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年下将軍に側室として求められて(12)

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 しばらくの間は三好氏と幕府軍は互いが互いの動向をにらみ合う状態が続いていた。戦も京の町での小競り合い程度で、双方の軍が動くほどの大きな動きはなかった。
「動きませんね」
「そうだな。もう二月が過ぎようとしている」
 義藤が出陣し、そして撤退したあの戦は、夏の日のことだった。
 今はもう、朝夕もすっかり涼しくなり、京は秋の気配を感じさせている。
「こちらかは動かないのですか?」
「現状では援軍は期待できないからな。たとえ晴元たちに援軍を要請しても、どうせ前回の二の舞になる」
「他の大名家たちの助けは借りられないのですか?」
「水面下では動いているが、なかなか思うようにはいかないな……難しいよ」
 撤退した後の中尾城での義藤は、日々諸国の大名たちの使いと謁見したり、書状を認めたりすることが続いていた。
 芭乃には複雑な事情はよく分からないが、どうやら義藤は細川家や六角家に代わる他の信用できる勢力を求め、手を尽くしているようだった。
 戦には出ていなくても、義藤は早朝から深夜まで精力的に政務をこなしている。
 そういう事情もあって、こうして芭乃が義藤と二人きりで過ごすのは実は久しぶりのことだった。
「芭乃、膝を貸せ」
 そう言うと、義藤は小袖一枚の格好で、芭乃の膝に頭を乗せ、寝転んだ。
「はー、やっぱりここは落ち着くな」
「そ、そうですか? 膝の上よりも、普通に布団のほうが寝心地もいいと思いますけど」
 芭乃がそう言うと、膝の上の義藤は呆れたような顔で見上げてくる。
「本当にお前は分かってないなぁ」
「ええ? 分かってませんか?」
「分かってない」
 義藤はそう言ってむくれたけど、芭乃には何が分かっていないのかがよく分からない。
「あの、私の何が良くなかったんですか? ぜんぜんわからないので、ちゃんと教えてください」
「もう言わない」
「ええ? 教えてくださいよ~」
 芭乃がそう聞いても、義藤は何も答えなかった。かといって、別に気分を害したふうでもない。どちらかといえば、芭乃の反応を楽しんでいるようにも見える。
「もう、他の女房にでも聞いてみますからいいです」
「聞かないほうがいいぞ~。またからかわれるからな」
 その言葉に抗議しようとすると、義藤は芭乃の膝の上で目を閉じている。
 眠くなったのかなと思って、芭乃は静かにその顔を見つめる。でも、眠いわけではなく、何かを考えているようだった。
 芭乃は複雑な気持ちでその面を眺める。
 顔はまだ少年のようなあどけなさを残しているというのに、その頭の中ではこの国の将軍として自分がどう動くべきかを考え続けているのだ。
 将軍としての義藤と、芭乃の前での義藤とは同じ人物ではあるけれど、まるで別人のように感じることがあった。
「ああ、もうやめた。今日はもう何も考えない」
「そうされたほうがいいですよ。ここ最近は眠る時間も惜しんでお仕事をされていましたし」
「俺は今とても癒しを欲している」
 そう言って義藤は急にごろんと芭乃の膝にうつぶしてきたかと思うと、その太ももの合間から悪戯をし始めた。
「ちょ、ちょっと義藤様っ。何なんですか、急に」
 それまですっかり油断していた芭乃は慌ててしまう。
 部屋に呼ばれたときは確かにそういうこともあるだろうと思っていたけど、長い時間ずっと膝枕だけをしていたので、今日はそれで終わると芭乃は勝手に思い込んでいたのだ。
「夫婦がこうして一つ同じ部屋にいるというのに、何もしないのはおかしいだろう」
「べ、別におかしくはありません……と思いますけど」
 芭乃は顔を赤くし、まっすぐに見つめてくる義藤から視線をそらす。義藤は芭乃の手を握り締めてきた。
「俺は今、猛烈に芭乃が欲しい」
「よ、義藤様……」
「嫌か?」
 率直に問われて、芭乃は逃げ場を失ったように小さな声で答えた。
「嫌……ではありませんけど……」
「じゃあ、問題ないな」
 義藤はにっと笑うと、座った芭乃の胸に手を伸ばしてくる。
「久しぶりだ。やはり芭乃の胸は柔らかいな……」
 その胸の弾力や柔らかさを確かめるように、義藤は優しく着物の中に入れた手でまさぐってくる。つんと硬くなった乳首は、義藤の指できゅっと扱かれるたびに、また硬くなってしまう。
「んっ、ぁ……よ、義藤っ、さま……あ、ぁん……」
 あまりにも久しぶりに触れられたその体は、自分でも驚くほど敏感になってしまっていた。すぐに芭乃の体からは力が抜けてしまい、あっけないほどたやすく、義藤に押し倒されてしまう。
「やっぱりここも……濡れてるみたいだな」
 からかうように義藤は言いながら、下帯を解いた芭乃の濡れたその部分に指をいれ、ぐちゅぐちゅとかき回してくる。
「や、ぁ……そ、そんなにかき回しちゃ……っ……」
「この様子じゃ、どうやら浮気はしてないみたいだな」
「う、浮気なんてっ、ぁっ、んんっ……」
 抗議しようとする芭乃に、義藤は先制を加えるように笑う。
「分かってるよ。俺はお前のことを信じている」
 以前は芭乃を傷つけることを平気で言っていた義藤だが、一人で気を遣らされたあの日からは、まるで別人のように芭乃を大切に扱うようになった。
 芭乃の気持ちを試すようなことも、言わなくなった。
 芭乃のことを信じているというよりは、ひょっとすると信じたいのかもしれない。
 日ごろは余裕を見せていても、時折見せる不安そうな義藤の顔を、芭乃は知っている。
 まるで愛撫だけで芭乃を導こうとするかのように、義藤の手は芭乃の胸を巧みにまさぐり、股の間に潜り込ませた指でその熱くとろけそうな内部をかき回していく。
「んっ、あっ……ぁっ……はぁっ……ぁんっ……」
 すっかり着物をすべて脱がされていることにも気づかないほどに、芭乃は義藤に与えられる快楽に体を蕩かされていた。
「……ぁっ、んんっ……やっ、ん、来ちゃっ……」
 早くも限界を訴える芭乃に、義藤は優しく笑って促す。
「いいぞ、遠慮するな」
「んぁ、で、でも……まだっ、あっ、んんっ……」
 まだ愛撫が始まったばかりなのに……そう言い掛けた言葉は最後まで言えなかった。
 義藤は芭乃の首筋をきつく吸い上げながら、追い込みを掛けるように蜜壷を責める指をさらに激しく動かしていく。
 ぐちゅぐちゅと濡れた音はまるで水が跳ねるように激しくなっていく。
「あっ、あっ、あぁっ……ああぁぁ……っ……」
 芭乃はあっという間に達してしまった。
 それを満足げに眺め、義藤はたっぷりと指についた芭乃の蜜を舌でぺろぺろと舐めている。
「あ……」
 まるで野性の獣のように舌を出し、指を舐める義藤に、芭乃は下肢がぎゅっと熱くなるのを感じた。
 達したばかりなのに、その部分が強く疼いて、もっと大きく逞しいものを求めている。
「俺のが欲しいか?」
 まるで芭乃の気持ちを見透かしたように、義藤は聞いて来る。芭乃は無意識のうちに首を頷かせていた。
「入れてやるよ」
 義藤は芭乃の唇に吸い付きながら、その両足の合間に肉の棒を突き立てていく。指とはまるで大きさも硬さも違うものが、芭乃の体の中へと押し入ってくる。
「あっ、あぁぁっ! はぁっ、あっ、ああぁ……!」
 芭乃は大きく口を開けで喘ぎながら、義藤の分身を受け入れる。ずぶずぶと音を立てながら、それは芭乃の体を開いていった。
「っく……さすがにきついな……」
 義藤は苦しげに呻く。きついというのがどういう意味か、芭乃にはよく分からない。けれども確かに、芭乃の中で義藤は少し動きづらそうな様子だ。
「くぅ……そんなに締め付けるなよ……」
「わ、私……締め付けてませんっ……ぁっ、んんっ……」
「締め付けてるだろ……っく……ぅ……」
 義藤はしばらくの間、芭乃の奥深くに埋もれたまま、何かに耐えるようにじっとしていた。
「本当に今日のお前……いつもよりずっと熱いな。まあ、いつものっていっても、最近やったのってだいぶ前だからな」
 戦があったりしたので、かれこれもう二月以上も義藤に触れられていなかった。そのせいもあるのだろうか。芭乃の体は貪欲に義藤を求めていた。
 早く動いて欲しい……そう思うけど、それを口に出すのはためらわれた。ただでさえ、こんなに淫らな体になってしまっているのに、淫乱な女だと義藤に思われたくなかった。
「そろそろ動くぞ。いいか?」
 義藤がようやくそう言ってくれたので、芭乃は救われた気分でこくこくと必死に首を頷かせた。
 汗に濡れた顔で微笑みながら、義藤は抽送を開始する。その大きな分身が体の中を行ったり来たりするたびに、芭乃は体が熱の塊になっていくのを感じた。
 義藤の汗が芭乃の体に滴り落ちる。義藤自身も感じているのが、その荒い呼吸からも伝わってくる。
 熱く濡れた媚肉に分身を擦り上げられ、義藤はどんなふうに芭乃を感じているのだろうか。
「……ぁん、あっ……はぁっ、ぁっ……んんっ……」
 奥のきわどい粘膜を擦り上げられると、芭乃はたまらず甘い声を出してしまう。義藤はもう芭乃の体の弱い部分を知り尽くしている。自身も芭乃の媚肉に追い込まれながらも、義藤は冷静に芭乃の快楽のつぼを刺激してくる。
「んっ、ぁっ……んっ、ふ……ぁっ、んぁっ……」
 突き上げるほどに、芭乃の蜜壷にはまた新たな熱い蜜が体の奥からあふれ出してくる。義藤が強く突き上げると、その蜜壷に溜まった蜜が飛沫をあげるほどだった。
「っく……ぅ……」
 苦しげに呻きながらも、義藤は突き上げる速度を上げていく。それに合わせるかのように、芭乃の吐息もさらに弾んでいった。
「あ、ぁっ……ま、また……っ……あ、ぁっ、はぁっ!」
「うくっ……し、締め付けがっ……」
「んっ、ぁっ……あ、ぁっ……来る……来ますっ……あぁっ!」
 二人の体はほぼ同時にびくんと震えた。
 すぐにばたりと倒れこむようにして、義藤が芭乃の体に覆いかぶさった。
 汗に濡れた芭乃の顔を撫でながら、義藤はその唇を吸う。
「ん、ふ……ぅ……んっ、く……んっ……」
 接吻の合間に、芭乃の乱れた吐息が漏れる。よほど快楽が強かったのだろう。その体はまだひくひくと震え続けていた。
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