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その後の話
秘密。
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「誠二さっ…誠二さん!!」
「そこをどいて!」
我に返って、誠二の手当てをし始めた。
看護師で本当によかった。
この場面でも冷静に手当ての判断ができる。
誠二の腰の傷は浅そうだけど……
「傷は浅いけど、出血が多くなってきている。」
「誠二さん…誠二さん!」
「救急車まだなの!?」
出血だけじゃない、持病の方だって心配。
やっと、2人が堂々と愛し合えるようになったのに
ダメだよ、誠二、まだ遥人に会いに行ってはダメ!!
「誠二さん!嘘…嘘だよね?誠二さん、誠二さん!!」
「ここです!早く!」
意識を失った誠二の姿を見て
さらに美緒さんがパニックになってしまった。
当たり前だよね、冷静ではいられない。
「嫌だ……嫌だっ…」
「泣くのは医師が判断したときにして!私はまだ諦めないわ。」
私は諦めない!
絶対諦めない!ここで私まで泣いてしまったら
余計に美緒さんを不安にさせてしまう。
美緒さんは強い人だから
私が強く言ったら、きっと心を奮い立たせてくれる。
「誠二!!!」
大きな個室に運ばれて、誠二の体調はとりあえず回復した。
私には何も言わないけど、誠二のことを診てくださった
お医者様は誠二の体調のことを分かってる。
美緒さんも目に涙を溜めて
誠二の顔を何度も優しく撫でている。
時折、誠二の指先を撫でては握って
自分の額に手を押し付けている姿を見て悟った。
もしかしたら、美緒さんは勘づいているのかもしれない。
誠二の病気のことを――
ホテルに忘れてしまっていたスケッチブック
取りに帰ったら
女性が部屋に来たと言われ、スケッチブックはなかった。
その女性が美緒さんだとしたら?
「誠二!!!」
私と美緒さん、いつも永一君を診ているお医者様と
ベッドで眠る誠二
そこに誠一さんとお義母さまが飛び込んできた。
「峰行さん、本当に誠二は大丈夫なの!?」
「慶子さん、今日の傷は大丈夫だよ。」
2人がそっと寄り添っている姿はあまりにも自然で
とても主治医と患者の関係じゃないのが分かった。
誠二の父親は、この方なんだ。
「今日の傷は大したことないんだ。ただ――」
「峰行さん…?」
「誠二君は――」
「ここから先は私が説明してもいいですか?」
「え?いや、しかし――」
「私は誠二の専属看護師なので。」
「専属看護師…?どういうことなの?あなた誠二の婚約者じゃないの?」
「お義母さん、ごめんなさい。私は婚約者ではありません。」
「え……?じゃあ……専属看護師って…どこか悪いの誠二は?」
「本当は口止めされていました。でももう限界だと思います。誠二も私も、そして美緒さんも――」
「美緒さんもってどういうこと…?」
「誠二さん……きっと…っ」
「美緒さん……スケッチブック見たんですね。」
美緒さんはコクリと頷いて、カバンから誠二のスケッチブックを取り出した。
そして、そのスケッチブックを、誠一さんやお義母さんに見せると、2人とも表情がどんどん怪しんできた。
「これは……」
「少しづつ右手の動かなくなってきています。まだ初期の症状とはいえ日によってつらいようです。もう絵が描けない、だから部屋にあった絵を捨てたんです。あの頃にはもう戻れないから…」
「誠二は…ALSなんだよ、母さん」
「ALSって、筋肉が少しづつ動けなくなる」
「そうです……最近は日本でもこの病気は知られるようになったみたいですね。」
「そこをどいて!」
我に返って、誠二の手当てをし始めた。
看護師で本当によかった。
この場面でも冷静に手当ての判断ができる。
誠二の腰の傷は浅そうだけど……
「傷は浅いけど、出血が多くなってきている。」
「誠二さん…誠二さん!」
「救急車まだなの!?」
出血だけじゃない、持病の方だって心配。
やっと、2人が堂々と愛し合えるようになったのに
ダメだよ、誠二、まだ遥人に会いに行ってはダメ!!
「誠二さん!嘘…嘘だよね?誠二さん、誠二さん!!」
「ここです!早く!」
意識を失った誠二の姿を見て
さらに美緒さんがパニックになってしまった。
当たり前だよね、冷静ではいられない。
「嫌だ……嫌だっ…」
「泣くのは医師が判断したときにして!私はまだ諦めないわ。」
私は諦めない!
絶対諦めない!ここで私まで泣いてしまったら
余計に美緒さんを不安にさせてしまう。
美緒さんは強い人だから
私が強く言ったら、きっと心を奮い立たせてくれる。
「誠二!!!」
大きな個室に運ばれて、誠二の体調はとりあえず回復した。
私には何も言わないけど、誠二のことを診てくださった
お医者様は誠二の体調のことを分かってる。
美緒さんも目に涙を溜めて
誠二の顔を何度も優しく撫でている。
時折、誠二の指先を撫でては握って
自分の額に手を押し付けている姿を見て悟った。
もしかしたら、美緒さんは勘づいているのかもしれない。
誠二の病気のことを――
ホテルに忘れてしまっていたスケッチブック
取りに帰ったら
女性が部屋に来たと言われ、スケッチブックはなかった。
その女性が美緒さんだとしたら?
「誠二!!!」
私と美緒さん、いつも永一君を診ているお医者様と
ベッドで眠る誠二
そこに誠一さんとお義母さまが飛び込んできた。
「峰行さん、本当に誠二は大丈夫なの!?」
「慶子さん、今日の傷は大丈夫だよ。」
2人がそっと寄り添っている姿はあまりにも自然で
とても主治医と患者の関係じゃないのが分かった。
誠二の父親は、この方なんだ。
「今日の傷は大したことないんだ。ただ――」
「峰行さん…?」
「誠二君は――」
「ここから先は私が説明してもいいですか?」
「え?いや、しかし――」
「私は誠二の専属看護師なので。」
「専属看護師…?どういうことなの?あなた誠二の婚約者じゃないの?」
「お義母さん、ごめんなさい。私は婚約者ではありません。」
「え……?じゃあ……専属看護師って…どこか悪いの誠二は?」
「本当は口止めされていました。でももう限界だと思います。誠二も私も、そして美緒さんも――」
「美緒さんもってどういうこと…?」
「誠二さん……きっと…っ」
「美緒さん……スケッチブック見たんですね。」
美緒さんはコクリと頷いて、カバンから誠二のスケッチブックを取り出した。
そして、そのスケッチブックを、誠一さんやお義母さんに見せると、2人とも表情がどんどん怪しんできた。
「これは……」
「少しづつ右手の動かなくなってきています。まだ初期の症状とはいえ日によってつらいようです。もう絵が描けない、だから部屋にあった絵を捨てたんです。あの頃にはもう戻れないから…」
「誠二は…ALSなんだよ、母さん」
「ALSって、筋肉が少しづつ動けなくなる」
「そうです……最近は日本でもこの病気は知られるようになったみたいですね。」
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