レディ・ナイトメアの奮闘 ~生首大好き令嬢に転生してしまったけど救いのない世界は嫌なので、呪われた館をリフォームします~

譚月遊生季

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60.「なんだか雲行きが怪しい」

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「それで……隣の人は?」
「あ? 何見てんだコラ……あいでででお嬢すいやせん!!」

 警戒しているんだろうけれど、態度の悪いゴードンの足を思いっきり踏みつけておく。
 まあカッコ悪いところ見せるぶんにはね、別に問題ないよね。攻略対象から遠ざかってくれそうだし。

「ゴードン、お客様にはちゃんと挨拶なさいな」
「ウィッス……」

 涙目になりつつ、ゴードンは伊織に向けて「ゴードン・ヒルズ。……お嬢の従者だ。よろしく」と挨拶をする。

「良かったぁ……マジ困ったどうしようって思ってたけど、案外いい人じゃん?」

 あれ。なんか思ってたのと違うな。伊織ちゃん、だんだんギャルっぽい口調になってきてない? 気のせい?

「てか、従者って何? 彼氏……ええと、彼ピじゃないの? ど、どんだけ~~」

 いやこれギャルになろうとしてるだけだ!! それが今の状況に合うと認識してるだけだ!! 
 無理すんな「怪異喰」!!! 今まで色んな「怪異」を取り込んできたとしても、怪異の中にギャルは少ないんじゃないかなぁ!?

「か……かれ、ぴ……? ぴ……? ど、どういう意味スかお嬢……?」

 ほら、ゴードンも困惑しちゃってるし! 

「そ、そうですわね……。どう説明すべきでしょう……」
「あ、彼ピっていうのは彼氏をフランクに……フランクに……? あー……なんていうか……いい感じに言った言葉……的な……?」

 ちょ、本当に無理しなくていいんだよ!?
 意識の集合体である「怪異喰」に素があるのかどうかは分からないけど、いくら状況に合わせるためとはいえ、ないもの無理に捻り出すのはやめた方がいいって!

 それはそうとして、ギャルが合う状況って何……!?

「ま、まあ、面白い方ですわねイオリさん。どうぞ、仲良くしてくださいまし」
「よ、よろ~~!」

 お互いにぎこちない空気のまま、流れで食堂に向かう。

「にしても、良かったぁ。いお、誰かいてすっごく安心した」
「ふふ、それは良かったですわ」

 明るく語る「怪異喰」ことイオリ。
 なんだ。強力な怪異だと思って戦々恐々としていたけど、案外どうにかなりそうじゃん。

「あ、あのさ」
「ん? 何ですの?」
「いお、可愛い女の子好きなの。……ちょうど、チェルシーみたいな感じのコ……」

 あれ。
 何だろう。雲行きが怪しい気がしてきた。

「ほんとに、可愛いね。

 ……………………。
 あの、なんだろう。
 アルバートみたいなこと言い出すのやめてくれます???
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