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その後の話
秘密。②
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「誠二はきっと病院にいって初めて自分の血液型を知ったみたい……それと私が結婚する前に峰行さんと付き合っている時の写真を持ってきたわ。それで永一が会社を継げないということがわかったみたいで私に隠し通してほしいと…なのに弘樹が結局バラしてしまったわ。これからどうすればいいの…?」
「でも双子なのに父親が違うなんて…ありえるのか?」
「ありえる話だ。とてもまれだが………慶子さん、しっかりっ…!」
無理もない。
お義母さんにとって今日はずっと黙っていた秘密が公にバレて
息子も刺され、孫も危険な目にあった。
精神的にずっとギリギリだったんだろう。
先生がお義母さんを連れて外に出たあと
私の本音を美緒さんに伝えたくなった。
きっと、今言わなきゃ、後悔するから。
「あなたたちがどういう選択をするかわからないけど、私のパートナーも人工呼吸器をつけなかったわ。でも穏やかな最期を過ごせて幸せだった。だけど……」
だけど――
遥人がまだ生きていたら
私は誠二と出会うこともなく
ここに誠二を連れてくることもなかっただろう。
だけどさ、やっぱり思い出しちゃうんだよ。
会いたくなるんだよ、遥人に。
「たまに……すごく寂しい。」
誠二を遥人に重ねて
美緒さんを私に重ねて
こんな将来があったんじゃないかって
笑い声が聞こえなくなっても
息遣いで感じあえたんじゃないかって
「俺は……誠二に生きてほしいと思っている。」
「誠一さん……」
「今まで美緒と…そして紗英と俺は過ごしてきたから。だからこれからは誠二には美緒と過ごしてほしい。だけど……誠二の気持ちも少しわかる。無理に生きようと思わない。」
もう、本音を言った。
あとは誠二が…誠二がどうしたいか。
美緒さんなら、きっと誠二を手放すことはないだろう。
「2人きりにしてよかったのだろうか」
私は日本の病院の先生とアメリカのカルテを元に
誠二の治療について話をしにいくといって部屋を出た。
誠一さんも永一君のことが気になるからと
気を利かせて一緒に部屋を出たのだ。
「あの2人なら、きっと大丈夫。だって、あなたが愛している人と、父親が違えど兄弟じゃない」
「そうだな」
誠一さんの不安が的中して
私が部屋に戻った時には
もう2人はいなかった。
もしかして――ううん、変なことは考えたくない!
「円花さん!」
「誠一さん……」
「誠二がいなくなったって…?」
「そうなんです…美緒さんも一緒に……」
お財布は持っていったみたいだけど
携帯は部屋に残されていて
画面には誠一さんへの伝言が残されていた。
「まさか二人……変な事考えていないですよね?」
「……大丈夫だ。誠二はわからないけど美緒はきっと止めるはずだ。」
「でももう夜中だし、一体どこへ…お財布は持って行ったみたいだけど携帯を置いて行っているのよ。」
「必ず戻ってくるとあるから、大丈夫だよ。美緒は約束を守るはずだ」
「本当……?よかった…」
「円花さんはどこに泊まっているんだ?そこまで送っていくから。」
「まだ今日のホテルは借りていないし、いつ誠二が帰ってくるかわからないからここにいます。」
「そうか……」
「誠一さんは帰ってもいいですよ。永一君一人なんじゃないですか?」
「母に来てもらってるから大丈夫。」
「じゃあ……ちょっとそこで待っててください。」
「でも双子なのに父親が違うなんて…ありえるのか?」
「ありえる話だ。とてもまれだが………慶子さん、しっかりっ…!」
無理もない。
お義母さんにとって今日はずっと黙っていた秘密が公にバレて
息子も刺され、孫も危険な目にあった。
精神的にずっとギリギリだったんだろう。
先生がお義母さんを連れて外に出たあと
私の本音を美緒さんに伝えたくなった。
きっと、今言わなきゃ、後悔するから。
「あなたたちがどういう選択をするかわからないけど、私のパートナーも人工呼吸器をつけなかったわ。でも穏やかな最期を過ごせて幸せだった。だけど……」
だけど――
遥人がまだ生きていたら
私は誠二と出会うこともなく
ここに誠二を連れてくることもなかっただろう。
だけどさ、やっぱり思い出しちゃうんだよ。
会いたくなるんだよ、遥人に。
「たまに……すごく寂しい。」
誠二を遥人に重ねて
美緒さんを私に重ねて
こんな将来があったんじゃないかって
笑い声が聞こえなくなっても
息遣いで感じあえたんじゃないかって
「俺は……誠二に生きてほしいと思っている。」
「誠一さん……」
「今まで美緒と…そして紗英と俺は過ごしてきたから。だからこれからは誠二には美緒と過ごしてほしい。だけど……誠二の気持ちも少しわかる。無理に生きようと思わない。」
もう、本音を言った。
あとは誠二が…誠二がどうしたいか。
美緒さんなら、きっと誠二を手放すことはないだろう。
「2人きりにしてよかったのだろうか」
私は日本の病院の先生とアメリカのカルテを元に
誠二の治療について話をしにいくといって部屋を出た。
誠一さんも永一君のことが気になるからと
気を利かせて一緒に部屋を出たのだ。
「あの2人なら、きっと大丈夫。だって、あなたが愛している人と、父親が違えど兄弟じゃない」
「そうだな」
誠一さんの不安が的中して
私が部屋に戻った時には
もう2人はいなかった。
もしかして――ううん、変なことは考えたくない!
「円花さん!」
「誠一さん……」
「誠二がいなくなったって…?」
「そうなんです…美緒さんも一緒に……」
お財布は持っていったみたいだけど
携帯は部屋に残されていて
画面には誠一さんへの伝言が残されていた。
「まさか二人……変な事考えていないですよね?」
「……大丈夫だ。誠二はわからないけど美緒はきっと止めるはずだ。」
「でももう夜中だし、一体どこへ…お財布は持って行ったみたいだけど携帯を置いて行っているのよ。」
「必ず戻ってくるとあるから、大丈夫だよ。美緒は約束を守るはずだ」
「本当……?よかった…」
「円花さんはどこに泊まっているんだ?そこまで送っていくから。」
「まだ今日のホテルは借りていないし、いつ誠二が帰ってくるかわからないからここにいます。」
「そうか……」
「誠一さんは帰ってもいいですよ。永一君一人なんじゃないですか?」
「母に来てもらってるから大丈夫。」
「じゃあ……ちょっとそこで待っててください。」
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