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第三十一話 ヤりすぎ妖怪伝説 ※

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「ん……」 
「はぁ……あぁっ」

 銀狐が目を覚まして最初に聞いたのは、荒い吐息と呻き声だった。
 続いて、顔の横に浅黒い手が置かれていること、畳がギシギシときしんでいることに気付く。

 肉体の感覚は、遅れてやってきた。

「───ッ!?」

 下腹部にはいきり立った逸物が埋められ、前後に律動している。
 繋がった箇所からは大量の白濁が溢れ、愛液と混ざって肉棒の抽挿ちゅうそうを助けていた。

「は……っ、え、な、なんや……ぁあっ」

 混乱したまま、銀狐は為す術もなく快楽に呑まれていく。
 胸がたゆんと揺れ、女体の状態で抱かれているのだとようやく気が付いた。

「あぁっ、ふ、深ぁ……んんんっ」
「はぁ……、はぁっ、堪らん……堪らんわい……!」

 貫八の浅黒い手が胸元に伸び、豊かな胸を揉みしだいては先端をくりくりと摘む。
 やがて貫八は自らのそれを深く繋げたまま、銀狐の腰を高く持ち上げた。

「あ、それ、あか──」

 銀狐は全てを悟って制止しようとするが、一足遅かった。

「んぅーーーーーーっ!?」

 ぐりぐりと、貫八の怒張が銀狐のもっとも悦ぶ箇所を責め立てる。
 びくびくと身を震わせながら、銀狐は呆気なく達してしまった。
 内側の肉壁も小刻みに痙攣けいれんし、貫八の竿を握り締める。 

 遠のく意識の中。
 銀狐は、溢れんばかりの欲望がはらの中に放たれるのを感じていた。



 しばらく後。
 男体に戻った銀狐が目を覚ますと、枕元で貫八が神妙しんみょうな顔をして正座していた。
 銀狐が「どないしたんや」と声をかけると、貫八はバツの悪そうな顔で昨夜の暴走を謝罪する。

「…………てことは、なんや、うちがことに気付かへんと犯しとったんか」
「すみません……」

 貫八が我に返ると、繋がった箇所から大量の精を溢れさせてぐったりしている銀狐が目に入り、さすがに青ざめたそうだ。
 恐る恐る竿を抜くと、銀狐の中に放たれた白濁がどろどろと流れ出し、「やってしまった」と思ったのだとか。

「どうせこないだもそうやったんやろ」
「こ、こないだはすっかり元気になっとると思うたけん、つい……」
「……うちはずっと元気にやっとるわ」
「あっ、……そ、そうでしたね!」
「パッとせぇへん返しやな……」

 銀狐はどうにか強がっているが、すっかり腰が砕けて布団から起き上がれていない。
 ……が、貫八をこれ以上責め立てる気にもなれなかった。

 思い出してしまったからだ。
 酒に酔った自分が、紳士たろうとする貫八を煽りに煽ったという事実を……

「……昨夜のことは忘れぇ」
「……えっ」
「なんや、その『えっ』は」
「忘れられるわけないじゃろう?!! あなぁにどすけべな銀狐さんを!!?!!??」
「……。えらい元気に騒いではるなぁ……」

 眉間を抑えつつ、銀狐は大きくため息をつく。
「酒は飲んでも飲まれるな」とは、よく言ったものである。

「し、しんからかまんか本当に大丈夫か? もし孕んどったら責任取るけん……!」

 腹筋の割れた腹を撫でさすり、貫八は気が動転した様子で声をかけてくる。

「ええから落ち着きや」

 貫八にはなだめるように言いつつ、銀狐の方も内心では「あかん。ほんまに起き上がられへん。どないしょ」と焦りまくっていた。
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