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プロローグ
優雅な朝
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副校長の朝は早い。
教師の誰よりも早く出勤し、校内を巡回して安全点検をしなければならない。
神奈川県立高城高校の副校長、大木晴紀はいつものように巡回を始めた。
鍵束を持って、一階から順に各教室や特別教室を覗いていく。
ついでに廊下の窓も開けて空気の入れ替えもする。
副校長になってすぐは、この作業がとにかくつまらなかったが、慣れるとそう悪くもない。
朝から校内を歩き回ることで良い運動になるし、自分の安全確認によって普段の生徒たちの生活が守られていると思うと誇らしい。
30分かけて、最上階の4階まで見回りを終えた。
ここまで異常はない。
あとは、本来行く必要もない屋上だ。
高城高校は小高い丘の上にある。
その昔、後北条氏の山城があったところにこの高校は建てられた。
目の前の鶴見川の周りには畑が広がり、遠くに新横浜のビル群が見え、天気が良い時には富士山も見える。
その景色が気に入っていて、雨の日以外はここも見回るようにしている。
『ガチャ』
屋上への扉を開けると、ピシッと冬の風が入り込んで、体がブルッと震えた。
そして屋上に出てすぐ、大木の体に寒さではない悪寒が巡った。
屋上の端、フェンスのところに革靴とスクールバッグが置いてある。
そんなまさか。
大木は走った。
靴のあるフェンスの真下はプールである。
そのプールに、女子生徒が浮いていた。
優雅な朝は、悪夢の朝に変わってしまった。
教師の誰よりも早く出勤し、校内を巡回して安全点検をしなければならない。
神奈川県立高城高校の副校長、大木晴紀はいつものように巡回を始めた。
鍵束を持って、一階から順に各教室や特別教室を覗いていく。
ついでに廊下の窓も開けて空気の入れ替えもする。
副校長になってすぐは、この作業がとにかくつまらなかったが、慣れるとそう悪くもない。
朝から校内を歩き回ることで良い運動になるし、自分の安全確認によって普段の生徒たちの生活が守られていると思うと誇らしい。
30分かけて、最上階の4階まで見回りを終えた。
ここまで異常はない。
あとは、本来行く必要もない屋上だ。
高城高校は小高い丘の上にある。
その昔、後北条氏の山城があったところにこの高校は建てられた。
目の前の鶴見川の周りには畑が広がり、遠くに新横浜のビル群が見え、天気が良い時には富士山も見える。
その景色が気に入っていて、雨の日以外はここも見回るようにしている。
『ガチャ』
屋上への扉を開けると、ピシッと冬の風が入り込んで、体がブルッと震えた。
そして屋上に出てすぐ、大木の体に寒さではない悪寒が巡った。
屋上の端、フェンスのところに革靴とスクールバッグが置いてある。
そんなまさか。
大木は走った。
靴のあるフェンスの真下はプールである。
そのプールに、女子生徒が浮いていた。
優雅な朝は、悪夢の朝に変わってしまった。
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