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その後の話
幸せの崩壊。④
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「永一……美緒……」
会場がパニックになって、人が押し寄せてくる。
誠二の身体を起こしてあげたいのに
自分の身体を起こすので精いっぱいだ。
「誠二!無理しないで!誠二!!」
「お前はこの一族の人間だ。お前を失ってはいけない。」
壇上の端で男の人が言い争っていた。
誠一さんとお義父さんだ。
誠一さんは永一君の側に行こうとするのをお義父さんが止めていた。
「父さん!永一はまだ子供なんだ!血筋なんてものを気にするからこんなことに今なっているんだよ!気づいてくれよ!!」
「ハハハハハ!兄さんらしくて呆れるよ!こんな状態になってもまだ血が大事かよ!子供を捨てるなんてこの家本当オカシイ!!アハハハハハ!!」
お義父さんに向かって兄さん?てことはあの瓶を持った男は
誠二のおじってこと?どうしてこんな争いをするの。
「永一!」
「お母様!」
「美緒さん…?ダメ、美緒さん!美緒さんも逃げて!お願い!」
大声で叫んでも、私の声は群衆のパニックの声で消されてしまっていた。
やっと立ち上がることができたのに
永一君の側に行くことができない。
2人が言い争っている声が聞こえるけど
全部が全部は聞こえない。
だけど、パニックになった人たちが会場の外に出て行って
少しずつ静かになって、2人の会話が聞こえてきた。
「俺だって自分の子供を後継者にしたいんだよ…だからやりたくもないセックスして子供作ったんだよ…お前だって誠二とそうだったんだろ?跡取りのために好きでもない夫の弟に抱かれたんだろ?」
「そうです…跡取りのためと思って抱かれました。だけど誠二さんのこと、愛しているんです。弘樹さんと一緒にしないでください!」
「何…?この家だけでなく、嫁も狂ってる!こんな家終わりだな!!俺が終わらしてやるよ!!」
「お母様!!!」
美緒さんは力強く永一君を抱きしめたあと
思いっきり突き放した。
それから両手を広げて、暴走してくる弘樹さんを受け止めようとしていた。
その姿をみたら――誰だってこういったと思う。
天使みたいだ。
「美緒!!!」
誠二の声が聞こえた瞬間
美緒さんと誠二が一緒に倒れてしまった。
腰の辺りに弘樹さんが持っていた瓶が刺さっていて
かなり痛いはずなのに
誠二は美緒さんの頭を手で覆いかぶさって
床に倒れても痛くないように優しく抱きしめた姿を
私は一生忘れない。
誰かを愛するってことは
こういうことなんだってこと。
自分が傷ついても
愛おしい人を守る。
会社を守るために、子供を守るために、愛する人を守るために
私も、遥人に
私の将来を守るために
遥人は自分を傷つけたのかもしれない。
そう、思えた。
会場がパニックになって、人が押し寄せてくる。
誠二の身体を起こしてあげたいのに
自分の身体を起こすので精いっぱいだ。
「誠二!無理しないで!誠二!!」
「お前はこの一族の人間だ。お前を失ってはいけない。」
壇上の端で男の人が言い争っていた。
誠一さんとお義父さんだ。
誠一さんは永一君の側に行こうとするのをお義父さんが止めていた。
「父さん!永一はまだ子供なんだ!血筋なんてものを気にするからこんなことに今なっているんだよ!気づいてくれよ!!」
「ハハハハハ!兄さんらしくて呆れるよ!こんな状態になってもまだ血が大事かよ!子供を捨てるなんてこの家本当オカシイ!!アハハハハハ!!」
お義父さんに向かって兄さん?てことはあの瓶を持った男は
誠二のおじってこと?どうしてこんな争いをするの。
「永一!」
「お母様!」
「美緒さん…?ダメ、美緒さん!美緒さんも逃げて!お願い!」
大声で叫んでも、私の声は群衆のパニックの声で消されてしまっていた。
やっと立ち上がることができたのに
永一君の側に行くことができない。
2人が言い争っている声が聞こえるけど
全部が全部は聞こえない。
だけど、パニックになった人たちが会場の外に出て行って
少しずつ静かになって、2人の会話が聞こえてきた。
「俺だって自分の子供を後継者にしたいんだよ…だからやりたくもないセックスして子供作ったんだよ…お前だって誠二とそうだったんだろ?跡取りのために好きでもない夫の弟に抱かれたんだろ?」
「そうです…跡取りのためと思って抱かれました。だけど誠二さんのこと、愛しているんです。弘樹さんと一緒にしないでください!」
「何…?この家だけでなく、嫁も狂ってる!こんな家終わりだな!!俺が終わらしてやるよ!!」
「お母様!!!」
美緒さんは力強く永一君を抱きしめたあと
思いっきり突き放した。
それから両手を広げて、暴走してくる弘樹さんを受け止めようとしていた。
その姿をみたら――誰だってこういったと思う。
天使みたいだ。
「美緒!!!」
誠二の声が聞こえた瞬間
美緒さんと誠二が一緒に倒れてしまった。
腰の辺りに弘樹さんが持っていた瓶が刺さっていて
かなり痛いはずなのに
誠二は美緒さんの頭を手で覆いかぶさって
床に倒れても痛くないように優しく抱きしめた姿を
私は一生忘れない。
誰かを愛するってことは
こういうことなんだってこと。
自分が傷ついても
愛おしい人を守る。
会社を守るために、子供を守るために、愛する人を守るために
私も、遥人に
私の将来を守るために
遥人は自分を傷つけたのかもしれない。
そう、思えた。
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