身代わり濃姫~若き織田信長と高校生ヒロインが、結婚してから恋に落ちる物語~

梵天丸

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第二章

身代わり濃姫(27)

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 美夜みや甘音あまねをかばうように、その身体を抱きしめる。
「――――――っ!!」
 肩に衝撃を感じて、美夜は目を閉じた。
 きっと斬られた……そう覚悟したのだが……。
「あれ……?」
(い、痛くない……?)
 肩のほうを恐る恐る見てみると、確かに着物は斬れてはいるが、おそらく信長が咄嗟に加減したのと、打ち掛けを羽織っていたのとで、どうやら打ち掛けと小袖の布が斬れただけで済んだようだった。
 どこも痛みは感じない。
(良かった……生きてた……)
 しかし、ほっとしたのもつかの間で……。
「馬鹿者ッッ!! 俺にそなたを斬らせるつもりか!?」
 信長の怒声が頭の上から振ってきて、美夜は身がすくんだ。
(こ、怖い……でも、こうなったら引くわけにもいかない……)
 何とか恐怖を堪えて、美夜は甘音を抱きしめたまま、信長を見上げる。そして驚いた。
 刀をこちらに向ける信長の腕は震えており、呼吸は肩で息をするほどに激しく乱れている。
 しかも汗が流れ、畳にまで滴り落ちるほどだった。
 こんなに動揺する信長を見たのは、初めてかもしれない。
「そこを退け、美夜。俺はこの里の者たちの主の責任として、甘音を処分せねばならん」
 信長は汗を拭いながら告げてくる。
 刀を収めようという気持ちは、まったくないようだった。
「いいえ、退きません。甘音を斬らないでください、信長様。甘音は信長様の味方です」
「しかし、甘音は未熟だ。この秘密を共有させることはできぬ。事はそなたの身のみならず、国の一大事にも繋がるのだからな」
「だ、だから……あたし、絶対に言わないって……」
 甘音は消え入りそうな声で信長に訴える。
 甘音の身体は美夜の腕の中で震えてしまっている。
 よほど今の信長が恐ろしいのだろう。
 甘音も小さな頃から彼を知っているとはいえ、こんな信長を見たのは初めてなのかもしれない。
「里の掟すら守れぬそなたの言葉を、誰が信じると思うか」
「そ、それは……っ……」
 昼間、蔵ノ介くらのすけも言っていた。
 甘音はたびたび里を脱走し、折檻を受けていると。
 確かに、信長の言うことには道理がある。
 だからといって、それで殺されてしまうというのは、別の時代から来た美夜には、とうてい理解できそうにないが。
「甘音……どうして折檻されても外へ出ようとするのか教えてもらえる?」
 美夜が優しく問いかけると、甘音はこくりと頷いた。
「父ちゃんに……会いたかったんだ……一度でいいから……顔を見るだけでいいから……会いたくて……だから……っ……」
 甘音は泣き出してしまった。
「甘音のお父さんは……ここにはいないの?」
 美夜の問いかけには、信長が代わりに答えた。
「甘音の母は、父上から密命を受けて今川家に入り、家臣の一人に近づいた。それでできた子が甘音だ」
「そんな……」
 今川家といえば、長年の織田家の宿敵でもある。
(確かに……敵を知るには、敵の中に入るのが一番なのだろうけど……)
 美夜は言葉を失ってしまう。
 そして、気がついた時には泣きじゃくる甘音の身体を強く抱きしめていた。
 忠義のため……などというきれい事で片付けるのはすまされないようなその話に、美夜は怒りとも悲しみとも分からない気持ちを感じ、身体が震えてくる。
 いずれ信長も、彼女らの主として、そうしたことを命じる時が来るのだろうか……。
 信長が誰かにそうしたことを命じても、彼を受け入れることができるだけの覚悟は、自分にあるのだろうか……。
「あたしはただ……ただ……父ちゃんに会いたかっただけなんだ……父ちゃんに会ったら……ひと目でも会えたら……もう二度と脱走なんてしないつもりだった……あたしはこの里が好きだし、ずっと母ちゃんの代わりに育ててくれた兄者たちのことも好き。だから、兄者たちが命より大切に思っている吉法師のことも好き。吉法師を守るために、あたしに何かできるなら何でもする。でも、その覚悟を決めるためにも、一度だけでいいから父ちゃんに会いたいってそう思って……」
「そう……だったのね……」
 気がつくと、信長は刀を鞘に収めていた。
「甘音の処分は里の者に任せる。それで良いか?」
 信長の言葉に、美夜はうなずけなかった。
 それではおそらく、結局甘音は死ぬことになるのではないだろうか。
 もしくは、良くても今より酷い軟禁状態に置かれてしまう可能性だってある。
 自分の腕の中で震える少女を、美夜は絶対に死なせたくないと思った。
「信長様、甘音を私の護衛に任じていただけませんか?」
「無理だ。甘音には務まらぬ」
 にべもなく言われたが、美夜は諦めることができなかった。
「甘音もさっきのことで、自分の聞いてしまったことの重大性はしっかり認識したと思います。私も同性の護衛がいてくれたほうが安心ですし、護衛をしてもらうためには、秘密を知っていてもらう必要があります。ならば、甘音はちょうど良い人選ではありませんか?」
「む……」
「信長様、お願いします。どうか私に甘音の命を預けてください。もしも甘音が死に値するようなことをした時は、私が責任を持って彼女の命を絶ちます。だからどうか……」
 美夜は指をついて信長に懇願した。
 この時代で人の主となるということは、その者の生殺与奪せいさつよだつの権利も託されるということなのだ……ということを、美夜は信長から教えられたのだと感じた。
 美夜が甘音に手をかける日など絶対に来て欲しくはない。だけど、この時代に主となる人間にはその覚悟は必要なのだ。
 美夜には理解しがたいこの思考も、信長とともにこの時代を生きていくということを決めたのならば、受け入れ、飲み込んでいくしかない。
 しばらく沈黙が続いたが、やがて頭の上から信長の声が聞こえた。
「もう良い。頭を上げろ。甘音の件は少し考える。処分が決まるまで甘音の身柄は蔵ノ介に預ける。それで良いな?」
「はい……分かりました」
 もうこれ以上のことは、美夜には言えなかった。
 今も十分に、信長に対して踏み込んではならないところまで踏み込んでしまったかもしれない。
 信長は何も言わずに部屋を出て行った。
「ごめんなさい。私にできるのはここまで……後は信長様次第になってしまうけど……」
 美夜がそう言うと、甘音は首を横に振る。
「ううん……こんなふうに誰かにかばってもらったのって、あたし初めてだったから……嬉しかった……ありがとう……」
 先ほどまでは泣きじゃくっていた甘音が、笑みを浮かべていた。
 美夜のように、生まれてすぐに両親を亡くしても、育ての親や家族に恵まれたら、それはとても幸せなことなのだと思う。
 けれども、たとえ両親が生きていても、信長のように母親に命を狙われるような場合や、甘音のように、父親の顔を見たくても見れない者もいる。甘音は母親に育ててもらわずに蔵ノ介たちが育てたと先ほど言っていたから、彼女は本当に両親の温もりを知らずに育ったということになるのだろう。
 すぐに部屋には蔵ノ介と里の者たちが数名やって来て、甘音を連れて行った。
 部屋を出るとき、甘音はもう一度美夜を振り返って笑った。

 ほとんど一睡もできずに迎えた翌朝、信長は見送りに出た美夜とは一言も口をきかず、目を合わせることもなく、道三との会談が予定されている寺へと出発した。
(信長様に無視されるのって……初めての経験かも……)
 しかし、信長の態度は仕方のない部分もあると思う。
 下手に美夜と口をきけば、信長は情に流されて甘音の処分を決めることになってしまう。
 たぶん、信長はそれをしたくないのだと思う。
 情に流されることなく、信長なりに最善の選択をしたい……そう考えているのではないだろうか……。
 甘音が連れて行かれた後、部屋に入ってきた各務野かがみのは、美夜のざっくりと切れた打ち掛けや小袖を見て、顔を青ざめさせた。
 そして『あまり無茶はなさらないでください』と懇願されてしまった。
 各務野に着替えを手伝ってもらって切れた着物を見ていると、本当によくも肌に傷ひとつつかなかったものだと驚いてしまう。
(運も良かったんだろうけど……信長様が必死に止めてくれたんだろうな……)
 あの時、見上げた信長の表情や姿を思い出しながら、美夜は思う。
 広場では、並べられていた遺体が、ひとつずつ運ばれていく。
 清洲から駆けつけた多くの者たちが、慌ただしく里の中を動き回っていた。
帰蝶きちょう様、まきが目を覚ましました」
 各務野がそう報告してくれたので、美夜は各務野とともに、槙を見舞うことにした。

「あ……帰蝶……様……おはよう……ございます……」
 少し強い薬が効いていたこともあって、槙はまだ少しぼんやりとしている様子だ。
「大丈夫? 痛みは?」
「今は……少し鈍い痛みが残っていますけど、でも、大丈夫です」
 槙がそう言って微笑むので、帰蝶も心から安堵した。
「もし、辛くないようだったら、できるだけ早く清洲に戻りましょう。槙も自分の部屋のほうが落ち着くでしょう?」
「はい……正直に言って、そのほうがありがたいです……」
「ごめんなさい。貴方を危険な目に遭わせてしまって」
 美夜が謝罪すると、槙は顔に笑みを浮かべる。
「帰蝶様の……せいじゃ……ありません。どうか……お気になさらず……」
 似たような会話を、昨夜信長としたことを思い出し、美夜はまた信長の気持ちに思いを馳せる。
 若と呼ばれたり、殿と呼ばれたり、信長様と呼ばれたり……そう呼ばれる立場であることの責任を、信長は正確に理解している。
 その生殺与奪の権利を自分が握っていることの責任も、信長は誰よりも一番理解している。
 美夜たちが生きていた時代は、人権というものがあり、自由もあったが、基本的にすべての責任は本人にあった。
 けれども、この時代には人権や自由といったものがない代わりに、すべての責任は主のものという考え方がある。
 どちらが良くてどちらが悪いとか、そういうことは美夜には分からない。
 ただ、美夜が生きていくと決めた時代は、そういう時代だということだ。

 槙の見舞いを終えて部屋を出ると、蔵ノ介の姿を見つけた。
(甘音……今頃どうしているかな。また折檻とか受けていないといいけど……)
 美夜は断られるのも覚悟で、思い切って蔵ノ介に聞いてみる。
「あの……もし可能であればで構わないのですが、少し甘音と話をさせてもらえませんか?」
 甘音の身柄は蔵ノ介に預けると信長が言っていたから、接見の可否も、蔵ノ介が決めているのだろうと美夜は思ったから聞いてみたのだが。
「あ、すみません。私は兄ではなく、弟のほうでして……」
 少し戸惑ったように返され、美夜は驚いた。
 双子といっても、多少は違いがあるはずなのに、本当に蔵ノ介と藤ノ助ふじのすけの二人には、その違いがほとんどなかった。
 いや、見た目はほとんど同一といっても良いかもしれない。
 しかも着ているものまで似ているので、確かにこれではほとんどの者が見分けるのは難しいだろうと思う。
(信長様だけは見分けられるって蔵ノ介は言ってたけど……どうやって見分けてるんだろう……)
「ご、ごめんなさい……藤ノ助さんのほうだったんですね」
「はい。兄は今、中庭におります。呼んで参りましょうか?」
「あ、いえ。私のほうから行きます。ありがとうございます」
 美夜は礼を言って、蔵ノ介がいるという中庭に向かった。

 中庭に行くと、蔵ノ介はすぐに美夜の姿に気づいて一礼する。
 確かに、見た目はほぼ同一かと思うぐらいによく似ているが、里の長という立場もあるのだろうが、兄のほうが少し堅苦しい雰囲気があるように美夜には感じられた。
 ただ、まったく同じ衣服を着て、黙って二人が並んで立っていたら、見分けるのは不可能に近いほど困難だろう。
「すみません、藤ノ助さんからこちらにおられるとお聞きして……」
 美夜がそう告げると、蔵ノ介はため息を吐き出した。
 そしてまた美夜に向かって頭を下げる。
愚弟ぐていが失礼いたしました。気が利かない男で申し訳ありません」
 たぶん、藤ノ助が呼びに来ることなく、美夜が自分で蔵ノ介のもとを訪れたことに対して、彼はそう言っているのだろうと美夜は理解した。
 しかし、そんなことで後で兄弟喧嘩になっては大変だ。
「あ、いえ、あの……藤ノ助さんは呼びに行きますと言ってくださったのですが、私が自分で行きますと答えたので……その……」
 美夜の言葉が続かなくなると、それを引き取って蔵ノ介が言う。
「あの愚弟は少々気が利かないところがありますので、ご容赦ください。それで、私をお探しのご用件は、甘音のことでしょうか?」
 さすがというか、蔵ノ介は察しが早かった。
「はい。少しの時間でも良いので、甘音と話すことはできますか?」
 恐る恐る聞いてみると、蔵ノ介はあっさりと頷いた。
「構いませんよ。甘音も今回の件はさすがにかなり堪えているようです。信長様が下される処分はどうなるか分かりませんが、帰蝶様にお話しいただければ、彼女も少しは気が落ち着くことでしょう」
 その言葉を聞いて、おそらく蔵ノ介は美夜の秘密について信長から聞かされているのだろうと想像が付いた。
「ありがとうございます」
「いえ、こちらこそ、甘音にお気遣いいただき、ありがとうございます。どうぞ、こちらへ」
 美夜は案内されて、建物の中庭から、離れのような場所へと向かった。
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