遥かなる物語

うなぎ太郎

文字の大きさ
上 下
8 / 53
第1章

卒業の日

しおりを挟む
あれから1年半の月日が流れた。僕はベルタン家再興のために学校ではひたすら勉学と武術に励み、放課後二人組を始末して帰る日々が続いていた。あの後冬休みと春休み、夏休み、そして冬休みを帰省して故郷で過ごしていた。僕の学校生活は非常に充実した日々だった。

そして今日。満開の桜が咲き誇る中、ついに僕はスラーレン中央学園を卒業する。

卒業式には、父上、母上、そして妹のルネがボルフォーヌから駆けつけてくれた。卒業式当日、感慨深い気持ちで僕は家を出た。晴れ着姿で学校へ着くと、教室では友人たちが卒業を祝福し合っていた。そして別れを惜しんでもいた。

僕はアダン・ロベール、フィリップ・トマ、恋人のマリー・モロー、そしてピエール・デュポンという最も親しい4人の友人と、今後について話し合っていた。

「アダンは今後、何をしたいと思ってるの?」僕が聞いた。
アダンは少し考え込んでから、「僕は領地で、父上と一緒に政務や軍務に専念したいと思っている。ロベール家の歴史を守るのが僕の義務だと思うから」

「フィリップはどうするつもり?」と次にピエールが尋ねた。
フィリップは微笑んで答えた。「僕はトマ家が得意とする、貿易を拡大したいと思ってるんだ。家業を発展させて、国と国を繋げる仕事をしたいんだ。」

マリーは優しく微笑みながら言った。「私は女だから政治は無理だけど、芸術家になって、絵を描きたいと思っています」

そして僕とピエールは、それぞれの家の再興という大きな夢を語った。皆驚きつつも、真剣に聞いてくれた。

まもなく卒業式が行われた。学校の講堂で、厳粛な雰囲気が漂う中、一人一人が卒業証書を受け取っていった。最後に各クラスの記念撮影が行われた。ウチのクラスでは、真ん中にジョルジュ先生が座り、僕は向かって左側の中腹あたりの席に写っていた。

僕たちはみんな笑顔でカメラに向かい、これまでの学園生活を振り返っていた。ジョルジュ先生も微笑みながら、クラス全体の成長を感じているようだった。

卒業式後、僕たちは帝都の中央にある公園、スラーレン公園へ移動し、先生たちや友達と、別れの挨拶や記念撮影をした。
公園で父上は、「シャルル、私はお前の成長を実感しているよ。ベルタン家の後継者として、これからも努力していってくれ」と言ってくれた。
また、母上は、「シャルル、あなたの努力と成長を誇りに思っています。これからも自分の道をしっかりと歩んでくださいね」と言ってくれた。妹のルネも、「シャルルお兄様、おめでとう!これからも一緒に遊んでね」と笑顔で言ってくれた。

その後、公園での別れの時、友人たちとも感慨深い会話が交わされた。アダンは「シャルル、君の未来が楽しみだよ。領地を守るのは大変な責任だけど、決して諦めずに頑張るさ。ベルタン家の再興にも期待してる。君ならきっと立派にやれるよ」と励ましてくれた。フィリップは「俺たちも一緒に頑張ろうぜ。貿易で国と国を繋げて、新たな未来を築こう」と語りかけてくれました。

その後僕はマリーと話した。「マリー、私もいつも君の絵を応援してるよ。素敵な作品をたくさん見せてね」言うと、顔を赤らめて喜んでくれた。唯一無二の親友であるピエールは「お互いの家の再興、頑張ろう。貴族としての誇りを忘れずに、どんな時も前向きに一緒に歩んでいこう」と言ってくれた。

僕は彼らの言葉に心から感謝し、自分の決意を新たにした。家族や友人たちの応援を胸に、これからの未来に向けて一歩を踏み出す決意を固めた。

学校を卒業した僕は、帝都を離れることになるだろう。お互い領地へと帰れば、疎遠になりかねない。そこでそれぞれの住所を紙に書いて交換し、いつでも手紙のやり取りが出来るようにした。そして、来年の今日、再びこの公園へ集まる約束をした。

6月にはボルフォーヌで、僕の15歳の成人式が行われた。町の広場で、多くの家来や町の人々が見守る中、次期領主である僕の、成人の儀式が厳粛に執行された。
僕は静かに父上の前に跪き、頭を垂れた。父上が僕の頭に冠を被せた瞬間、言葉に出来ない喜びと感謝の念が僕を包み込んだ。僕が父上と母上に感謝の言葉を述べると、町の人々は歓声を上げた。

その夜、屋敷のホールで、家来達が歓声を上げ、手拍子を送る中、僕の成人を祝う宴が始まった。

「シャルル様、乾杯の音頭をとって頂けませんか?」家来のラファエルが言った。彼は最も信頼のおける重臣の一人だ。
僕は乾杯の音頭を取った。「今日ここに集まってくれた皆に礼を言いたい!では、ボルフォーヌの繁栄を願って、乾杯!」
「「「カンパーイ!」」」

宴が終わり、僕は部屋へ戻り、ベッドに入った。これからボルフォーヌでの日々が始まる。

続く
しおりを挟む
★★いいねとお気に入り登録をよろしくお願いします!それと、感想を頂ければ非常に嬉しいです!☆☆
◯◯第17回ファンタジー小説大賞に応募しております!●●
感想 0

あなたにおすすめの小説

婚約破棄されて辺境へ追放されました。でもステータスがほぼMAXだったので平気です!スローライフを楽しむぞっ♪

naturalsoft
恋愛
シオン・スカーレット公爵令嬢は転生者であった。夢だった剣と魔法の世界に転生し、剣の鍛錬と魔法の鍛錬と勉強をずっとしており、攻略者の好感度を上げなかったため、婚約破棄されました。 「あれ?ここって乙女ゲーの世界だったの?」 まっ、いいかっ! 持ち前の能天気さとポジティブ思考で、辺境へ追放されても元気に頑張って生きてます!

【完結】番である私の旦那様

桜もふ
恋愛
異世界であるミーストの世界最強なのが黒竜族! 黒竜族の第一皇子、オパール・ブラック・オニキス(愛称:オール)の番をミースト神が異世界転移させた、それが『私』だ。 バールナ公爵の元へ養女として出向く事になるのだが、1人娘であった義妹が最後まで『自分』が黒竜族の番だと思い込み、魅了の力を使って男性を味方に付け、なにかと嫌味や嫌がらせをして来る。 オールは政務が忙しい身ではあるが、溺愛している私の送り迎えだけは必須事項みたい。 気が抜けるほど甘々なのに、義妹に邪魔されっぱなし。 でも神様からは特別なチートを貰い、世界最強の黒竜族の番に相応しい子になろうと頑張るのだが、なぜかディロ-ルの侯爵子息に学園主催の舞踏会で「お前との婚約を破棄する!」なんて訳の分からない事を言われるし、義妹は最後の最後まで頭お花畑状態で、オールを手に入れようと男の元を転々としながら、絡んで来ます!(鬱陶しいくらい来ます!) 大好きな乙女ゲームや異世界の漫画に出てくる「私がヒロインよ!」な頭の変な……じゃなかった、変わった義妹もいるし、何と言っても、この世界の料理はマズイ、不味すぎるのです! 神様から貰った、特別なスキルを使って異世界の皆と地球へ行き来したり、地球での家族と異世界へ行き来しながら、日本で得た知識や得意な家事(食事)などを、この世界でオールと一緒に自由にのんびりと生きて行こうと思います。 前半は転移する前の私生活から始まります。

魅了が解けた貴男から私へ

砂礫レキ
ファンタジー
貴族学園に通う一人の男爵令嬢が第一王子ダレルに魅了の術をかけた。 彼女に操られたダレルは婚約者のコルネリアを憎み罵り続ける。 そして卒業パーティーでとうとう婚約破棄を宣言した。 しかし魅了の術はその場に運良く居た宮廷魔術師に見破られる。 男爵令嬢は処刑されダレルは正気に戻った。 元凶は裁かれコルネリアへの愛を取り戻したダレル。 しかしそんな彼に半年後、今度はコルネリアが婚約破棄を告げた。 三話完結です。

無一文で追放される悪女に転生したので特技を活かしてお金儲けを始めたら、聖女様と呼ばれるようになりました

結城芙由奈@コミカライズ発売中
恋愛
スーパームーンの美しい夜。仕事帰り、トラックに撥ねらてしまった私。気づけば草の生えた地面の上に倒れていた。目の前に見える城に入れば、盛大なパーティーの真っ最中。目の前にある豪華な食事を口にしていると見知らぬ男性にいきなり名前を呼ばれて、次期王妃候補の資格を失ったことを聞かされた。理由も分からないまま、家に帰宅すると「お前のような恥さらしは今日限り、出ていけ」と追い出されてしまう。途方に暮れる私についてきてくれたのは、私の専属メイドと御者の青年。そこで私は2人を連れて新天地目指して旅立つことにした。無一文だけど大丈夫。私は前世の特技を活かしてお金を稼ぐことが出来るのだから―― ※ 他サイトでも投稿中

冤罪をかけられた上に婚約破棄されたので、こんな国出て行ってやります

真理亜
恋愛
「そうですか。では出て行きます」 婚約者である王太子のイーサンから謝罪を要求され、従わないなら国外追放だと脅された公爵令嬢のアイリスは、平然とこう言い放った。  そもそもが冤罪を着せられた上、婚約破棄までされた相手に敬意を表す必要など無いし、そんな王太子が治める国に未練などなかったからだ。  脅しが空振りに終わったイーサンは狼狽えるが、最早後の祭りだった。なんと娘可愛さに公爵自身もまた爵位を返上して国を出ると言い出したのだ。  王国のTOPに位置する公爵家が無くなるなどあってはならないことだ。イーサンは慌てて引き止めるがもう遅かった。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

素材採取家の異世界旅行記

木乃子増緒
ファンタジー
28歳会社員、ある日突然死にました。謎の青年にとある惑星へと転生させられ、溢れんばかりの能力を便利に使って地味に旅をするお話です。主人公最強だけど最強だと気づいていない。 可愛い女子がやたら出てくるお話ではありません。ハーレムしません。恋愛要素一切ありません。 個性的な仲間と共に素材採取をしながら旅を続ける青年の異世界暮らし。たまーに戦っています。 このお話はフィクションです。実在の人物や団体などとは関係ありません。 裏話やネタバレはついったーにて。たまにぼやいております。 この度アルファポリスより書籍化致しました。 書籍化部分はレンタルしております。

疲れきった退職前女教師がある日突然、異世界のどうしようもない貴族令嬢に転生。こっちの世界でも子供たちの幸せは第一優先です!

ミミリン
恋愛
小学校教師として長年勤めた独身の皐月(さつき)。 退職間近で突然異世界に転生してしまった。転生先では醜いどうしようもない貴族令嬢リリア・アルバになっていた! 私を陥れようとする兄から逃れ、 不器用な大人たちに助けられ、少しずつ現世とのギャップを埋め合わせる。 逃れた先で出会った訳ありの美青年は何かとからかってくるけど、気がついたら成長して私を支えてくれる大切な男性になっていた。こ、これは恋? 異世界で繰り広げられるそれぞれの奮闘ストーリー。 この世界で新たに自分の人生を切り開けるか!?

処理中です...