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一章

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 ーーどうしたことでしょう、……机が、ピッカピカだわ。
 わたくしだけ。

 次の日の朝、わたくしは早速?不思議な現象と対面していた。
 学院の教室には、わたくしの机がある。
 それはいいの。
 マリアンヌ様はわたくしのご学友で何もおかしくないわ。
 なのに何故かしら、組み合わさるとこうも不可思議な景色になって……。

 昨日までは長年使われた風合いのある、古き良き時代の机だった。
 今は見る影なくピッカピカに磨かれ汚れひとつなく、朝の光を反射してきらりと光っている。
 その横には薔薇色の空気をこれでもかと撒き散らしながらも、本人自体は静々しずしずといった面持ちでまるで侍女かのようにマリアンヌ様がたたずんでいた。

 何はともあれ。
 近づいて持ってきた道具を机に収めなければ授業を受けることができない。
 意を決して口を開く。

「お、おはようございます? マリアンヌ様。今日も清々すがすがしい朝ですわね。」
 にこりとしながら声をかければ、くわっと目を開き興奮したマリアンヌ様が前のめりでわたくしの挨拶にこたえてくれた。
「おはようございますメルティアーラ様! とっても素敵な朝ですね! 一番素敵なのは勿論、その食べちゃいたいほどお綺麗なまるでチョコレートの瞳とキラキラと輝く蜂蜜色の真っ直ぐなおぐしすっと通ったお鼻は形良く程よい大きさのその口は少しだけ薄い唇がまるでさくらんぼのような色をしていてうっとりしてしまう程の貴方様ですが!!」

 息継ぎなしでいきなり褒め称えられた、ですって?!?!

「あの、ま、マリアンヌ様」
「そんな他人行儀に呼ばずどうぞマリア、と呼んでください!! いえ勿論マリアンヌと名前を呼んでいただくのも捨て難いのですその鈴のようなお声で呼ばれたらそれはもうジャスティス!!」
「お、落ち着いてちょうだい? そ、その……マリア? なにがありましたの?」

 こまったわたくしの眉が下がったのを見てマリアはハッとした顔をした。

「嫌だ私ったら……すみませんメルティアーラ様。つい神が降臨して舞い上がってしまいましたわ」

きゃっと小さい声をあげ紅潮した頬を両手で包みながら、もじもじもじもじと体を揺らし彼女は言った。

ーーーーなるほど、さっぱりわかりませんわ。
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