20 / 34
第十九話 溢れ出す欲 ※
しおりを挟む
場所は変わって、銀狐の屋敷。
銀狐は居間の畳の上に里の地図を広げ、何事か思案していた。
「銀狐さーん! お茶淹れましたよ!」
そんな銀狐の元に、盆を持った貫八が朗らかな笑顔で現れる。
「お仕事お疲れ様です! 肩揉みますよ!」
弾けるような笑顔で声をかけてくる貫八に、銀狐は呆れたように返した。
「えらい気が利きはるなぁ。それで? ほんまはどこを揉みたいん?」
「乳です!」
「…………」
一周まわって清々しいほどの回答に、銀狐は絶句するより他なかった。
「……あっ、もちろん尻も良いと思ってますよ!」
「ぶぶ漬けいかがどす」
「ここに来て鉄板ネタですか……」
肩を落とす貫八を一瞥し、銀狐ははあ……と大きくため息をつく。
地図を畳みながら、口の中で呟くように告げた。
「肩揉みがどうとか、おためごかしはええ」
「ん?」
「最初から正直に言いなはれ」
朱の引かれた目尻が、ほんのりと赤らむ。
悪癖の出る時間が訪れたのか、銀狐の背丈が次第に縮み、狩衣の胸元がふっくらと膨らみ始める。
「別に、嫌やとは言うてへんやろ」
先程より幾分高くなった声音は、わずかに上ずっていた。
「……! 銀狐さんっ!!」
「!? い、いきなり抱きつきなや……!」
満面の笑顔で、背後から抱きつく貫八に、銀狐は顔を赤くしつつ抗議をする。
浅黒い右手が、先程より小さくなった右手と指先を絡める。
もう片方の手が、銀狐の胸元に伸びた。
「……どこ、触っとるんや」
「嫌やないって言うたけん」
未だ人間の形の耳元に口を寄せると、貫八は胸の形をなぞるように指を這わせ、大きな手のひら全体でやわやわと揉む。
「ん……っ」
銀狐の口から甘い吐息が漏れ、頭上にぴょこりと狐の耳が生える。
「……したいんなら、部屋に……」
「ここじゃいけんか?」
「み、見られたらどないすんねん」
何を言い出すのかと、焦り出す銀狐。
貫八はニィと口角を吊り上げ、狐の耳を軽く甘噛みした。
「ひぅ……っ!?」
「見せつけちゃればええ」
貫八は狩衣の袖から腕を差し入れ、内側から胸元に手を伸ばす。
主張し始めた突起を探り当て、肌着の上からくにくにと弄り始めた。
「あぅっ、うぅ……」
周りに聞かれないよう声を噛み殺す銀狐。
その姿を愛おしげに見つめ、貫八は再び耳元で囁いた。
「過去のことはええ。辿り着けなんだわしが悪いけん」
「うぁっ、ふ、ぅう……っ」
乳房を揉まれ、突起をまさぐられ、銀狐の吐息が徐々に熱を帯び始める。
「ほいでも、今は違うぞな」
「……っ、あ……」
袴越しに硬くなった「それ」に触れ、銀狐は思わず息を飲んだ。
「銀狐。おんしを抱いてええのはわしだけじゃ」
赤黒い舌が、白い首筋を舐る。
赤い瞳を輝かせ、貫八は銀狐の身体をきつく抱き締めた。
銀狐は居間の畳の上に里の地図を広げ、何事か思案していた。
「銀狐さーん! お茶淹れましたよ!」
そんな銀狐の元に、盆を持った貫八が朗らかな笑顔で現れる。
「お仕事お疲れ様です! 肩揉みますよ!」
弾けるような笑顔で声をかけてくる貫八に、銀狐は呆れたように返した。
「えらい気が利きはるなぁ。それで? ほんまはどこを揉みたいん?」
「乳です!」
「…………」
一周まわって清々しいほどの回答に、銀狐は絶句するより他なかった。
「……あっ、もちろん尻も良いと思ってますよ!」
「ぶぶ漬けいかがどす」
「ここに来て鉄板ネタですか……」
肩を落とす貫八を一瞥し、銀狐ははあ……と大きくため息をつく。
地図を畳みながら、口の中で呟くように告げた。
「肩揉みがどうとか、おためごかしはええ」
「ん?」
「最初から正直に言いなはれ」
朱の引かれた目尻が、ほんのりと赤らむ。
悪癖の出る時間が訪れたのか、銀狐の背丈が次第に縮み、狩衣の胸元がふっくらと膨らみ始める。
「別に、嫌やとは言うてへんやろ」
先程より幾分高くなった声音は、わずかに上ずっていた。
「……! 銀狐さんっ!!」
「!? い、いきなり抱きつきなや……!」
満面の笑顔で、背後から抱きつく貫八に、銀狐は顔を赤くしつつ抗議をする。
浅黒い右手が、先程より小さくなった右手と指先を絡める。
もう片方の手が、銀狐の胸元に伸びた。
「……どこ、触っとるんや」
「嫌やないって言うたけん」
未だ人間の形の耳元に口を寄せると、貫八は胸の形をなぞるように指を這わせ、大きな手のひら全体でやわやわと揉む。
「ん……っ」
銀狐の口から甘い吐息が漏れ、頭上にぴょこりと狐の耳が生える。
「……したいんなら、部屋に……」
「ここじゃいけんか?」
「み、見られたらどないすんねん」
何を言い出すのかと、焦り出す銀狐。
貫八はニィと口角を吊り上げ、狐の耳を軽く甘噛みした。
「ひぅ……っ!?」
「見せつけちゃればええ」
貫八は狩衣の袖から腕を差し入れ、内側から胸元に手を伸ばす。
主張し始めた突起を探り当て、肌着の上からくにくにと弄り始めた。
「あぅっ、うぅ……」
周りに聞かれないよう声を噛み殺す銀狐。
その姿を愛おしげに見つめ、貫八は再び耳元で囁いた。
「過去のことはええ。辿り着けなんだわしが悪いけん」
「うぁっ、ふ、ぅう……っ」
乳房を揉まれ、突起をまさぐられ、銀狐の吐息が徐々に熱を帯び始める。
「ほいでも、今は違うぞな」
「……っ、あ……」
袴越しに硬くなった「それ」に触れ、銀狐は思わず息を飲んだ。
「銀狐。おんしを抱いてええのはわしだけじゃ」
赤黒い舌が、白い首筋を舐る。
赤い瞳を輝かせ、貫八は銀狐の身体をきつく抱き締めた。
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
28
1 / 5
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる