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第九章 戦役
十七話 援軍
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突如空から襲われたレキウスは、自分に攻撃を与え、余裕の表情を持ってエリアスと会話するゼンを見ていた。
彼は地面に突いていた膝を離すと、壁盾を持つ手に力を入れて立ち上がろうとした。
だがその時、壁盾を持つ手に痺れを感じていた。
レキウスは思い返した、これほどの衝撃を受けたのは、以前戦った古竜の尻尾による攻撃を防いだ時以来だと。レキウスはまだ痺れを持つ自分の左腕を見て喉を鳴らした。
一方、ゼンといえば、起き上がらせたエリアスの尻を叩いて土を払っていた。
「怪我は少しだけだな? ちょっとまてよ、グレーターヒール」
ゼンが回復魔法を施すと、エリアスは一気に全快した。
「すまん、ゼン」
「気にするなよ。それで……本当に俺は遅れたみたいだな」
そう言ったゼンの目には、多くの倒れる者たちが見えた。エリアスに対しては軽い口調で話しかけてはいたが、状況を把握して沸々と怒りが沸き上がっている。
「……それに関しては今はいい。それよりすまないが、あれの相手を頼む。俺は急いで前線へ盾の力を送らなくてはならない。早くしないと前線が崩壊してしまう」
エリアスは自分たちを見ているレキウスに視線を向けて言うと、ゼンもその視線の先を追い口を開いた。
「分かった。けど、そんなに焦らなくても大丈夫だ。あっちにはアニア達が行っている。すぐに盛り返すと思うぞ」
ゼンがそう言った直後、前線では光の柱が発生した。
前線からは少し離れた場所に、スノアから降り立ったアニアは、即座に行動を開始していた。その傍らには、彼女を守るべく陣取るシラールドの姿がある。
「エリア……ヒールッ!」
アニアはゼンが作り出した【双竜杖】を握りしめ、意識を集中するために目を閉じた。そして、範囲回復魔法『エリアヒール』を唱える。その魔法はアーティファクト【慈愛の雫】の魔法範囲強化が加わり、彼女を中心として生まれた光の柱は、エゼルの兵を飲み込むように広がりを見せ、周囲百メートル範囲を包み込んだのだった。
その結果、アニアの周囲では様々な反応が生まれていた。
敵と斬り合い腕を切断され、後方に下げられた男は、地面で転げまわっていた。
「グアァッ! う、腕があああぁぁっ!! ……あれ……痛みがなくなっていく……?」
男は突然治まった痛みに、ぼう然とした表情をすると、落ちていた自分の腕を拾い上げ、更に後方へと下がっていった。
他の場所でも同様な事が見られる。
最前線では、斬られて地面に倒れた男が、何事もなかったかのようにむくりと起きだしたり、弓矢を体に受けても、即座に体から矢が抜け落ちて傷が塞がったりと、まるで奇跡のような光景が広がっていた。
それを目にしたエゼル兵達は、困惑しながらも隣にいる仲間に話しかける。
「お、おい、見たか、今の……」
「おう……出血がすぐに止まって、痛い様子もなさそうだったぞ……」
「って事は、多少の怪我はすぐに治るって事か!?」
「どうやら、この光の中にいる限りそうらしいな……」
自分達を包み込んだ光に、彼らは最初は驚いていた。しかし、至るところで怪我人達が回復している様子を見て、それが自分達を守っているのだと分かると、心の中に強い希望が生まれてきた。
そして、それはエゼルの聖女の回復魔法だと知れ渡る。
状況を見た諸侯の一人は、自らが率いる兵達に声を掛けた。
「聖女の守りがあれば……いけるぞッ! お前ら負傷者は光まで下げろ! そして、回復次第即座に前線復帰させるんだ!」
エゼル王国軍は文字通り息を吹き返したかのような動きを見せ始めた。
一方では、オルトロスに跨るセシリャが、騎兵部隊や魔獣部隊を率いていた。
「み、皆さん! 私の近くで、えっとっ……付いてきてれば、馬とか魔獣が強くなりますっ!」
セシリャは持ち前の人見知りを発揮しながら、近くにいた騎士達にそう言った。
「おぉ、何という力だ……。私の馬がこれほど速く駆ける事が出来たとは……」
「お嬢さん、これは俺達は乗っていれば十分だ。戦場を駆け回って敵を引き殺してやりましょう!」
セシリャの周囲にいる馬や魔獣は、獣の神の加護の力により、普段の倍近い体格になっている。馬は高さ三メートルを超え、中には四メートル近い巨馬もいる。
魔獣には様々なタイプがいるが、多くは狼程度の大きさだ。だが、それらも今は倍近い体格になっており、普段は乗る事の出来ない主を背中に乗せて駆けていた。
圧倒的な体格は、それだけで武器だった。彼らが敵陣に突っ込むだけで、敵の守りは吹き飛ばされる。もちろん、反撃を受けて脱落する者はいた。だが、明らかに目立つその動きは、エゼル王国兵の騎馬部隊を呼び寄せる結果となり、結局は合流する者の数が上回る。
セシリャを中心とした部隊は、群れる魚を食らおうとする一匹の大魚のように戦場を駆け巡っていた。
そして、また一方ではヴィートがスノアの上で、仁王立ちをしながら空を飛んでいた。
「おい、スノア。兄ちゃんに竜の力を分からせてやろうな」
ヴィートがそう言うと、スノアは恭しく返事をした。
「んーと、あっちがエゼル兵だろ? じゃあ、あれが敵か。よーし、俺が声を掛けても言う事を聞かなかったら、スノアのブレスで一掃だな。それが終わったら、俺も竜に戻ってお仕置きだ」
戦いは地上だけではない。ヴィートの視線の先には、空中で戦う飛竜達の姿があった。
状況を見極めたヴィートは仁王立ちをしたまま空中の戦場へと近付いていく。
そこでは、飛竜に跨った兵士たちが長槍でお互いを攻撃し合ったり、ドックファイトさながらの魔法による攻撃などが行われていた。だが、飛竜の倍近い体躯を持つスノアが近付いていくと、それに気付いた双方の兵たちは、お互い何事かと、様子を見るために離れた。
そこにたどり着いたヴィートは、普段はあまりしない厳しい表情を見せると竜言語で叫んだ。
『お前らっ! 俺はエゼルの援軍で来た! 俺に敵対するならその命ないと思えよ!』
その言葉は人には理解出来ない物だ。だが、明らかに飛竜よりも格上のドラゴンを操る存在に、双方の兵は困惑していた。そして、言葉を掛けられた飛竜達は、突然現れた人間の子供が絶対的な存在である古竜だと気付き、戦場での高ぶった心を、怯えへと一転させると、ヴィートの前へと一列に並びだした。
「うんうん、いい子達だな! よし、じゃあエゼル兵はそのまま戦っていいぞ! シーレッドの兵士は今すぐ武器を捨てないと、飛竜から振り落とすからな」
ヴィートがそう言い放つが、双方の兵士は意味が分からず戸惑っていた。
だが、ヴィートがエゼル側にいた飛竜に、この場から離れるように言うと、主人たちの命令も聞かずにその場から移動し始めた。
残ったシーレッド兵たちは更に困惑している。何故なら、先ほどから自分たちの命令を飛竜が全く聞かないからだ。
いや、ある意味飛竜は主人を守っている。古竜に逆らえば、その時点で自分たちの主人の死が決定するからだ。中にはその事を念話で伝えている飛竜がいた。だが、多くの飛竜は古竜の出現に怯えて萎縮してしまい、その事を告げる事が出来なかった。
「お前ら早く武器を捨てろって。じゃないと、怒るぞ」
ヴィートはそう言うが、状況の良く分からないシーレッド兵たちは動かなかった。
その結果、スノアのブレスがさく裂した。
「あぁー、俺はちゃんと言ったのになあ。お前達も飛竜と話せるのに、何でそんな馬鹿な事するんだよ。まあいっか、敵を倒せば兄ちゃんが喜ぶし!」
スノアの上で胡坐をかくヴィートがそう言った。彼は難なく空の支配権を手に入れたのだった。
◆
「うおっ! って、あれはスノアのブレスか」
いきなり空中で爆発が起こって、一瞬ビビってしまった。その発生源を見ればスノアが飛んでいる。
遠方に見える光はアニアだよな。
二人ともやってくれたみたいだな。
本当の手遅れにならなく良かったわ。正直、ちょっとやばいかなと思っちゃったからね。
そろそろ、セシリャも動くんだろうけど、あの娘は一人で大丈夫だろうか……。それだけは本当に心配だ。
そう考えていた俺の顔が少し不安な物になったからか、エアの表情が一瞬曇った。
「あぁ、大丈夫だぞ。この顔は別の心配をしただけだ。それより、エアにも見えてるだろ? あれならとりあえず立て直しが出来るはずだ。おっ、あっちを見ろよ。セシリャが騎兵を引き連れてるぞ。あの娘もちゃんと一人で出来たんだな。あとで誉めないとだな」
遠方に騎兵と魔獣兵の一団が見えてきた。その先頭付近にはセシリャの姿が見える。てか、セシリャの乗ってるオルトロスは、明らかにあの中じゃ強さ的にも体格的にも浮いてるはずなのに、周りの馬がでかくなりすぎて、埋もれてるのが面白いぞ。
「おい、ゼン! 何だあれは!? どうなってるんだよ!」
「セシリャが得た加護の力さ。彼女が味方だと認識した獣が強化されるんだよ。あの集団は多分止められないだろ」
「俺には魔物の大軍が攻めてきたように見えるぞ……」
エアの目が釘付けになっている。いいんじゃないかこれは、セシリャも王からの覚えがいいって奴じゃないか。
「まあ、とにかくエゼル兵がいきなり崩壊する事はなくなっただろ。それで、俺はどうするか……。あの盾を持ったおっさんの相手をするのも良いけど、それよりアルン達が大変そうだな。ちょっと手伝ってこっちに呼び寄せるか」
少し離れたところでは、ケンタウロスと戦うとアルンとウィレム、やたらと女の子率が多い集団と戦っているフリッツの姿があった。それにしても、女の子が地面に倒れすぎやしてないか? 戦場だから女だろうが斬られても文句言うなとは思うが、それでも気になってしまう。フリッツの表情を見る限り本意ではないのだろう。
見た感じでは、フリッツはまだ余裕そうだが、アルン達はじり貧といった様子だ。早めに手助けをする事にしよう。
俺は鉄の槍を取り出して、まずはケンタウロスの男に投擲をした。
助走も付けずに投げたので六割程度の力だが、それで十分だったようだ。奴はアルン達に気を取られているので、自分に放たれた槍を認識する事に遅れていた。それでも、素早い動きで身をかわし、突き刺さらなかったが後ろ足を大分えぐったように見えた。
それで動きが止まり、一方的に攻撃を受けていたアルン達は動く事が出来そうだ。
「アルン、ウィレムさん、こっちに!」
俺がそう叫ぶと、アルンはスレイプニールを反転させて全力で駆けだしてきた。ウィレムは一瞬躊躇したが、アルンに続いてこちらに来る。
厳しい表情を浮かべるケンタウロスの男が、弓に矢を番えた。狙いは当然敵に背中を見せる事になった二人だろう。アルンもウィレムもそれに気付いて防御姿勢を取ろうとしているが、ここは俺が助けるべきだな。俺は鉄のナイフを取り出して、放たれた矢に向けて投擲した。
ナイフは鋭く真っすぐに飛んでいく。弓矢も真っすぐ飛んでいた。お互い一瞬で距離が縮まり、軽い金属音をさせて地面に落ちた。ケンタウロスの男が驚いているのが分かる。
次にフリッツを助けようと思ったのだが、あいつはもうこちらに向かってきていた。
変な演技をし続ける奴だが、実力や状況判断は高いんだよな。何だか納得いかないけど。
アルンが一番最初にやってきた。乗っていたスレイプニールから飛び降りると、俺の前に駆けてくる。その顔には笑顔が浮かんでいた。この戦いで少し成長したのか、以前よりもたくましく感じる。俺はそれを嬉しく思いながら、目の前で止まったアルンを一度強く抱きしめた。
「遅くなって悪いな、アルン。でも、頑張ってたみたいだな。話はシェードに聞いてるぞ」
「ゼン兄さんっ! 助かりました! これで形勢逆転です!」
アルンは俺を見るとそう言った。勝利を疑わないその表情を見ると、嬉しくあるが少し困ってしまうのも事実だ。
「で、あれはシーレッドの将軍か? 大体は見てくれで分かるけど三人に押されたのか。シーレッドは大将軍だけじゃないみたいだな」
上空から見た限りでは千程度の兵士が、エゼル王国軍を突破してこの場にたどり着いていたように見えた。感じる気配からこの場に残っているシーレッド王国兵の多くは精鋭だと分かる。一部、戦奴達が見える。あれは逆らえない命令を使われて、限界を超えて戦わされているんだな……
この世界の戦では、個人の武はとても大きい要素を持っている。物凄い簡単に例えれば、将軍クラスならバズーカ―、精鋭ならアサルトライフル、一般兵ならハンドガンを持っているみたいな感じだ。色々な事を省いた例えだが、それだけの力の差があると、少数でも大軍を抜ける事が可能なのがこの世界の戦争だろう。
実際、過去に俺は百以上の騎士相手に一人で戦った事がある。あれは戦い方を工夫したが、それでも一人でやれるのだ。当時の俺は既に他者を圧倒する力があったとはいえ、シーレッドの将軍達は指揮能力や実戦経験を持っているのだから、部下を従えれば容易だろう。
そんな事を考えていると、フリッツが口を開いた。
「将軍は、四人だ、ゼン。よく来た」
「……さっきまで厳しい顔してたやつが、その演技しちゃう?」
「ゼン、言っておく、一つだけ。あまり言いふらすな」
フリッツはすました表情を崩さずにそう言った。本気で言っているようだから、少しだけ考えてやるか。
「三人しか姿が見えないって事は、暗殺者の将軍が何処かにいるのか。探知も……良く分からないな。これは厄介だ」
俺の言葉にウィレムが続けた。
「姿が見えないだけではないぞ。回復が効かなくなる武器も持っている」
「それは怖い相手ですね。それにしても、敵はまだやる気みたいです。向こうも集まって相談中かな?」
シーレッドの将軍達も、こちらと同じく集まり何かを話している。
まあ、こちらと似たような事を言っているんだろうけど、とりあえず引く気はないようだ。
エゼル側の前線が押されていたので、多くのエゼル兵が支援に移動したので、まだこの位置を維持出来てるんだろうけど、ちょっと余裕あり過ぎないか?
「何にしても、俺がやる事は変わらない。あいつらは俺が相手をしよう」
「ゼン兄さんが一人でやるんですか? 僕も一緒に戦いますよ!」
アルンだけではなく皆が驚いた顔をした。俺としてはこれが最善だと思うんだが、この反応をされても仕方ないか。
しかし、エゼル王国側は全体的に劣勢だ。アニア達が参戦したから、局所的には盛り返すだろうけど、それでも厳しい戦いなのは間違いない。
ならば、エアをはじめとして、アルンやフリッツは自分たちの仕事をさせた方がいいはずだ。
俺はそう考えて、俺を見つめるアルンの肩に手を掛けた。
「アルン、お前は戦える力を持っているが、それよりもっと優れた力を手に入れただろ? 今はそれを使うべき時じゃないのか?」
「そ、それはそうですけど……」
「アルン、お前は俺を助けるために色々と勉強してくれたんじゃないのか? もしそうならば、今この場で最善を考えろ。いいか、俺も一つの駒だと思って使ってみろ。お前の指揮ならば、喜んで引き受けるぞ」
俺がそう言うと、アルンは口をきつく結んでしまった。
だが、すぐに何か思い至った表情を見せると、引き締まった表情で俺を見た。
「……ゼン兄さんが一人で将軍達を相手してくれるなら、僕は全体の把握と報告が出来ます。エア兄様も盾の力を存分にふるえますし、フリッツさんも部隊を率いて動けます。ウィレムさんがエア兄様の近くにいれば、護衛も問題ありません。空の支配はこちらが取ったように見えますから、時間を掛ければ押し返せるはずです。ゼン兄さん……一人で時間を稼いでくださいっ!」
「よし、了解した。だが……別に倒してしまっても構わんのだろう?」
アルンの言葉に、俺は少し恰好を付けて返してみた。
それにしても、アルンの言葉には少し気になる点があった。
「なあ、アルン。エアも兄さんなの?」
「えっ……だって、呼べって言うんです……」
気にする事ではないと思うのだが。アルンが困った顔をしてしまった。
聞いたら悪い事なのかと思ってエアの表情を確認してみると、奴はニヤけ顔をしていた。
その顔を見て何となく分かった気がする。アルンを困らすのは止めてくれよな。
俺はそんな彼らの様子を見て、自然と緩んだ頬を一度叩き、気合を入れてから【テンペスト】を取り出したのだった。
彼は地面に突いていた膝を離すと、壁盾を持つ手に力を入れて立ち上がろうとした。
だがその時、壁盾を持つ手に痺れを感じていた。
レキウスは思い返した、これほどの衝撃を受けたのは、以前戦った古竜の尻尾による攻撃を防いだ時以来だと。レキウスはまだ痺れを持つ自分の左腕を見て喉を鳴らした。
一方、ゼンといえば、起き上がらせたエリアスの尻を叩いて土を払っていた。
「怪我は少しだけだな? ちょっとまてよ、グレーターヒール」
ゼンが回復魔法を施すと、エリアスは一気に全快した。
「すまん、ゼン」
「気にするなよ。それで……本当に俺は遅れたみたいだな」
そう言ったゼンの目には、多くの倒れる者たちが見えた。エリアスに対しては軽い口調で話しかけてはいたが、状況を把握して沸々と怒りが沸き上がっている。
「……それに関しては今はいい。それよりすまないが、あれの相手を頼む。俺は急いで前線へ盾の力を送らなくてはならない。早くしないと前線が崩壊してしまう」
エリアスは自分たちを見ているレキウスに視線を向けて言うと、ゼンもその視線の先を追い口を開いた。
「分かった。けど、そんなに焦らなくても大丈夫だ。あっちにはアニア達が行っている。すぐに盛り返すと思うぞ」
ゼンがそう言った直後、前線では光の柱が発生した。
前線からは少し離れた場所に、スノアから降り立ったアニアは、即座に行動を開始していた。その傍らには、彼女を守るべく陣取るシラールドの姿がある。
「エリア……ヒールッ!」
アニアはゼンが作り出した【双竜杖】を握りしめ、意識を集中するために目を閉じた。そして、範囲回復魔法『エリアヒール』を唱える。その魔法はアーティファクト【慈愛の雫】の魔法範囲強化が加わり、彼女を中心として生まれた光の柱は、エゼルの兵を飲み込むように広がりを見せ、周囲百メートル範囲を包み込んだのだった。
その結果、アニアの周囲では様々な反応が生まれていた。
敵と斬り合い腕を切断され、後方に下げられた男は、地面で転げまわっていた。
「グアァッ! う、腕があああぁぁっ!! ……あれ……痛みがなくなっていく……?」
男は突然治まった痛みに、ぼう然とした表情をすると、落ちていた自分の腕を拾い上げ、更に後方へと下がっていった。
他の場所でも同様な事が見られる。
最前線では、斬られて地面に倒れた男が、何事もなかったかのようにむくりと起きだしたり、弓矢を体に受けても、即座に体から矢が抜け落ちて傷が塞がったりと、まるで奇跡のような光景が広がっていた。
それを目にしたエゼル兵達は、困惑しながらも隣にいる仲間に話しかける。
「お、おい、見たか、今の……」
「おう……出血がすぐに止まって、痛い様子もなさそうだったぞ……」
「って事は、多少の怪我はすぐに治るって事か!?」
「どうやら、この光の中にいる限りそうらしいな……」
自分達を包み込んだ光に、彼らは最初は驚いていた。しかし、至るところで怪我人達が回復している様子を見て、それが自分達を守っているのだと分かると、心の中に強い希望が生まれてきた。
そして、それはエゼルの聖女の回復魔法だと知れ渡る。
状況を見た諸侯の一人は、自らが率いる兵達に声を掛けた。
「聖女の守りがあれば……いけるぞッ! お前ら負傷者は光まで下げろ! そして、回復次第即座に前線復帰させるんだ!」
エゼル王国軍は文字通り息を吹き返したかのような動きを見せ始めた。
一方では、オルトロスに跨るセシリャが、騎兵部隊や魔獣部隊を率いていた。
「み、皆さん! 私の近くで、えっとっ……付いてきてれば、馬とか魔獣が強くなりますっ!」
セシリャは持ち前の人見知りを発揮しながら、近くにいた騎士達にそう言った。
「おぉ、何という力だ……。私の馬がこれほど速く駆ける事が出来たとは……」
「お嬢さん、これは俺達は乗っていれば十分だ。戦場を駆け回って敵を引き殺してやりましょう!」
セシリャの周囲にいる馬や魔獣は、獣の神の加護の力により、普段の倍近い体格になっている。馬は高さ三メートルを超え、中には四メートル近い巨馬もいる。
魔獣には様々なタイプがいるが、多くは狼程度の大きさだ。だが、それらも今は倍近い体格になっており、普段は乗る事の出来ない主を背中に乗せて駆けていた。
圧倒的な体格は、それだけで武器だった。彼らが敵陣に突っ込むだけで、敵の守りは吹き飛ばされる。もちろん、反撃を受けて脱落する者はいた。だが、明らかに目立つその動きは、エゼル王国兵の騎馬部隊を呼び寄せる結果となり、結局は合流する者の数が上回る。
セシリャを中心とした部隊は、群れる魚を食らおうとする一匹の大魚のように戦場を駆け巡っていた。
そして、また一方ではヴィートがスノアの上で、仁王立ちをしながら空を飛んでいた。
「おい、スノア。兄ちゃんに竜の力を分からせてやろうな」
ヴィートがそう言うと、スノアは恭しく返事をした。
「んーと、あっちがエゼル兵だろ? じゃあ、あれが敵か。よーし、俺が声を掛けても言う事を聞かなかったら、スノアのブレスで一掃だな。それが終わったら、俺も竜に戻ってお仕置きだ」
戦いは地上だけではない。ヴィートの視線の先には、空中で戦う飛竜達の姿があった。
状況を見極めたヴィートは仁王立ちをしたまま空中の戦場へと近付いていく。
そこでは、飛竜に跨った兵士たちが長槍でお互いを攻撃し合ったり、ドックファイトさながらの魔法による攻撃などが行われていた。だが、飛竜の倍近い体躯を持つスノアが近付いていくと、それに気付いた双方の兵たちは、お互い何事かと、様子を見るために離れた。
そこにたどり着いたヴィートは、普段はあまりしない厳しい表情を見せると竜言語で叫んだ。
『お前らっ! 俺はエゼルの援軍で来た! 俺に敵対するならその命ないと思えよ!』
その言葉は人には理解出来ない物だ。だが、明らかに飛竜よりも格上のドラゴンを操る存在に、双方の兵は困惑していた。そして、言葉を掛けられた飛竜達は、突然現れた人間の子供が絶対的な存在である古竜だと気付き、戦場での高ぶった心を、怯えへと一転させると、ヴィートの前へと一列に並びだした。
「うんうん、いい子達だな! よし、じゃあエゼル兵はそのまま戦っていいぞ! シーレッドの兵士は今すぐ武器を捨てないと、飛竜から振り落とすからな」
ヴィートがそう言い放つが、双方の兵士は意味が分からず戸惑っていた。
だが、ヴィートがエゼル側にいた飛竜に、この場から離れるように言うと、主人たちの命令も聞かずにその場から移動し始めた。
残ったシーレッド兵たちは更に困惑している。何故なら、先ほどから自分たちの命令を飛竜が全く聞かないからだ。
いや、ある意味飛竜は主人を守っている。古竜に逆らえば、その時点で自分たちの主人の死が決定するからだ。中にはその事を念話で伝えている飛竜がいた。だが、多くの飛竜は古竜の出現に怯えて萎縮してしまい、その事を告げる事が出来なかった。
「お前ら早く武器を捨てろって。じゃないと、怒るぞ」
ヴィートはそう言うが、状況の良く分からないシーレッド兵たちは動かなかった。
その結果、スノアのブレスがさく裂した。
「あぁー、俺はちゃんと言ったのになあ。お前達も飛竜と話せるのに、何でそんな馬鹿な事するんだよ。まあいっか、敵を倒せば兄ちゃんが喜ぶし!」
スノアの上で胡坐をかくヴィートがそう言った。彼は難なく空の支配権を手に入れたのだった。
◆
「うおっ! って、あれはスノアのブレスか」
いきなり空中で爆発が起こって、一瞬ビビってしまった。その発生源を見ればスノアが飛んでいる。
遠方に見える光はアニアだよな。
二人ともやってくれたみたいだな。
本当の手遅れにならなく良かったわ。正直、ちょっとやばいかなと思っちゃったからね。
そろそろ、セシリャも動くんだろうけど、あの娘は一人で大丈夫だろうか……。それだけは本当に心配だ。
そう考えていた俺の顔が少し不安な物になったからか、エアの表情が一瞬曇った。
「あぁ、大丈夫だぞ。この顔は別の心配をしただけだ。それより、エアにも見えてるだろ? あれならとりあえず立て直しが出来るはずだ。おっ、あっちを見ろよ。セシリャが騎兵を引き連れてるぞ。あの娘もちゃんと一人で出来たんだな。あとで誉めないとだな」
遠方に騎兵と魔獣兵の一団が見えてきた。その先頭付近にはセシリャの姿が見える。てか、セシリャの乗ってるオルトロスは、明らかにあの中じゃ強さ的にも体格的にも浮いてるはずなのに、周りの馬がでかくなりすぎて、埋もれてるのが面白いぞ。
「おい、ゼン! 何だあれは!? どうなってるんだよ!」
「セシリャが得た加護の力さ。彼女が味方だと認識した獣が強化されるんだよ。あの集団は多分止められないだろ」
「俺には魔物の大軍が攻めてきたように見えるぞ……」
エアの目が釘付けになっている。いいんじゃないかこれは、セシリャも王からの覚えがいいって奴じゃないか。
「まあ、とにかくエゼル兵がいきなり崩壊する事はなくなっただろ。それで、俺はどうするか……。あの盾を持ったおっさんの相手をするのも良いけど、それよりアルン達が大変そうだな。ちょっと手伝ってこっちに呼び寄せるか」
少し離れたところでは、ケンタウロスと戦うとアルンとウィレム、やたらと女の子率が多い集団と戦っているフリッツの姿があった。それにしても、女の子が地面に倒れすぎやしてないか? 戦場だから女だろうが斬られても文句言うなとは思うが、それでも気になってしまう。フリッツの表情を見る限り本意ではないのだろう。
見た感じでは、フリッツはまだ余裕そうだが、アルン達はじり貧といった様子だ。早めに手助けをする事にしよう。
俺は鉄の槍を取り出して、まずはケンタウロスの男に投擲をした。
助走も付けずに投げたので六割程度の力だが、それで十分だったようだ。奴はアルン達に気を取られているので、自分に放たれた槍を認識する事に遅れていた。それでも、素早い動きで身をかわし、突き刺さらなかったが後ろ足を大分えぐったように見えた。
それで動きが止まり、一方的に攻撃を受けていたアルン達は動く事が出来そうだ。
「アルン、ウィレムさん、こっちに!」
俺がそう叫ぶと、アルンはスレイプニールを反転させて全力で駆けだしてきた。ウィレムは一瞬躊躇したが、アルンに続いてこちらに来る。
厳しい表情を浮かべるケンタウロスの男が、弓に矢を番えた。狙いは当然敵に背中を見せる事になった二人だろう。アルンもウィレムもそれに気付いて防御姿勢を取ろうとしているが、ここは俺が助けるべきだな。俺は鉄のナイフを取り出して、放たれた矢に向けて投擲した。
ナイフは鋭く真っすぐに飛んでいく。弓矢も真っすぐ飛んでいた。お互い一瞬で距離が縮まり、軽い金属音をさせて地面に落ちた。ケンタウロスの男が驚いているのが分かる。
次にフリッツを助けようと思ったのだが、あいつはもうこちらに向かってきていた。
変な演技をし続ける奴だが、実力や状況判断は高いんだよな。何だか納得いかないけど。
アルンが一番最初にやってきた。乗っていたスレイプニールから飛び降りると、俺の前に駆けてくる。その顔には笑顔が浮かんでいた。この戦いで少し成長したのか、以前よりもたくましく感じる。俺はそれを嬉しく思いながら、目の前で止まったアルンを一度強く抱きしめた。
「遅くなって悪いな、アルン。でも、頑張ってたみたいだな。話はシェードに聞いてるぞ」
「ゼン兄さんっ! 助かりました! これで形勢逆転です!」
アルンは俺を見るとそう言った。勝利を疑わないその表情を見ると、嬉しくあるが少し困ってしまうのも事実だ。
「で、あれはシーレッドの将軍か? 大体は見てくれで分かるけど三人に押されたのか。シーレッドは大将軍だけじゃないみたいだな」
上空から見た限りでは千程度の兵士が、エゼル王国軍を突破してこの場にたどり着いていたように見えた。感じる気配からこの場に残っているシーレッド王国兵の多くは精鋭だと分かる。一部、戦奴達が見える。あれは逆らえない命令を使われて、限界を超えて戦わされているんだな……
この世界の戦では、個人の武はとても大きい要素を持っている。物凄い簡単に例えれば、将軍クラスならバズーカ―、精鋭ならアサルトライフル、一般兵ならハンドガンを持っているみたいな感じだ。色々な事を省いた例えだが、それだけの力の差があると、少数でも大軍を抜ける事が可能なのがこの世界の戦争だろう。
実際、過去に俺は百以上の騎士相手に一人で戦った事がある。あれは戦い方を工夫したが、それでも一人でやれるのだ。当時の俺は既に他者を圧倒する力があったとはいえ、シーレッドの将軍達は指揮能力や実戦経験を持っているのだから、部下を従えれば容易だろう。
そんな事を考えていると、フリッツが口を開いた。
「将軍は、四人だ、ゼン。よく来た」
「……さっきまで厳しい顔してたやつが、その演技しちゃう?」
「ゼン、言っておく、一つだけ。あまり言いふらすな」
フリッツはすました表情を崩さずにそう言った。本気で言っているようだから、少しだけ考えてやるか。
「三人しか姿が見えないって事は、暗殺者の将軍が何処かにいるのか。探知も……良く分からないな。これは厄介だ」
俺の言葉にウィレムが続けた。
「姿が見えないだけではないぞ。回復が効かなくなる武器も持っている」
「それは怖い相手ですね。それにしても、敵はまだやる気みたいです。向こうも集まって相談中かな?」
シーレッドの将軍達も、こちらと同じく集まり何かを話している。
まあ、こちらと似たような事を言っているんだろうけど、とりあえず引く気はないようだ。
エゼル側の前線が押されていたので、多くのエゼル兵が支援に移動したので、まだこの位置を維持出来てるんだろうけど、ちょっと余裕あり過ぎないか?
「何にしても、俺がやる事は変わらない。あいつらは俺が相手をしよう」
「ゼン兄さんが一人でやるんですか? 僕も一緒に戦いますよ!」
アルンだけではなく皆が驚いた顔をした。俺としてはこれが最善だと思うんだが、この反応をされても仕方ないか。
しかし、エゼル王国側は全体的に劣勢だ。アニア達が参戦したから、局所的には盛り返すだろうけど、それでも厳しい戦いなのは間違いない。
ならば、エアをはじめとして、アルンやフリッツは自分たちの仕事をさせた方がいいはずだ。
俺はそう考えて、俺を見つめるアルンの肩に手を掛けた。
「アルン、お前は戦える力を持っているが、それよりもっと優れた力を手に入れただろ? 今はそれを使うべき時じゃないのか?」
「そ、それはそうですけど……」
「アルン、お前は俺を助けるために色々と勉強してくれたんじゃないのか? もしそうならば、今この場で最善を考えろ。いいか、俺も一つの駒だと思って使ってみろ。お前の指揮ならば、喜んで引き受けるぞ」
俺がそう言うと、アルンは口をきつく結んでしまった。
だが、すぐに何か思い至った表情を見せると、引き締まった表情で俺を見た。
「……ゼン兄さんが一人で将軍達を相手してくれるなら、僕は全体の把握と報告が出来ます。エア兄様も盾の力を存分にふるえますし、フリッツさんも部隊を率いて動けます。ウィレムさんがエア兄様の近くにいれば、護衛も問題ありません。空の支配はこちらが取ったように見えますから、時間を掛ければ押し返せるはずです。ゼン兄さん……一人で時間を稼いでくださいっ!」
「よし、了解した。だが……別に倒してしまっても構わんのだろう?」
アルンの言葉に、俺は少し恰好を付けて返してみた。
それにしても、アルンの言葉には少し気になる点があった。
「なあ、アルン。エアも兄さんなの?」
「えっ……だって、呼べって言うんです……」
気にする事ではないと思うのだが。アルンが困った顔をしてしまった。
聞いたら悪い事なのかと思ってエアの表情を確認してみると、奴はニヤけ顔をしていた。
その顔を見て何となく分かった気がする。アルンを困らすのは止めてくれよな。
俺はそんな彼らの様子を見て、自然と緩んだ頬を一度叩き、気合を入れてから【テンペスト】を取り出したのだった。
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