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自由の始まり

鍛練と模擬戦

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「ここだな」

 体育館ぽい建物に到着したアオヤとタマモは
 入り口近くに居たギルド職員に使う事を伝えて
 中へと入った。
 見た目は体育館だが中もそのまんまだった。
 唯一違う点は下が土だった事だろうか。

 中に入ってからはタマモに魔力操作で魔法の形を変えたり理解出来るか分からないが青い炎が出せるように色々説明して実践したりして鍛錬の指示を出した。

「俺は違う属性を同時に使えるか試してみるか」

 まずは、右手に火属性魔法で球体を作り、次に左手でも水属性魔法を球体にする。
 何とか出来たことはできたが、綺麗な球体には出来ていない。
 やはり魔力操作を両手でするにはレベルが足りないみたいだ。
 そんな感じで1時間くらい奮闘していると
 アナウンスが流れた。

『並列思考を取得しました』
『魔力操作のレベルが上がりました』
『魔力操作のレベルが上限に達し、気力操作lv10を確認しました。』
『魔力操作と気力操作を統合します』
『魔気支配を取得しました』

「なんかレベルが上がったと思ったらカンストして統合とか一気に色々来すぎだろ。」

(説明とか見れるのかな?)



 魔気支配:魔力と気力が自由に動かせる。
                 名前の通り支配できる。


「これやばくないか?」

 このスキルがあれば色々出来そうだな。

 気力操作が身体的に影響するなら、魔力操作は魔法に影響するのは分かってる事だから、この2つを支配できるのなら混ぜ合わせる事も出来る。
 つまりこれに属性を乗せれば身体に纏えるかもしれない。

(ものは試しにやってみようか。)

 今回は使い勝手がいいし、纏うとなれば雷だよな。
 なんか思考能力も上がりそうだしな。

 まずは身体全体を魔気で覆う。
 次はこれに属性を持たす為にイメージする。
 最後に技に名前をつけてイメージを固定する。

(よし、いけそうだな)

雷纒らいてん

 すると、全身から青白い電気が放電されている。
 試しに動いてみるとその速度は縮地をこえ、音を置き去りにしてそのままの勢いで壁に激突した。

 修練場からは轟音が響いて、
 ギルドにいた冒険者や職員らは一瞬手を止めた。

 二階からはギルドマスターであるベイルも降りてきた。

「おいおい今の音は何だ?
 修練場の方から聞こえてきたが…
 だれが使ってるか知ってるやつはいるか?」

「アオヤさんが鍛錬できる場所があるか聞いてきたので
 修練場があることは伝えましたが…」

 そう言ったのはフィオナだ。
 それを聞いたベイルはニヤリと笑って
 修練場の方へ向かっていった。
 そして、それを見た冒険者達も後に続いていった。




 その頃、壁に激突したアオヤはというと
 無傷で瓦礫の下から起き上がって
 身体に付いた砂埃を手で払らいながら考えていた。

(試しで動いただけであの速度か…
 これを制御するのは何回か試さないと無理だな)

 これから何回か試そうと考えていると心配して来たのであろうタマモを撫でて大丈夫だと伝え、入り口にいた職員にも壁を壊してしまった事と無傷である事を伝えて元の位置に戻った。
 伝えた時の職員の感じは本当に大丈夫なのかと心配そうな表情をしていたがその場で動いて何ともない事を見せるとしぶしぶ納得してくれた。


 そこからは多少ぶつかる事はあっても
 何とか制御出来る様にはなった。

 その他にも色々試してみたが
 使えそうなのは雷と風と闇くらいだった。

 そもそも使える事は言ってないので
 実質、雷だけだ。

 まあそれ以外だと周りへの影響があり過ぎたので
 どちらにせよ使えない。

 どんな影響かと言うと、
 ・火属性は温度が上がり過ぎて地面がガラスかした。
 ・水属性は水浸しになるのか思ったが何も起きなかった。
 ・風属性は身体に風を纏うくらいだったので使えそう。
 ・土属性は石の鎧みたいになって動きが鈍くなった。
 ・光属性は何かキラキラとして目立っていた。
 ・闇属性は闇を纏っていて隠密性が上がってる気がした。
 ・雷属性は速度と思考能力が上がったが常に放電してる。
 ・氷属性は周りの温度が下がり歩いた所を凍結させた。

 結果、使える属性は先程の3属性のみだ。

 まあ色々やってるうちに武器に付与するだけなら
 どの属性もかなり使える事は分かっている。

 色々試して鍛錬してると入り口の方が騒がしくなってきた。
 そちらの方に意識を向けると武装したベイルと
 野次馬とかした冒険者の姿があった。

 武装したベイルを見て嫌な予感を感じつつ、
 その予感が外れる事を祈って声をかけてみた。


「そんな格好をして」

「ん?いや、凄い轟音がしたから部屋から出て職員に声をかけたら珍しく修練場で鍛錬してる奴がいると聞いてな。それなら気分転換に模擬戦でもしてやろうと思ってよ」

(やっぱり模擬戦だよな)
 やっぱりといった感じでゲンナリしてると
 ベイルが言ってきた。

「で?どうする?やるか?」

「どうせ断れないでしょ?」

「よく分かってるじゃねーか。
 けどまあこれでも元S rank冒険者だ。
 模擬戦とはいえ戦って損はないと思うがな」

「ッ!!へぇーそうだったんだな」

(模擬戦とはいえ元S rankと戦えるのは自分の強さの位置を知るいい機会か)

「おっやる気になったみたいだな。
 つーかそれが素のお前か。
 そっちの方がいいじゃねーか」

「流石に初対面の人には敬語は当たり前でしょう
 それより模擬戦受けますよ。
 自分の実力を知るいい機会なので」

「よしきた!
 ルールは簡単だ。
 動けなくなるか降参するかだな。
 なお、殺しや周りを巻き込む魔法は禁止な」

「分かった。
 武器はこのままでいいか?
 別に訓練用の潰したやつでもいいが」

「そのままでいいだろう。
 お前さんの実力だと寸止めも余裕だろうしな」


 そう言ってからそれぞれ間合いを取って準備をする。
 俺は勿論そのまま刀で行く。
 今回は使う必要があれば雷纒も使うつもりである。


 ギルドマスターの装備は動きやすさ重視の皮鎧と2mはありそうな大剣でそれを片手で軽く振った後、両手で持って構えた瞬間、場の空気が変わった。

 そして始まる時がきた。




「よし、それじゃあ始めるか」







 名前 アオヤ・スメラギ
 性別 男
 年齢 18
 称号 転移者 タマモの主

  ・通常スキル
  刀術 LV10
  体術 LV7
  気配察知 LV5
  気配遮断 LV5
  縮地 LV5
  鑑定 LV3
  テイム LV1
            魔気支配 LV-

 ・魔法スキル
  全属性魔法 LV10
  空間魔法 LV2

 ・ユニークスキル
  重力魔法
  健康体
  言語理解

  :鑑定:
  名前 タマモ
  性別 メス
  種族 妖狐
  称号 アオヤの従魔

 ・通常スキル
  気配察知 LV1
  魔力操作 LV8

 ・魔法スキル
  火属性魔法 LV7

 ・固有スキル
  狐火




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