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バレンタイン番外編

Panik am Valentinstag ※

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 ※この番外編は本編とは特に関係のないおふざけIFとなっております。
 ※女体化ネタです。苦手な方はお気を付けください。



 ***



 その日はちょうど、恋人たちの守護聖人である聖ヴァレンタインの記念日だった。
 奇妙な「奇跡」とも呼べる出来事が起こったのは、そのせいだろうか。

 ……何はともあれ、大変なことになった。
 自らの身体を見下ろす。ふっくらと隆起りゅうきした胸部に、以前に比べて全体的に丸みを帯び、細くなった肢体……。

 間違いない。女性になっている。

「……なるほど。コンラートくんには効くのか」

 テオドーロが神妙な表情で頷く。

「あ? てめぇ……何しやがった」

 そんなテオドーロを、ヴィルが凄まじい殺気を込めて睨む。……私を、腕の中にしっかりと閉じ込めたまま。

「いやね、フラテッロ・マルティンを女の子にしてあげようと思ったんだけど、上手くいかなくて……。失敗作とはいえ普通に美味しいから、二人におすそ分けしたんだけど……どうやら、吸血鬼ヴァンピーロにだけ効果があったみたいだね!」

 ……なるほど。
 原因は、テオドーロが持参してきた手土産か。先程、ヴィルと二人で平らげたチョコレートケーキザッハトルテが、私の肉体にのみ妙な効能を示したらしい。

「……なるほどな……」

 ヴィルは話を聞く素振りを見せながらも、明らかに途中で集中力を失い、私の胸元へと手をさまよわせ始めている。

「……元々おっぱい大きいけど、こっちもなかなか……」
「……っ、ケダモノがっ!!」

 何を考えているのだ。こいつは……!
 一応抗議はしてみたものの、ヴィルの手に触れられた途端、下腹部がキュンと疼く。

 ……心なしか、段々と身体が熱くなって来たのを感じる。頭も妙にふわふわとしてきたような……。

 待て。ケーキトルテに含まれているラム酒だけで酔いそうなのか、私は。……まさか、そんなはずはない。いくら吸血鬼が酒に弱いとはいえ、その程度で酔うはずが……。

「まあ試作品だし、そのうち戻ると思うよ! それより、今を楽しむのはどうだい? 具体的に言うと今から三人でセッ」
「あ?」
「なんでもないよ! ごめんね!」

 殺気立ったヴィルに睨みつけられ、テオドーロはそそくさと退散する。後には、女体になった私とヴィルだけが残された。

「……。ヴィル……」

 身体が熱い。鼓動の音が、耳の奥で響き始めている。

「……よし。んじゃあ……」
「あ……」

 たくましい腕が私をひょいと抱え、ベッドへと連れていく。

「楽しみますか」

 耳元で囁かれ、心臓がどきりと跳ねた。
 ……期待をしていなかったと言えば、嘘になる。



 ***



 寝台の上で、どちらからともなく口付けをかわす。
 口腔内に残ったチョコレートショコラーデと杏の味が、思考を甘い快楽の海へと堕とし、漂うラム酒の香りが理性をとろかせていく。

「ぁ、あぁ……んんっ」
「……っ、すげ……柔らけぇ……」

 愛撫の感覚は、普段とほとんど変わらなかった。
 むしろ、違いを実感しているのはヴィルの方だろう。

「普段もイイけど、こっちも全然アリっすね……!」

 武骨な手を柔肌の上に滑らせ、ヴィルはごくりと息を飲む。
 その手がおもむろに下方へと伸び、とろりと蜜を溢れさせる隙間に触れた。

「なぁ……この身体、孕むんじゃねぇの?」
「……っ!」

 耳元で囁かれ、私も思わず息を飲んでしまう。

「……良い?」

 甘えるような、懇願こんがんするような声に、下腹部が再び切ない疼きを訴える。

「……ああ……」

 心地良く蕩けた思考のさなか、私は、自然と首を縦に振っていた。

「うぉ……っ、神父様のココ、ひくついてら……」

 張り詰めた男根が私の腟口に触れ、ちゅっ、ちゅっと口付けるように陰核を刺激する。

「……っ、やべ……もう、オレ、我慢できねぇっす」
「うぁあ……っ」

 にゅるりと、後ろの方で慣れ親しんだペニスが、媚肉をかき分けて入ってくる。
 既に濡れそぼっていた秘所は、容易くヴィルの侵入を許した。

「あっ、ア……ッ! ヴィル……っ、それ、イ……、ん……ぅう……っ」

 感じる場所を亀頭で小突かれ、思考が蕩けていく。
 自分のものとは思えない喘ぎが理性を溶かし、身も心も獣のめすに変えられていく。

 ああ、私は今日、ヴィルに孕まされる。
 一匹の牝として、このおすのつがいとなるのだ。

 元は神父であったこの身が、男の種を欲しがり、与えられる快楽にうち震えている。
 断じて赦されることではない。……そのはずなのに。

「……く、ぅうっ! ヴィル……っ、ヴィルぅ……っ」
「は……ッ、イイっすね……! ケツも良かったんすけど……こっちもめちゃめちゃ名器っすよ、神父様ぁ!」
「ぁ……んぅ、は……ぁ、あ、あぁあっ」

 ぐちゅぐちゅと蜜壷を男根で掻き回され、だらしない喘ぎが止まらない。
 子種が欲しい。ヴィルの精子が欲しい。この胎に、愛する彼の子を宿したい。
 頭が、全身が牝の本能に塗り潰され、思考が快楽に染められる。

 今の私はもう、神父ではない。男ですらない。
 ならば──

 ヴィルの愛を受け止め、子を孕むことは、果たして罪と言えるのだろうか?

「すげぇ……。トロトロなのにオレのぎゅうぎゅう握ってくる……ッ! そんなに……赤ちゃん、欲しいんすかっ! 神父様……っ!」
「はぁああっ! ちが、わ、わたしは、断じて……っ」
「何が違うんすか……っ! こんなにヨダレ垂らしてチンコ咥えて……ほんとに、孕みたくねぇの……?」
「……ッ、 くぅうっ、ち、違わないぃ……っ」

 ああ、主よ、お赦しください。
 私はもはや、あなたに仕えることはできません。
 ですが、あなたが我々に望んだように、産み増やすことはできます。今は、ただのコンラートとして……一匹の牝として、愛する男の種を、受け入れましょう……。

「は、孕みたい……ッ! わ、私は……ぁっ、おまえの、子が……ぁあっ! 欲しいぃ……っ」
「……!!! ありがとうございます……! オレ……もう、ヤバいっす……! いっぱい出すんで……っ、孕んでくださいねっ、神父様……!」
「あっ、なかで、膨れ……イッ、ん~~~~~~~っ」

 膣の最奥、埋められた男根が震え、精を吐き出したのがわかる。
 私の子宮は待っていたかのように欲望を受け入れ、歓喜に悶えた。

「あぁああぁあぁ……っ」
「は……ぁ……すげぇ……オレの種飲んでる……エロ……っ」

 ヴィルの射精は長く続き、ドクン、ドクンと脈打ちながら、私を孕ませようと子種を送り込んでくる。

「……っ、神父様ぁ! 愛してます……っ!!」

 おもむろに、ヴィルは私のももを持ち上げ、未だ硬いペニスをさらに奥へと押し込んだ。

「ひぅうっ!?」

 そのまま子宮を揺さぶられ、絶頂に達したばかりの身体が更なる悦びにさらされる。

「くぅ……ッ、孕め……っ! 孕めぇ……っ!」
「あぁっ、ヴィル……! そんなに、されたらぁあっ! も……戻れなく、な……っ、ぁ!? や……イクッ、んんんん────ッ」

 本能のままに腰を打ち付けられ、私の子宮は完全に陥落した。
 ぷしゃあっと音を立て、繋がった箇所からぬるい液体が噴き出したのがわかる。

 握り締めた指に力が入る。どちらからともなく口付け、一心不乱に舌を絡めた。

 意識が遠のき、弛緩しかんした肢体が寝台に沈んでいく。
 私の胎は、ヴィルの精を糧とするべく、悦ぶように飲み干した。



 ***



 夢も見ないほど、深く眠っていたらしい。
 薄目を開けると、目の前にヴィルの胸板がある。頭にたくましい上腕が添えられていて、腕枕されていたことに気が付いた。

「……ん。起きたんすか?」

 優しい声音に顔を上げると、傷のある顔が微笑んでいるのが見える。
 気恥ずかしくなって、思わず逸らしてしまう。ヴィルは何を思ったか、さわさわと頭を撫でてきた。

「……なんだ」
「や、可愛いなって」
「愚か者」
「照れてます?」
「……うるさい」

 確かに、子作りをした後だと言うのに、目が合うだけで照れるのはいささかどうなのかとは思うが、それでも恥ずかしいものは恥ずかしい。
 ……一瞬、先程の性交が夢だったのではないか、とも思うが、胸に手をやると、柔らかい双丘そうきゅうがしっかりと主張している。

「孕みましたかねぇ」
「ん……っ」

 ヴィルの手が、優しく下腹部をなぞる。
 ちょうど子宮の真上に触れられ、甘い声が漏れてしまった。

「エルンストくんが言うには、吸血鬼と人間だと難しいかもってことっすけど……」
「我々も、元は人間から産まれて来たはずだが……不思議なものだな」

 とはいえ、あくまで可能性が「低い」だけであって、「ない」とは言いきれないとエルンストも語っていた。
 ……もし、この胎が子を宿せるのなら。
 神に祝福された証を授かることができるのなら……

 どれほど、幸福なことだろう。

「もう一回ヤりましょ。数こなしたらそのうち当たるかも……」

 ……思案にふける私とは対照的に、再び降ってきた口付けの雨は、あまりに欲望に正直で、本能に忠実で……

「ま、待て、2回目はまだ心の準備が……! あぁ……っ!」 

 聖ヴァレンタインは、当時、ローマ帝国内で禁じられた婚姻を秘密裏に執り行い、殉教した聖人だ。

 ……この出来事こそが、未だに思い悩む私へと与えられた奇跡であり祝福であると考えるのは、いささか都合が良すぎるだろうか。

「あ……ぁっ、ヴィル……っ、これ……っ、すごいぃ……っ!」
「……っ、ナカ、すげぇ……! 搾り取られる……っ」
「ぁ、あぁっ! イクの、止まらな……っ、あぁあーーーーっ」

 ……何はともあれ。
 その後、営みは日が変わるまで続いた。
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