踏み台令嬢はへこたれない

IchikoMiyagi

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一章

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 フッと意識が浮上する。

 体が熱い。

 喉が、引き攣るように痛い。
 瞼が重く、周りを見ようとして失敗した。
 誰かが、右手を握ってくれているーー。

 その手が、最近知ったその人の手に似ていて、ひどく切なくなった。

 ーーーーそうか、わたくしはーーーー。

「……んか、…………すき……」

 なの、だわ。

 気づいてしまえはとても愛おしくて、体も動かしづらかったけれど気力を振り絞って手に力を入れ、自身の顔の辺りまで持ってくるとその温もりに浸りたくて、握った手にほっぺをあててすりすりした。

 ーーあったかいわ。

 わたくしは満足したのと力を使い果たしたので、また微睡みから深い眠りへと、落ちていったーー。
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