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44. 語られざる真実
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レイラの話をまとめると、こうだ。
彼らが生きたのは王様が他国との戦争に負けまくって領土を減らしてた時代。戦争のせいで故郷を失くし、二人きりになったエドマンドとレイラの兄妹は、懸命に支え合いながらとある地方領地に辿り着く。
レイラは修道院にて庇護され、エドマンドは正式な契約を結んでいない「黒騎士」として、ほぼ傭兵に近い形で生計を立てていたのだとか。
そんな折り、修道院にて奉仕活動をするレイラに声をかける貴族がいた。良家であるはずの彼らはみすぼらしい衣装で正体を隠し、「お忍びで若い娘を探している」と語ったという。修道院にレイラという名の娘がいると聞き、「もしや運命か」と訪ねてきたのだと……
「領主に嫁ぐ予定だった娘が、騎士と駆け落ちをしてしまった……! このままでは我が家はお終いだ。どうか、娘のふりをして領主と婚姻をしてくれないか!!」
彼らは高貴な身分にもかかわらず、必死になってレイラに頼み込んだ。
美しく、気品のある彼女であれば、良家の令嬢になりすませるだろうと。相手は深窓の令嬢として大切に育てられていたため、一部の使用人達さえ口止めできれば外見も誤魔化せるはずだと……。
悩むレイラに、貴族たちはもう一つ条件をつけた。
駆け落ちした騎士の代わりに、兄のエドマンドを正式な騎士として雇う……と。上手くいけば領主のお抱え騎士さえも目指せる地位だと、彼らはレイラを熱心に口説いた。
レイラにその話を告げられ、エドマンドは渋い顔をした。
後ろ盾のないレイラに、同じく後ろ盾のないエドマンドがしてやれることは少ない。貴族の後ろ盾を得られることは、確かに、レイラの幸福に繋がるようにも思える。……が、それが見知らぬ男との婚姻に関わる話なら、諸手を挙げて喜ぶこともできない。
「レイラ。お前はそれでいいのか」
「……領主様は優しいお方らしいし、私は大丈夫」
緊張した面持ちのレイラに、エドマンドは眉間にシワを寄せつつ思案した。
高貴な相手と婚姻を結ぶのならば、今までよりずっと良い暮らしをさせてやれるのは間違いない。……けれど、その生活が幸福かどうか、「相手」に容易く左右されてしまうのも事実だ。
「……ああ、そうか。領主がどのような人間であれ、関係ないな。私が領主の騎士となれば、いつでもお前を救い出せる」
「……! 兄さん……」
「案ずるな、レイラ。私はいつでも、お前の味方として在ろう。この剣はそのためにある」
微笑む兄に抱きつき、レイラは歓喜の涙を流した。
こうして二人は兄妹であることを隠し、互いに課せられた「役割」を果たすべく動き始めることになる。
レイラは表向き貴族の令嬢となり、周囲に隠れて花嫁修業に明け暮れた。その間にエドマンドは正式な騎士となり、みるみるうちに武功を挙げて名声を得、領主に仕える立場となった。
その後訪れる、過酷な運命を知らないままに……。
……うん、全然短くまとまんない! これだけで物語一本できるし!
そりゃあ省くよ兄妹設定!!
彼らが生きたのは王様が他国との戦争に負けまくって領土を減らしてた時代。戦争のせいで故郷を失くし、二人きりになったエドマンドとレイラの兄妹は、懸命に支え合いながらとある地方領地に辿り着く。
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そんな折り、修道院にて奉仕活動をするレイラに声をかける貴族がいた。良家であるはずの彼らはみすぼらしい衣装で正体を隠し、「お忍びで若い娘を探している」と語ったという。修道院にレイラという名の娘がいると聞き、「もしや運命か」と訪ねてきたのだと……
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レイラにその話を告げられ、エドマンドは渋い顔をした。
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「レイラ。お前はそれでいいのか」
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高貴な相手と婚姻を結ぶのならば、今までよりずっと良い暮らしをさせてやれるのは間違いない。……けれど、その生活が幸福かどうか、「相手」に容易く左右されてしまうのも事実だ。
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「……! 兄さん……」
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