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第八話 狸の×× ※
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「……あ。お取り込み中だったのか。邪魔して悪かったかな」
頬をかく鴉天狗……高尾に、銀狐は慌てて釈明した。
「ち……ちゃう! ……いや、取り込んどるんはそやけど、深ぁい訳があってやな……」
「そうですよ。めちゃくちゃ取り込み中でした」
「あんたは黙っとき」
貫八をキッと睨みつけ、銀狐は変化の力を駆使して乱れた狩衣と脱がされた袴を綺麗に整える。
「高尾。今見たことは誰にも言うたらあかん」
「えーと……つまり、愛人?」
「深入りもせんでええ」
「愛人じゃなくて将来の旦那でぐふっ」
ここぞとばかりに主張してくる貫八の鳩尾に、銀狐の肘先が綺麗に突き刺さった。
「ええか。何も気にせんでええ」
ぷるぷると震えて畳の上に転がる貫八には目もくれず、銀狐は念を押す。
「わかりましたよ。誰にでも、触れられたくないことはあるからね」
高尾は、銀狐とはまた違った方向性の端麗な顔に、穏やかな微笑を浮かべた。うんうんと大きく頷き、銀狐の肩にしなやかな手をそっと置く。
「ただ……銀狐さん。私は応援していますから」
優しげな声で放たれた台詞に、銀狐は思わず固まった。
「は……っ?」
「大丈夫。秘密は守ります」
呆気にとられる銀狐を背に、高尾は肩ほどまでの黒髪を揺らして颯爽と立ち去っていく。
「応援て……。た、高尾、やっぱし君、なんや勘違いして……」
慌てて呼び止めようとする銀狐の背後から、貫八がぬっと顔を出した。
「高尾さん? がせっかく応援してくれたわけですし、もう一発ヤりますか!」
「は……? ま、まだ出せるんか、あんた……」
ありえへん。
青ざめた銀狐の唇が、吐息だけで言葉を紡ぐ。
溢れた精の量を思えば、とっくに限界は超えているはず──
「ほうじゃけん、言うたわい」
つつ、と、節くれだった指が銀狐の腰をなぞる。
「わしら化け狸は、金玉がでかいことが自慢じゃ」
貫八はぺろりと舌なめずりをし、袴越しに銀狐の孔をとんとんと叩く。
「離れとったぶん、ようけ注いじゃる」
「……ッ、この、助平狸……っ!」
耳まで茹で上がったように赤くしつつも、銀狐は、なし崩しに畳の上へと押し倒される。
白い指先が、背後に敷かれていた布団に触れた。
「なんや、いつの間にこんなん……」
「わしが準備したんぞな」
ニコニコと上機嫌に笑い、貫八は銀狐の上に跨る。
「これで、存分に仲良うできるじゃろ」
「……あんたなぁ……」
ギラついた眼差しが、銀狐をじっくりと睨め回す。
「相変わらず、別嬪じゃのう……」
感嘆の吐息を漏らし、貫八は再び銀狐の狩衣に手をかけた。
「あっ、あっ! あぁ、も……あかん……っ、ほんまにあかんてぇっ!」
「おんしの中は、まだまだ欲しがっとるぞなもし」
「うぁっ、あっ、そんなこと……っ、あらへん……! あ、ぁあっ、深……っ、あぁーーーーーーっ」
しばらく後。
またしても忙しなく走り回っていた輪島が、浴室にて真っ赤な顔で湯船に浸かる銀狐を見つける。
時刻は既に昼。
浴室の外では、一匹の狸が「銀狐さーん、せめて何か言ってくださいよぉ!」と泣きべそをかきながら薪をあおいでいたという……
頬をかく鴉天狗……高尾に、銀狐は慌てて釈明した。
「ち……ちゃう! ……いや、取り込んどるんはそやけど、深ぁい訳があってやな……」
「そうですよ。めちゃくちゃ取り込み中でした」
「あんたは黙っとき」
貫八をキッと睨みつけ、銀狐は変化の力を駆使して乱れた狩衣と脱がされた袴を綺麗に整える。
「高尾。今見たことは誰にも言うたらあかん」
「えーと……つまり、愛人?」
「深入りもせんでええ」
「愛人じゃなくて将来の旦那でぐふっ」
ここぞとばかりに主張してくる貫八の鳩尾に、銀狐の肘先が綺麗に突き刺さった。
「ええか。何も気にせんでええ」
ぷるぷると震えて畳の上に転がる貫八には目もくれず、銀狐は念を押す。
「わかりましたよ。誰にでも、触れられたくないことはあるからね」
高尾は、銀狐とはまた違った方向性の端麗な顔に、穏やかな微笑を浮かべた。うんうんと大きく頷き、銀狐の肩にしなやかな手をそっと置く。
「ただ……銀狐さん。私は応援していますから」
優しげな声で放たれた台詞に、銀狐は思わず固まった。
「は……っ?」
「大丈夫。秘密は守ります」
呆気にとられる銀狐を背に、高尾は肩ほどまでの黒髪を揺らして颯爽と立ち去っていく。
「応援て……。た、高尾、やっぱし君、なんや勘違いして……」
慌てて呼び止めようとする銀狐の背後から、貫八がぬっと顔を出した。
「高尾さん? がせっかく応援してくれたわけですし、もう一発ヤりますか!」
「は……? ま、まだ出せるんか、あんた……」
ありえへん。
青ざめた銀狐の唇が、吐息だけで言葉を紡ぐ。
溢れた精の量を思えば、とっくに限界は超えているはず──
「ほうじゃけん、言うたわい」
つつ、と、節くれだった指が銀狐の腰をなぞる。
「わしら化け狸は、金玉がでかいことが自慢じゃ」
貫八はぺろりと舌なめずりをし、袴越しに銀狐の孔をとんとんと叩く。
「離れとったぶん、ようけ注いじゃる」
「……ッ、この、助平狸……っ!」
耳まで茹で上がったように赤くしつつも、銀狐は、なし崩しに畳の上へと押し倒される。
白い指先が、背後に敷かれていた布団に触れた。
「なんや、いつの間にこんなん……」
「わしが準備したんぞな」
ニコニコと上機嫌に笑い、貫八は銀狐の上に跨る。
「これで、存分に仲良うできるじゃろ」
「……あんたなぁ……」
ギラついた眼差しが、銀狐をじっくりと睨め回す。
「相変わらず、別嬪じゃのう……」
感嘆の吐息を漏らし、貫八は再び銀狐の狩衣に手をかけた。
「あっ、あっ! あぁ、も……あかん……っ、ほんまにあかんてぇっ!」
「おんしの中は、まだまだ欲しがっとるぞなもし」
「うぁっ、あっ、そんなこと……っ、あらへん……! あ、ぁあっ、深……っ、あぁーーーーーーっ」
しばらく後。
またしても忙しなく走り回っていた輪島が、浴室にて真っ赤な顔で湯船に浸かる銀狐を見つける。
時刻は既に昼。
浴室の外では、一匹の狸が「銀狐さーん、せめて何か言ってくださいよぉ!」と泣きべそをかきながら薪をあおいでいたという……
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