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第5章
設立!魔法研究会
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翌朝、ペルシマール城の居館では、昨日の激戦の余韻が残る中、平穏な雰囲気が広がっていた。
皇帝陛下からの指示もなく僕たちは城に駐在しており、宴の中で話題となった「魔法研究会」の設立に向けて準備を進めていた。
「会員は俺とシャルル、フィリップにピエール、これで良いか?」朝食の時間、アダンが言った。
「それで問題無い。」僕は頷きながら答えた。「ただ、他にも参加者を募るのも良いな。」
「あっ、私も参加したいです!」声を上げたのはクロードだった。
「私はシャルル様をお護りする護衛騎士!シャルル様よりも弱いとあってはいけませんから。」
「クロードが参加してくれるのは嬉しいね。ますます賑やかになりそうだ」僕は微笑みながら言った。
クロードは喜びの表情を浮かべた。「ありがとうございます。私も魔法に関する知識を深めて、シャルル様の役に立てるようになりたいです。」
「それでは、食後最初の訓練をしませんか?あまり仕事もありませんし、テキストを作っています。」オーバンが言った。
「それは良い考えだね。」ピエールが応じた。
朝食を終えた後、僕たちは城の外に出て、小川のほとりの草原に集まった。
「まず皆さん、魔法というのはあくまで魔力を用いた技です。そのため魔力を強くすることが重要です。人間である以上、我々は元々持っている魔力はそれほど変わりません。しかし、なぜ魔法使いは魔力が強いのか?それは訓練のみならず、日々魔力を蓄積しているからです。湧き出てくる魔力を垂れ流しにせず、蓄積することが必要です。」オーバンが説明した。
「魔力を蓄積するためには、呼吸を整え、体内の魔力を制御することが不可欠です。実際にやってみましょう。」
僕たちはオーバンの指示で草原の中心に円を作り、それぞれがリラックスして立った。オーバンが呼吸法の基本を実演した。「深く息を吸い込み、ゆっくりと吐き出します。息を吸うときには、自分の中に魔力が集まるイメージを持ち、吐くときにはその魔力が全身に広がるように意識します。」
全員がその呼吸法を試みた。最初はぎこちない動きだったが、次第にリズムが取れてきた。
「皆さん、普段呼吸を意識しなくても出来るように、その内勝手に出来るようになりますよ。1日で1000マナくらい貯められるようになります。」オーバンが言った。
「それでは最初の魔法をお教えします。それは空を飛ぶ魔法です。」オーバンが言うと、全員が驚きの声を上げた。
「空を飛ぶ!?本当にそんなことができるのか?」アダンが目を見開いて訊ねた。
「はい、可能です。これは風魔法ですが、中級の技で決して上級ではありません。」オーバンは笑顔で頷いた。
「まさか、そんな技術が最初に来るとは思わなかった…」僕は感心しながら言った。
「まずは、全身の力を抜いてリラックスし、徐々に身体中から魔力を放出していきます。そして両手を目の前で交差し、自分から見て左手が手前に来るようにします。そして人差し指で指すポーズを取ります。」オーバンは説明した。
「オーバン、やってみてるけど全然飛べんぞ?」フィリップが言う。
「ここが味噌です、皆さん。その姿勢を維持したまま、呪文を唱えます。皆さん、よく聞いていてくださいね?」
「呪文は『アエリアス・エレン・アスラ』です。」オーバンは一息ついて言った。
「「「アエリアス・エレン・アスラ!!」」」僕たちは一斉に声を出した。
すると、地面から上に向かって風が吹き、僕たちの体は少しだけだが、ゆっくりと浮かんだ。次第に感覚を掴んでいき、全員が地面から数メートル程度浮かべるようになった。
「良いですね、皆さん。最初の挑戦としては十分です。」オーバンは満足そうに言った。「水に浮く時と同じように、力を入れずリラックスすることが大切です。浮けるようになったら、今度は飛ぶ練習をしましょう!」
「前に進む時は背を上に、腹を下にし、両手を広げ、前方に向けて風を出すことが重要です。風を出すことなら簡単な初級魔法ですから、皆さんできますね?」オーバンは指示を出していく。
最初はバランスを取るのが難しく、少し不安定だったが、次第にスムーズに移動できるようになってきた。
僕たちは徐々に速度を上げ、前進する距離も広げていった。
「ヒャッホーーーー!楽しいぜ!」
次第に僕たちは空を飛べることに有頂天となり、空中での移動感覚を楽しめるようになった。下を見下ろすとそこは畑の広がる集落で、村人たちが驚いて僕たちを見上げていた。
「着地する時には足を下に向け、少しずつ魔力を出すのを止めていきます。急に魔力を出さなくなると、落下してしまうので注意しましょう。」オーバンは着地方法の説明もした。
僕たちは、空中での浮遊感覚を維持しながら、ゆっくりと地面に降りていった。最初は少し不安定になる場面もあったが、最終的に全員が安全に着地した。
「良い感じです、皆さん。」オーバンは満足げに言った。
「次に回復魔法を習得していきましょう。これは『エルミナ・ヴィリディス』という回復魔法です。基礎的なものよりも、もっと速く効率的に負傷や疲労を治癒することが出来ますが、使う魔力は大きいです。」
「まずは、魔法の使い方を覚えましょう。」オーバンは続けた。「『エルミナ・ヴィリディス』を使うには、まず中指で差す手の形を作り、中指同士を突き合わせます。その上で、まず手のひらに魔力を集中させ、緑色の光をイメージしてください。」
僕たちは両手の中指を突き合わせた後、手のひらを前に向け、緑色の光をイメージして集中した。最初は光が弱く、なかなか形にならなかったが、徐々に緑の光が手のひらに現れ、次第に強くなっていった。
「その調子です。」オーバンは鼓舞するように言った。「光がしっかりと集まってきたら、実際に人や物に向けて試してみてください。」
「じゃあ僕左肩に傷負ってるから、そこに向けて試してみてよ。」ピエールが服のボタンを外し、左肩の傷を見せて言った。
「わかった。」僕は手のひらに集めた緑色の光をピエールの左肩に向けた。「エルミナ・ヴィリディス!」
緑色の光がピエールの肩に放たれると、彼の傷が徐々に消えていく。ピエールはその変化を感じ取ったようで、表情を明るくした。「すごい、傷がみるみるうちに治っていく!」
「素晴らしいです。」オーバンは皆を見渡しながら言った。「この魔法は特に回復のスピードが早く、負傷の度合いによっては一瞬で回復させることも可能です。ただし、魔力の消費が激しいため、慎重に使う必要があります。これで今日の訓練は終わりです。」
その後僕たちは毎日のように魔法の訓練を続けていった。
皇帝陛下からの指示は全く無く、僕たちは退屈極まりない日々を過ごした。
「あーーーーなんでまだ指示無いんだ!」アダンが声を上げた。
「何やってんだよ皇帝」フィリップが言うと、
「不敬罪になるからやめろ。それより故郷は大丈夫かな」ピエールが言う。
「確かに。もう収穫は終わっただろうし、このままじゃクリスマスまでに帰れなくなるかも知れない」僕は不安に思って言った。僕が言うと、みんなもそれぞれの不安を口にし始めた。
「無事に収穫が終わっているか心配だ。それに俺の故郷は冬の寒さが厳しい」とアダンが言った。
「確かに、寒さが厳しい時期に帰るのは心配だね。ボルフォーヌも冬は厳しくて、雪で道が閉ざされているかもしれない。」僕もそう言った。
すると、オーバンがやって来て、「皆さん、お疲れ様です。皇帝陛下からの指示が届きました。」と言った。「次の任務は、近隣の村々で発生している疫病の調査です。これにより、住民の命が脅かされています。これが終わり次第、帰路につくよう指示が出されています。」
「疫病?それ戦争と関係なく無いか?」ピエールが言う。
「兵士たちは故郷に帰して良いということだろう。僕たちは数人の部下だけ連れて村を調査すれば良い」僕が応じた。
オーバンは頷きながら、さらに詳細を伝えた。「はい、その通りです。今回の任務では、疫病の原因を特定し、治療法を模索することが求められています。」
「それなら、すぐに準備を整えよう。」アダンが言う。僕たちは軍を解散させ、すぐに村へ向かう準備を整えた。
続く
皇帝陛下からの指示もなく僕たちは城に駐在しており、宴の中で話題となった「魔法研究会」の設立に向けて準備を進めていた。
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「私はシャルル様をお護りする護衛騎士!シャルル様よりも弱いとあってはいけませんから。」
「クロードが参加してくれるのは嬉しいね。ますます賑やかになりそうだ」僕は微笑みながら言った。
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「それでは、食後最初の訓練をしませんか?あまり仕事もありませんし、テキストを作っています。」オーバンが言った。
「それは良い考えだね。」ピエールが応じた。
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「まず皆さん、魔法というのはあくまで魔力を用いた技です。そのため魔力を強くすることが重要です。人間である以上、我々は元々持っている魔力はそれほど変わりません。しかし、なぜ魔法使いは魔力が強いのか?それは訓練のみならず、日々魔力を蓄積しているからです。湧き出てくる魔力を垂れ流しにせず、蓄積することが必要です。」オーバンが説明した。
「魔力を蓄積するためには、呼吸を整え、体内の魔力を制御することが不可欠です。実際にやってみましょう。」
僕たちはオーバンの指示で草原の中心に円を作り、それぞれがリラックスして立った。オーバンが呼吸法の基本を実演した。「深く息を吸い込み、ゆっくりと吐き出します。息を吸うときには、自分の中に魔力が集まるイメージを持ち、吐くときにはその魔力が全身に広がるように意識します。」
全員がその呼吸法を試みた。最初はぎこちない動きだったが、次第にリズムが取れてきた。
「皆さん、普段呼吸を意識しなくても出来るように、その内勝手に出来るようになりますよ。1日で1000マナくらい貯められるようになります。」オーバンが言った。
「それでは最初の魔法をお教えします。それは空を飛ぶ魔法です。」オーバンが言うと、全員が驚きの声を上げた。
「空を飛ぶ!?本当にそんなことができるのか?」アダンが目を見開いて訊ねた。
「はい、可能です。これは風魔法ですが、中級の技で決して上級ではありません。」オーバンは笑顔で頷いた。
「まさか、そんな技術が最初に来るとは思わなかった…」僕は感心しながら言った。
「まずは、全身の力を抜いてリラックスし、徐々に身体中から魔力を放出していきます。そして両手を目の前で交差し、自分から見て左手が手前に来るようにします。そして人差し指で指すポーズを取ります。」オーバンは説明した。
「オーバン、やってみてるけど全然飛べんぞ?」フィリップが言う。
「ここが味噌です、皆さん。その姿勢を維持したまま、呪文を唱えます。皆さん、よく聞いていてくださいね?」
「呪文は『アエリアス・エレン・アスラ』です。」オーバンは一息ついて言った。
「「「アエリアス・エレン・アスラ!!」」」僕たちは一斉に声を出した。
すると、地面から上に向かって風が吹き、僕たちの体は少しだけだが、ゆっくりと浮かんだ。次第に感覚を掴んでいき、全員が地面から数メートル程度浮かべるようになった。
「良いですね、皆さん。最初の挑戦としては十分です。」オーバンは満足そうに言った。「水に浮く時と同じように、力を入れずリラックスすることが大切です。浮けるようになったら、今度は飛ぶ練習をしましょう!」
「前に進む時は背を上に、腹を下にし、両手を広げ、前方に向けて風を出すことが重要です。風を出すことなら簡単な初級魔法ですから、皆さんできますね?」オーバンは指示を出していく。
最初はバランスを取るのが難しく、少し不安定だったが、次第にスムーズに移動できるようになってきた。
僕たちは徐々に速度を上げ、前進する距離も広げていった。
「ヒャッホーーーー!楽しいぜ!」
次第に僕たちは空を飛べることに有頂天となり、空中での移動感覚を楽しめるようになった。下を見下ろすとそこは畑の広がる集落で、村人たちが驚いて僕たちを見上げていた。
「着地する時には足を下に向け、少しずつ魔力を出すのを止めていきます。急に魔力を出さなくなると、落下してしまうので注意しましょう。」オーバンは着地方法の説明もした。
僕たちは、空中での浮遊感覚を維持しながら、ゆっくりと地面に降りていった。最初は少し不安定になる場面もあったが、最終的に全員が安全に着地した。
「良い感じです、皆さん。」オーバンは満足げに言った。
「次に回復魔法を習得していきましょう。これは『エルミナ・ヴィリディス』という回復魔法です。基礎的なものよりも、もっと速く効率的に負傷や疲労を治癒することが出来ますが、使う魔力は大きいです。」
「まずは、魔法の使い方を覚えましょう。」オーバンは続けた。「『エルミナ・ヴィリディス』を使うには、まず中指で差す手の形を作り、中指同士を突き合わせます。その上で、まず手のひらに魔力を集中させ、緑色の光をイメージしてください。」
僕たちは両手の中指を突き合わせた後、手のひらを前に向け、緑色の光をイメージして集中した。最初は光が弱く、なかなか形にならなかったが、徐々に緑の光が手のひらに現れ、次第に強くなっていった。
「その調子です。」オーバンは鼓舞するように言った。「光がしっかりと集まってきたら、実際に人や物に向けて試してみてください。」
「じゃあ僕左肩に傷負ってるから、そこに向けて試してみてよ。」ピエールが服のボタンを外し、左肩の傷を見せて言った。
「わかった。」僕は手のひらに集めた緑色の光をピエールの左肩に向けた。「エルミナ・ヴィリディス!」
緑色の光がピエールの肩に放たれると、彼の傷が徐々に消えていく。ピエールはその変化を感じ取ったようで、表情を明るくした。「すごい、傷がみるみるうちに治っていく!」
「素晴らしいです。」オーバンは皆を見渡しながら言った。「この魔法は特に回復のスピードが早く、負傷の度合いによっては一瞬で回復させることも可能です。ただし、魔力の消費が激しいため、慎重に使う必要があります。これで今日の訓練は終わりです。」
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続く
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