レディ・ナイトメアの奮闘 ~生首大好き令嬢に転生してしまったけど救いのない世界は嫌なので、呪われた館をリフォームします~

譚月遊生季

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56.「乙女ゲームのイケメンになろう」

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「怪異喰」は自分をごく普通の女子高生だと思い込んでいるはずなので、そちらを攻略するのはそう難しくない。
 要するに、乙女ゲームの登場人物っぽくなればいい。

 ぶっちゃけて言うと、レイラ√の方はそんなに心配していない。普通に良い子だから、普通に接していれば普通に好きになるはずだし。
 問題はエドマンドだ。こいつの場合、普通に接してたら訳が分からない。っていうか怖い。

 これが原作だと「レディ・ナイトメア」とかいう激ヤバ女が首を狙ってきて、いつしか毎回助けに現れてくれたことに気付き……って流れなんだけど、今の状態でわたしが悪役を演じたとして、エドマンドは素直に斬り捨てられるのかな?
 そもそも、斬り捨てられたくないし。

 ……と、なると別の方面からのアプローチが必要になる。要するに、ときめきポイントを増やせばいい。

「エドマンド、ひざまづいて手を取って、『貴方は私が守る』みたいなこと言える?」
「……?」
「いいからやってみて。難しそうだったら反復練習ね」
「其れは……復讐か(訳:必要なことなのか?)」
「レイラちゃんがボイトレ頑張ってるんだし、エドマンドも普通に話せるように練習しなよ。台本あったらやりやすいでしょ?」

 理由は今考えたけど、テキトーに考えた割にはいい線行ってる気がする。
 実際、意思疎通しやすくなったら楽だろうし……
 
「……に、兄さん、頑張って……!」

 レイラちゃんの声援に背を押されたのか、エドマンドはスッと跪き、わたしの手を取る。
 おお、カッコイイ。ここら辺の仕草は堕ちても騎士なんだなぁ。
 ……あれ? 視界の端でゴードンの首がグラッと揺れたような……。

「『此度こたびこそは、成し遂げよう。今ここに、復讐の機は訪れ……」
「カット!!!」

 一言目から全然違うんですけど!!!!
 っていうか、元のセリフより長くなってるんですけど!!!? 
 
「台本通り話せって言ったよね!?」
「む……無念……ッ、我が憎悪は魂をきつくした(訳:どうしても上手く話せない……!)」
「なんで!? その口調、逆に難しくない!?」

 こ……これは、難儀だなぁ……。マイク装備するだけで解決するレイラちゃんが、どれほど対処しやすいか思い知らされる……。

「落ち着いて、ゆっくりで良いから、台本通りに話してみて。レイラちゃんの言葉を翻訳してた時みたいに」
「理解した。復讐の時は近い(訳:わかった。頑張ってみよう)」

 とはいえ前向きに努力してくれてるみたいだから、希望は全然あると思う。
 できれぱ、血の涙流すのも控えて欲しいんだけど……まあ首落としたりブリッジ走りしたりする奴らがいるわけだし、そこら辺は妥協だきょうかな。

「……ぐ……ぐぐ……」

 あれ?
 さっきからゴードン、どうしたんだろう。
 めちゃくちゃ首がぐらぐら揺れてるんだけど……。
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