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エレーヌ・アルノーの追憶
第八話ㅤ呪われた愛に焦がれ…… ※R18要素あり
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下から揺さぶる彼の上にまたがって、愛を求めた。
「アッ、もっと……もっとぉ……っ」
彼がわたしの内側を擦り上げる快感よりも、奥を突きあげる快感よりも、繋がっている実感が欲しかった。
腰を掴む手と、わたしの手が重なる。ペンだこの潰れた指が、わたしの指に触れる。
ああ、へし折ってやりたい。
この指さえ、この指さえなかったなら、
あなたはわたしを見てくれたかしら。
唇を啄む、漏れる吐息が耳を犯す。
「……ッ、あ……、く、ん……っ」
舌を絡めて耳を塞ぐと、彼の腰が跳ねた。
腰を浮かせて、落とす。ぐちゅりと繋がった箇所が音を立て、ナカで雄が脈打つ。
逃がさないよう、締め付ける。
「ほら、ほら……っ、も……っ、もう、限界、でしょ。は、ぁ、全部……ぜんぶ、注いでよ……っ」
「ぅ、ぐ……っ、んぁあっ、イ……ぁッ」
吐き出された白濁が、わたしの中を満たし、溢れる。
「……わたしの……」
耳を塞いだ手を離し、頬に触れた。
「わたしの、何が怖いの」
はぁ、はぁ、と乱れた吐息が熱い。
劣情の宿った蒼が、私を見る。
「君の、愛は」
掠れた声が耳を刺す。
「君の、愛は……所有欲、でしょ」
頬を伝った雫ですら、美しい。
あなたを欲しがることが
あなたを求めることが
わたしにだけ、トクベツな愛を欲することが
そんなに、おかしなこと?
「じゃあ……あなたの愛は、なに?」
尖った喉仏に触れる。
指先に伝わる震えに、軽く爪を立てる。
「あなたは、わたしに、何を求めるの?」
応援されたいんでしょう?
正しい賞賛が欲しいんでしょう?
わたしの声で、わたしの言葉で、「わたしよりも愛するもの」を、褒めたたえて欲しいんでしょう?
「僕は」
言わなくていいわ。
言い訳も聞きたくないわ。
わたしより大切な、唯一の存在を、知ってしまったもの。
嘘つき、嘘つき、嘘つき!!!
どうせあなたの愛は、ハナからわたしになんか向いてなかった。そうなんでしょう?
心の中でどれほど怨嗟を紡いでも、私の手は震えるばかりで動かない。
「君に、愛されたのが嬉しかった」
息も、声も奪えなかった指先は、薄い唇が言葉を紡ぐのを許した。
「色んな人に愛される君が、僕を見てくれたのが……」
そんな、女になんて困らないような、キレイな顔と、トクベツな才能で、
「嬉しかった」
そんな、ありきたりな恋をするわけないじゃない。
細い首に、指がくい込む。逃がさないよう、絞め上げる。
わたしの手で、わたしの想いで、すべて、すべて奪ってしまえる。
「……ッ!?」
思わず、手を引っ込めた。
わたし……今、何をしようとしていたの?
カミーユはじっとわたしを見つめ、おもむろに胴体を起こす。絞められた首をさすりながら、呆れたように……もしくは自嘲するように、笑う。
「こんな僕は、愛せない?」
蒼い瞳は逸らされない。
深い蒼に滲んだ感情は、失望? それとも、期待?
「……僕自身を愛せないなら、そう言ってよ」
痩身がわたしの上に覆い被さる。彼はわたしの髪を一束すくって、その上にキスをした。
愛しているわ。
愛しているから、愛してしまったから、愛さずにいられなかったから、
こんなに、苦しいんじゃないの。
「アッ、もっと……もっとぉ……っ」
彼がわたしの内側を擦り上げる快感よりも、奥を突きあげる快感よりも、繋がっている実感が欲しかった。
腰を掴む手と、わたしの手が重なる。ペンだこの潰れた指が、わたしの指に触れる。
ああ、へし折ってやりたい。
この指さえ、この指さえなかったなら、
あなたはわたしを見てくれたかしら。
唇を啄む、漏れる吐息が耳を犯す。
「……ッ、あ……、く、ん……っ」
舌を絡めて耳を塞ぐと、彼の腰が跳ねた。
腰を浮かせて、落とす。ぐちゅりと繋がった箇所が音を立て、ナカで雄が脈打つ。
逃がさないよう、締め付ける。
「ほら、ほら……っ、も……っ、もう、限界、でしょ。は、ぁ、全部……ぜんぶ、注いでよ……っ」
「ぅ、ぐ……っ、んぁあっ、イ……ぁッ」
吐き出された白濁が、わたしの中を満たし、溢れる。
「……わたしの……」
耳を塞いだ手を離し、頬に触れた。
「わたしの、何が怖いの」
はぁ、はぁ、と乱れた吐息が熱い。
劣情の宿った蒼が、私を見る。
「君の、愛は」
掠れた声が耳を刺す。
「君の、愛は……所有欲、でしょ」
頬を伝った雫ですら、美しい。
あなたを欲しがることが
あなたを求めることが
わたしにだけ、トクベツな愛を欲することが
そんなに、おかしなこと?
「じゃあ……あなたの愛は、なに?」
尖った喉仏に触れる。
指先に伝わる震えに、軽く爪を立てる。
「あなたは、わたしに、何を求めるの?」
応援されたいんでしょう?
正しい賞賛が欲しいんでしょう?
わたしの声で、わたしの言葉で、「わたしよりも愛するもの」を、褒めたたえて欲しいんでしょう?
「僕は」
言わなくていいわ。
言い訳も聞きたくないわ。
わたしより大切な、唯一の存在を、知ってしまったもの。
嘘つき、嘘つき、嘘つき!!!
どうせあなたの愛は、ハナからわたしになんか向いてなかった。そうなんでしょう?
心の中でどれほど怨嗟を紡いでも、私の手は震えるばかりで動かない。
「君に、愛されたのが嬉しかった」
息も、声も奪えなかった指先は、薄い唇が言葉を紡ぐのを許した。
「色んな人に愛される君が、僕を見てくれたのが……」
そんな、女になんて困らないような、キレイな顔と、トクベツな才能で、
「嬉しかった」
そんな、ありきたりな恋をするわけないじゃない。
細い首に、指がくい込む。逃がさないよう、絞め上げる。
わたしの手で、わたしの想いで、すべて、すべて奪ってしまえる。
「……ッ!?」
思わず、手を引っ込めた。
わたし……今、何をしようとしていたの?
カミーユはじっとわたしを見つめ、おもむろに胴体を起こす。絞められた首をさすりながら、呆れたように……もしくは自嘲するように、笑う。
「こんな僕は、愛せない?」
蒼い瞳は逸らされない。
深い蒼に滲んだ感情は、失望? それとも、期待?
「……僕自身を愛せないなら、そう言ってよ」
痩身がわたしの上に覆い被さる。彼はわたしの髪を一束すくって、その上にキスをした。
愛しているわ。
愛しているから、愛してしまったから、愛さずにいられなかったから、
こんなに、苦しいんじゃないの。
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