ薫、富士山が見えるぞ」
興奮する親父が指す方向を見れば、雪を被った富士山が見えた。今日は晴天のため、遠くまで良く見える。
しばらく眺めた後は、別のエレベーターで更に100m上昇し、展望回廊というところへやってきた。シースルーになった道を歩いて次のフロアへ向かうため、空中散歩している気分が味わえるのだ。
「綺麗ね~」
「夜景の方が良かったかもね」
母さんも喜んでいるようで良かった。でも僕は普段から似たような景色を見ているため、そこまで驚くことは無かった。葉月ちゃんと一緒ならもっと楽しかったんだろうな……。
そんな感じで午前中は東京スカイツリーを満喫しました。さて、ここからが本番だ……。
東京スカイツリー観光が終わってから電車を乗り継ぎ、ついに最寄り駅へ着いた。だがしかし、さすがに歩き詰めで体力の無くなった両親は休憩を所望し、駅のロータリーにある喫茶店で一休みなのである。
僕たち3人でホットコーヒーを飲みながら、東京スカイツリーの感想を言い合っていたが、親父からこれから行くところについて聞かれてしまった。
「これから会うお世話になってる人って、どんな人なんだ?」
「すごく良くしてもらってる人達なんだ。これからもお世話になるから、会って欲しいんだよね」
「そうなのか……」
どうやら親父は怪訝そうな顔をしている。まあ急に言われても反応に困るよね……。
「良く分からないけど、会えば良いんでしょ? はぁ……これが薫の彼女とかだったら良いのにね~」
「え? 彼女も紹介するよ?」
「はいはい、楽しみにしてるわ~」
母さんはまったく信用してくれていないようだ。まあ僕の母親だし、今まで僕のモテない歴史を全部知ってるからね。急に彼女が出来て会って欲しいと言っても信用してくれないのだろう。葉月ちゃんとの写真を見せても良いけど、ここまで来たら直接会ってビックリしてもらおう!
「じゃあそろそろ行こうか」
僕は葉月ちゃんにチャットアプリで連絡を入れ、これから向かう事を伝えたのだった。
クリスマスのイルミネーションが輝く駅のロータリーから歩く事5分、タワーマンションが見えて来た。どうやら両親も目的地がどこなのか気付いてしまったらしくビビッている。
「ほ、本当にこんなところに行くのか?」
「大丈夫なの?」
「大丈夫だよ。今はここに住んでるからね。ほら急がないと待たせちゃうから」
ビビッて行かないとかなるとまずいので、無理やりエレベーターへ連れ込んだ。今の両親の気持ちは良く分かります。僕は2回も葉月ちゃんに連れ込まれたからね!!
さすがに観念したのか、両親は沈黙してしまった。そしてエレベーターが止まり、葉月ちゃんのお家に着いてしまった。勝手に入っても良いけど、チャイムを鳴らそうかな。
「ここが僕のお世話になってるお家です。そして僕の彼女の実家なので失礼の無いようにお願いね」
「彼女だと!?」
「噓……」
チャイムを鳴らし、しばらくすると玄関が開いた。そして僕の天使がお出迎えしてくれた!!
「おかえりなさい先輩。さあどうぞ入ってください。寒いところありがとうございます」
「ありがとう葉月ちゃん。お待たせしました」
そうして僕は、オロオロする両親を連れて広いキッチンルームへ案内したのだった。
◇
普段はリビングで食事をしているため、広いキッチンルームは使っていなかった。キッチンルームはちょっとしたパーティーを行うときに使用するらしいです。そして今日はうちの両親を招いたパーティーのため、いつものキッチンルームがパーティー会場に変わっていた。
天井から照らされる淡い光がオシャレ感を演出し、大きな窓から見える景色は東京スカイツリーで見たものに負けないと思う。ふふふ、このために午前中に東京スカイツリーへ行ったのだ!
座席は僕の隣に親父、母さんと並んで座り、僕の正面に葉月ちゃんが座っている。葉月ちゃんの隣にお義父さん、お義母さんと並んでいる。
テーブルの上には和食から洋食、中華までたくさんの料理で溢れていた。きっと好き嫌いが分からなかったので、大量に用意したんだと思います。お酒もビールからワイン、日本酒や焼酎までラインナップがすごい事になっていた。
「薫くんのお父さん、お母さん、今日は遠いところありがとうございます」
「い、いえ……」
「お招きありがとうございます……」
お義父さんが仕切ってくれるようだ。やはり企業のトップともなれば、こういう事に慣れているのだろう。そしてうちの両親、特に親父は慣れていないのか返事をするだけで精一杯です。きっと僕のヘタレ具合は親父に似たんだな!
「まずは乾杯しましょう」
お酒飲める人はビールを、葉月ちゃんはリンゴジュースで乾杯です。どうやら親父は吹っ切れたようで、ビールをグビグビと飲んでいた。酔っ払って勢いで乗り切ろうという作戦かもしれないな……。
お義父さんの乾杯が終わった後は、軽く自己紹介を行って食事を食べ始めた。どうやら料理は出前を頼んでおいたようです。さすがにこれだけの料理をお義母さんが作るのは無理だよね。
葉月ちゃんが僕の彼女という事と、同居している事を伝えたら驚いていた。
「ほ、本当に彼女なの?」
「昨日説明したよね、彼女紹介するって」
やはり信じていなかったようだ。さて、さすがに酔っ払って記憶が無くなる前に、僕からしっかりと伝えておこうかな。
「今日集まってもらったのは、僕とこちらの葉月さんですが、明日婚姻届を出そうと思ってます」
「黒川葉月です。お義父様、お義母様、宜しくお願い致します」
「本当に結婚するのか……」
「あの……葉月さんはお若いようですが、おいくつなんですか?」
「18歳です」
「18!?」
母さんの顔が驚愕を通り越して、顎が外れそうなくらい大きな口を開けていた。葉月ちゃんは18歳よりも若く見えるかもしれないけど、どっちにしても18歳で結婚は早いと思うのだろう。
「も、もしかして出来ちゃったとか……?」
「母さん失礼だろ! すいません葉月さん」
「いえ、気にしてませんので大丈夫です。それに赤ちゃん欲しいのでいつでも大歓迎です♪」
葉月ちゃんは赤ちゃん欲しいのか……。まあお義母さんの言葉じゃないけど、赤ちゃんは授かりものだし自然に任せよう!
どうやら両親の緊張も解けて来たようで、僕のヘタレ具合や悪口を言っている。本当にうちのヘタレで良いのかと聞いていた……。酷すぎる!
「そういう事だから、僕は婿養子で黒川さんのお家に行きます。中野家は兄貴に任せたから」
「そうか……」
「黒川さん、うちの息子を宜しくお願いします」
「こちらこそ、宜しくお願いします」
どうやら両親も納得してくれたらしく、僕も肩の荷が降りた。よし、後はご飯食べて料理を楽しもう!
◇◇
無事に顔合わせが終わり、両親を最寄り駅まで送って行った。二人とも結構お酒を飲んでいたようだけど、フラフラになる程飲んではいなかった。
「今度家に帰ってこい。色々と話を聞かないとダメだからな」
「そうよ。何でこんな大事な事を隠してたの!」
「いや、昨日言ったけど信じてくれなかったじゃないか……」
昨日しっかりと伝えたのに逆ギレされてしまった。解せぬ……。
「今度葉月ちゃん連れていくよ。気を付けて帰ってね」
「ああ、黒川さんに失礼の無いようにな」
「薫も風邪引かないようにね。いつでも帰って来なさいね」
最後は笑顔で帰って行く両親を見送り、僕のミッションは終了した。これで僕は明日から黒川薫になるのか……。
一人で家まで帰る途中、考え込んでしまった。この鑑定能力を授かってからというもの、僕の人生が大きく進んでしまった。バイト仲間である葉月ちゃんは気になる女性だったけど、お付き合いして結婚するなんて思ってもみなかった。
僕はこれから、葉月ちゃんを支えて幸せな家庭を作るのだ。笑顔溢れる幸せな家庭を作ろう。いつか分からないけど、子供が出来たら可愛いんだろうな……。葉月ちゃんに似た子なら、男の子でも可愛いに違いない。
そんな幸せな家庭を考えていたからだろうか、すぐに家に着いてしまった。
「おかえりなさい先輩」
「うん、ただいま葉月ちゃん」
笑顔で出迎えてくれた僕の奥さんは、世界で一番可愛いと思う。そうだ、今日は葉月ちゃんを鑑定していなかったな……。もう一日も終わりだけど、鑑定しておこうかな。葉月ちゃんを見つめ、神様に祈った。
【黒川葉月】
都内に住む高校3年生。
身長150cmくらいの小さな体ですが、お胸が大きくて肌はまさに処女雪のように白いのです。
見た目は小さいけど、健康体で健やかに育っています。
中野薫を婿養子に迎え、もうすぐ結婚します! お幸せに~!!
あと妊娠してますよ、おめでとうございます! 元気な子が産まれるでしょう♪
ヤンデレ度5%(-15)
※所有スキル※
名も知らぬ飢えた女豹の加護
激おこ葉月ちゃんの逆襲
※今日の運勢※
笑顔を絶やさないのが吉です。
「……っ」
あの神様、昨日までの鑑定に無かった一文が追加されてるんですが本当ですか!?
数年前に特急電車が新型車両になって話題になっていたけれど、実は初めて乗りました。外観が銀色で先頭車両が丸いフォルムになっていて、内装は座席の間隔が広くてゆったりと座れ、黄色いシートが鮮やかです。座り心地も良くてお金を払う価値があるなって感じました。
2列シートなので両親が並んで座り、僕は一人です。チラッと聞こえる会話を聞いていたら、旅行気分で楽しいと喜んでいました。まあ旅行気分で居られるのもあと半日だけどね!
特急電車で40分くらいで池袋駅に着き、そこから乗り継いで東京スカイツリーへ来ることが出来た。正直なところ、何回か迷ってスマホで調べました。東京観光に連れて行くと言いながら、僕のヘタレ具合を披露する形になってしまった。まあうちの親だし、良いよね!
天望回廊と天望デッキがセットになった当日入場券を買って館内を進み、煌びやかなエレベーターに乗り込みます。休日という事もあってすごく混んでる……。
「すごい加速だな」
「楽しいわね」
「展望デッキは地上350mらしいよ」
展望デッキで降りて窓側へ進み窓の外を見渡せば、模型のように小さくなったビルで溢れていた。東京にはこんなにビルがあったのかと思い知らされてしまった。葉月ちゃんのお家はどっちの方角だろうか?
「見て見ろ薫、富士山が見えるぞ」
興奮する親父が指す方向を見れば、雪を被った富士山が見えた。今日は晴天のため、遠くまで良く見える。
しばらく眺めた後は、別のエレベーターで更に100m上昇し、展望回廊というところへやってきた。シースルーになった道を歩いて次のフロアへ向かうため、空中散歩している気分が味わえるのだ。
「綺麗ね~」
「夜景の方が良かったかもね」
母さんも喜んでいるようで良かった。でも僕は普段から似たような景色を見ているため、そこまで驚くことは無かった。葉月ちゃんと一緒ならもっと楽しかったんだろうな……。
そんな感じで午前中は東京スカイツリーを満喫しました。さて、ここからが本番だ……。
東京スカイツリー観光が終わってから電車を乗り継ぎ、ついに最寄り駅へ着いた。だがしかし、さすがに歩き詰めで体力の無くなった両親は休憩を所望し、駅のロータリーにある喫茶店で一休みなのである。
僕たち3人でホットコーヒーを飲みながら、東京スカイツリーの感想を言い合っていたが、親父からこれから行くところについて聞かれてしまった。
「これから会うお世話になってる人って、どんな人なんだ?」
「すごく良くしてもらってる人達なんだ。これからもお世話になるから、会って欲しいんだよね」
「そうなのか……」
どうやら親父は怪訝そうな顔をしている。まあ急に言われても反応に困るよね……。
「良く分からないけど、会えば良いんでしょ? はぁ……これが薫の彼女とかだったら良いのにね~」
「え? 彼女も紹介するよ?」
「はいはい、楽しみにしてるわ~」
母さんはまったく信用してくれていないようだ。まあ僕の母親だし、今まで僕のモテない歴史を全部知ってるからね。急に彼女が出来て会って欲しいと言っても信用してくれないのだろう。葉月ちゃんとの写真を見せても良いけど、ここまで来たら直接会ってビックリしてもらおう!
「じゃあそろそろ行こうか」
僕は葉月ちゃんにチャットアプリで連絡を入れ、これから向かう事を伝えたのだった。
クリスマスのイルミネーションが輝く駅のロータリーから歩く事5分、タワーマンションが見えて来た。どうやら両親も目的地がどこなのか気付いてしまったらしくビビッている。
「ほ、本当にこんなところに行くのか?」
「大丈夫なの?」
「大丈夫だよ。今はここに住んでるからね。ほら急がないと待たせちゃうから」
ビビッて行かないとかなるとまずいので、無理やりエレベーターへ連れ込んだ。今の両親の気持ちは良く分かります。僕は2回も葉月ちゃんに連れ込まれたからね!!
さすがに観念したのか、両親は沈黙してしまった。そしてエレベーターが止まり、葉月ちゃんのお家に着いてしまった。勝手に入っても良いけど、チャイムを鳴らそうかな。
「ここが僕のお世話になってるお家です。そして僕の彼女の実家なので失礼の無いようにお願いね」
「彼女だと!?」
「噓……」
チャイムを鳴らし、しばらくすると玄関が開いた。そして僕の天使がお出迎えしてくれた!!
「おかえりなさい先輩。さあどうぞ入ってください。寒いところありがとうございます」
「ありがとう葉月ちゃん。お待たせしました」
そうして僕は、オロオロする両親を連れて広いキッチンルームへ案内したのだった。
◇
普段はリビングで食事をしているため、広いキッチンルームは使っていなかった。キッチンルームはちょっとしたパーティーを行うときに使用するらしいです。そして今日はうちの両親を招いたパーティーのため、いつものキッチンルームがパーティー会場に変わっていた。
天井から照らされる淡い光がオシャレ感を演出し、大きな窓から見える景色は東京スカイツリーで見たものに負けないと思う。ふふふ、このために午前中に東京スカイツリーへ行ったのだ!
座席は僕の隣に親父、母さんと並んで座り、僕の正面に葉月ちゃんが座っている。葉月ちゃんの隣にお義父さん、お義母さんと並んでいる。
テーブルの上には和食から洋食、中華までたくさんの料理で溢れていた。きっと好き嫌いが分からなかったので、大量に用意したんだと思います。お酒もビールからワイン、日本酒や焼酎までラインナップがすごい事になっていた。
「薫くんのお父さん、お母さん、今日は遠いところありがとうございます」
「い、いえ……」
「お招きありがとうございます……」
お義父さんが仕切ってくれるようだ。やはり企業のトップともなれば、こういう事に慣れているのだろう。そしてうちの両親、特に親父は慣れていないのか返事をするだけで精一杯です。きっと僕のヘタレ具合は親父に似たんだな!
「まずは乾杯しましょう」
お酒飲める人はビールを、葉月ちゃんはリンゴジュースで乾杯です。どうやら親父は吹っ切れたようで、ビールをグビグビと飲んでいた。酔っ払って勢いで乗り切ろうという作戦かもしれないな……。
お義父さんの乾杯が終わった後は、軽く自己紹介を行って食事を食べ始めた。どうやら料理は出前を頼んでおいたようです。さすがにこれだけの料理をお義母さんが作るのは無理だよね。
葉月ちゃんが僕の彼女という事と、同居している事を伝えたら驚いていた。
「ほ、本当に彼女なの?」
「昨日説明したよね、彼女紹介するって」
やはり信じていなかったようだ。さて、さすがに酔っ払って記憶が無くなる前に、僕からしっかりと伝えておこうかな。
「今日集まってもらったのは、僕とこちらの葉月さんですが、明日婚姻届を出そうと思ってます」
「黒川葉月です。お義父様、お義母様、宜しくお願い致します」
「本当に結婚するのか……」
「あの……葉月さんはお若いようですが、おいくつなんですか?」
「18歳です」
「18!?」
母さんの顔が驚愕を通り越して、顎が外れそうなくらい大きな口を開けていた。葉月ちゃんは18歳よりも若く見えるかもしれないけど、どっちにしても18歳で結婚は早いと思うのだろう。
「も、もしかして出来ちゃったとか……?」
「母さん失礼だろ! すいません葉月さん」
「いえ、気にしてませんので大丈夫です。それに赤ちゃん欲しいのでいつでも大歓迎です♪」
葉月ちゃんは赤ちゃん欲しいのか……。まあお義母さんの言葉じゃないけど、赤ちゃんは授かりものだし自然に任せよう!
どうやら両親の緊張も解けて来たようで、僕のヘタレ具合や悪口を言っている。本当にうちのヘタレで良いのかと聞いていた……。酷すぎる!
「そういう事だから、僕は婿養子で黒川さんのお家に行きます。中野家は兄貴に任せたから」
「そうか……」
「黒川さん、うちの息子を宜しくお願いします」
「こちらこそ、宜しくお願いします」
どうやら両親も納得してくれたらしく、僕も肩の荷が降りた。よし、後はご飯食べて料理を楽しもう!
◇◇
無事に顔合わせが終わり、両親を最寄り駅まで送って行った。二人とも結構お酒を飲んでいたようだけど、フラフラになる程飲んではいなかった。
「今度家に帰ってこい。色々と話を聞かないとダメだからな」
「そうよ。何でこんな大事な事を隠してたの!」
「いや、昨日言ったけど信じてくれなかったじゃないか……」
昨日しっかりと伝えたのに逆ギレされてしまった。解せぬ……。
「今度葉月ちゃん連れていくよ。気を付けて帰ってね」
「ああ、黒川さんに失礼の無いようにな」
「薫も風邪引かないようにね。いつでも帰って来なさいね」
最後は笑顔で帰って行く両親を見送り、僕のミッションは終了した。これで僕は明日から黒川薫になるのか……。
一人で家まで帰る途中、考え込んでしまった。この鑑定能力を授かってからというもの、僕の人生が大きく進んでしまった。バイト仲間である葉月ちゃんは気になる女性だったけど、お付き合いして結婚するなんて思ってもみなかった。
僕はこれから、葉月ちゃんを支えて幸せな家庭を作るのだ。笑顔溢れる幸せな家庭を作ろう。いつか分からないけど、子供が出来たら可愛いんだろうな……。葉月ちゃんに似た子なら、男の子でも可愛いに違いない。
そんな幸せな家庭を考えていたからだろうか、すぐに家に着いてしまった。
「おかえりなさい先輩」
「うん、ただいま葉月ちゃん」
笑顔で出迎えてくれた僕の奥さんは、世界で一番可愛いと思う。そうだ、今日は葉月ちゃんを鑑定していなかったな……。もう一日も終わりだけど、鑑定しておこうかな。葉月ちゃんを見つめ、神様に祈った。
【黒川葉月】
都内に住む高校3年生。
身長150cmくらいの小さな体ですが、お胸が大きくて肌はまさに処女雪のように白いのです。
見た目は小さいけど、健康体で健やかに育っています。
中野薫を婿養子に迎え、もうすぐ結婚します! お幸せに~!!
あと妊娠してますよ、おめでとうございます! 元気な子が産まれるでしょう♪
ヤンデレ度5%(-15)
※所有スキル※
名も知らぬ飢えた女豹の加護
激おこ葉月ちゃんの逆襲
※今日の運勢※
笑顔を絶やさないのが吉です。
「……っ」
あの神様、昨日までの鑑定に無かった一文が追加されてるんですが本当ですか!?
0
お気に入りに追加
5
あなたにおすすめの小説


ライトニング・エクリプス
suepi2007
SF
chatGPTとともに細かい設定を考えました。大まかな設定や主人公の能力設定は自身のイメージで作っています。
「未来の地球で、光と闇の力が交錯する中、18歳の青年が唯一無二の能力を駆使して運命に立ち向かう。彼の名は氷霧碧(ひぎりあおい)。敵対勢力『ルナティック・クラン』との壮絶な戦いが、今始まる…」
『星屑の狭間で』(チャレンジ・ミッション編)
トーマス・ライカー
SF
政・官・財・民・公・軍に拠って構成された複合巨大組織『運営推進委員会』が、超大規模なバーチャル体感サバイバル仮想空間・艦対戦ゲーム大会『サバイバル・スペースバトルシップ』を企画・企図(きと)し、準備して開催(かいさい)に及んだ。
そのゲーム大会の1部を『運営推進委員会』にて一席を占める、ネット配信メディア・カンパニー『トゥーウェイ・データ・ネット・ストリーム・ステーション』社が、配信リアル・ライヴ・バラエティー・ショウ『サバイバル・スペースバトルシップ・キャプテン・アンド・クルー』として、順次(じゅんじ)に公開している。
アドル・エルクを含む20人は艦長役として選ばれ、それぞれがスタッフ・クルーを男女の芸能人の中から選抜して、軽巡宙艦に搭乗(とうじょう)して操り、ゲーム大会で奮闘する模様を撮影されて、配信リアル・ライヴ・バラエティー・ショウ『サバイバル・スペースバトルシップ・キャプテン・アンド・クルー』の中で出演者のコメント付きで紹介されている。
『運営推進本部』は、1ヶ月に1〜2回の頻度(ひんど)でチャレンジ・ミッションを発表し、それへの参加を強く推奨(すいしょう)している。
【『ディファイアント』共闘同盟】は基本方針として、総てのチャレンジ・ミッションには参加すると定めている。
本作はチャレンジ・ミッションに参加し、ミッションクリアを目指して奮闘(ふんとう)する彼らを描く…スピンオフ・オムニバス・シリーズです。
『特別解説…1…』
この物語は三人称一元視点で綴られます。一元視点は主人公アドル・エルクのものであるが、主人公のいない場面に於いては、それぞれの場面に登場する人物の視点に遷移(せんい)します。
まず主人公アドル・エルクは一般人のサラリーマンであるが、本人も自覚しない優れた先見性・強い洞察(どうさつ)力・強い先読みの力・素晴らしい集中力・暖かい包容力を持ち、それによって確信した事案に於ける行動は早く・速く、的確で適切です。本人にも聴こえているあだ名は『先読みのアドル・エルク』と言う。
追記
以下に列挙しますものらの基本原則動作原理に付きましては『ゲーム内一般技術基本原則動作原理設定』と言う事で、ブラックボックスとさせて頂きます。
ご了承下さい。
インパルス・パワードライブ
パッシブセンサー
アクティブセンサー
光学迷彩
アンチ・センサージェル
ミラージュ・コロイド
ディフレクター・シールド
フォース・フィールド
では、これより物語は始まります。
忘却の艦隊
KeyBow
SF
新設された超弩級砲艦を旗艦とし新造艦と老朽艦の入れ替え任務に就いていたが、駐留基地に入るには数が多く、月の1つにて物資と人員の入れ替えを行っていた。
大型輸送艦は工作艦を兼ねた。
総勢250艦の航宙艦は退役艦が110艦、入れ替え用が同数。
残り30艦は増強に伴い新規配備される艦だった。
輸送任務の最先任士官は大佐。
新造砲艦の設計にも関わり、旗艦の引き渡しのついでに他の艦の指揮も執り行っていた。
本来艦隊の指揮は少将以上だが、輸送任務の為、設計に関わった大佐が任命された。
他に星系防衛の指揮官として少将と、退役間近の大将とその副官や副長が視察の為便乗していた。
公安に近い監査だった。
しかし、この2名とその側近はこの艦隊及び駐留艦隊の指揮系統から外れている。
そんな人員の載せ替えが半分ほど行われた時に中緊急警報が鳴り、ライナン星系第3惑星より緊急の救援要請が入る。
機転を利かせ砲艦で敵の大半を仕留めるも、苦し紛れに敵は主系列星を人口ブラックホールにしてしまった。
完全にブラックホールに成長し、その重力から逃れられないようになるまで数分しか猶予が無かった。
意図しない戦闘の影響から士気はだだ下がり。そのブラックホールから逃れる為、禁止されている重力ジャンプを敢行する。
恒星から近い距離では禁止されているし、システム的にも不可だった。
なんとか制限内に解除し、重力ジャンプを敢行した。
しかし、禁止されているその理由通りの状況に陥った。
艦隊ごとセットした座標からズレ、恒星から数光年離れた所にジャンプし【ワープのような架空の移動方法】、再び重力ジャンプ可能な所まで移動するのに33年程掛かる。
そんな中忘れ去られた艦隊が33年の月日の後、本星へと帰還を目指す。
果たして彼らは帰還できるのか?
帰還出来たとして彼らに待ち受ける運命は?

【完結】仰る通り、貴方の子ではありません
ユユ
恋愛
辛い悪阻と難産を経て産まれたのは
私に似た待望の男児だった。
なのに認められず、
不貞の濡れ衣を着せられ、
追い出されてしまった。
実家からも勘当され
息子と2人で生きていくことにした。
* 作り話です
* 暇つぶしにどうぞ
* 4万文字未満
* 完結保証付き
* 少し大人表現あり

【BIO DEFENSE】 ~終わった世界に作られる都市~
こばん
SF
世界は唐突に終わりを告げる。それはある日突然現れて、平和な日常を過ごす人々に襲い掛かった。それは醜悪な様相に異臭を放ちながら、かつての日常に我が物顔で居座った。
人から人に感染し、感染した人はまだ感染していない人に襲い掛かり、恐るべき加速度で被害は広がって行く。
それに対抗する術は、今は無い。
平和な日常があっという間に非日常の世界に変わり、残った人々は集い、四国でいくつかの都市を形成して反攻の糸口と感染のルーツを探る。
しかしそれに対してか感染者も進化して困難な状況に拍車をかけてくる。
さらにそんな状態のなかでも、権益を求め人の足元をすくうため画策する者、理性をなくし欲望のままに動く者、この状況を利用すらして己の利益のみを求めて動く者らが牙をむき出しにしていきパニックは混迷を極める。
普通の高校生であったカナタもパニックに巻き込まれ、都市の一つに避難した。その都市の守備隊に仲間達と共に入り、第十一番隊として活動していく。様々な人と出会い、別れを繰り返しながら、感染者や都市外の略奪者などと戦い、都市同士の思惑に巻き込まれたりしながら日々を過ごしていた。
そして、やがて一つの真実に辿り着く。
それは大きな選択を迫られるものだった。
bio defence
※物語に出て来るすべての人名及び地名などの固有名詞はすべてフィクションです。作者の頭の中だけに存在するものであり、特定の人物や場所に対して何らかの意味合いを持たせたものではありません。

【VRMMO】イースターエッグ・オンライン【RPG】
一樹
SF
ちょっと色々あって、オンラインゲームを始めることとなった主人公。
しかし、オンラインゲームのことなんてほとんど知らない主人公は、スレ立てをしてオススメのオンラインゲームを、スレ民に聞くのだった。
ゲーム初心者の活字中毒高校生が、オンラインゲームをする話です。
以前投稿した短編
【緩募】ゲーム初心者にもオススメのオンラインゲーム教えて
の連載版です。
連載するにあたり、短編は削除しました。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる