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その後の話
幸せの崩壊。③
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「誠二……あと少しだから、頑張って」
誠二の冷たい手を握りながら
神に祈った。
私が神に祈りたい人はもうこの世にいない。
だから、せめて、誠二と美緒さんのことは
神様、見捨てないであげてほしい。
「ま……どっ」
「誠二!よかった!誠二、今日ね、永一君を後継者に指名するって。だからもう美緒さんも自由になれるよ!誠一さんから聞いたんだけど、離婚届を美緒さんに渡したって。だから、あとは誠二は自分の身体のことを考えて!」
「ダメだっ……」
「誠二?何しているの?誠二!」
さっきまで寝ていた人とは思えないぐらいのパワーで
誠二は点滴を抜いて起き上がって病室を出ていく。
「何で?もう大丈夫だよ!」
「今日が一番危ない…永一の命が狙われる」
「え…?」
「永一は俺の子供だけど、俺は……一族の子供じゃない」
「どういうことなの……誠一さんと双子じゃないってこと?」
「双子だよ、だけど、俺は父さんの子供じゃない」
「……それってもしかして」
「双子のケースで稀にある、父親が違うんだ」
「そんなこと……いつ知ったの?本当なのそれ」
「母さんにも確認した。この病気になって血液検査するまで、俺は知らなかった。だって病院に行ったこともなかったから」
なんで、誠二なの?
誠二は何も悪いことしていないのに。
病気になって、自分が一族の人間じゃないと知るなんて。
だって、ずっと、一族のために、自分の心も
自分のしたいことも全部、全部、我慢してきたのに……
「円花、お願いだ。俺をその場所へ連れて行ってほしい」
「そんな体で連れていけるわけないよ!!」
「頼む、もう、お前しかいない」
「ズルいよ……ズルいよ、誠二っ……」
「円花が一緒なら、俺は大丈夫だよ」
何があっても、絶対助ける。
誠二をまだ、死なせやしない。
遥人がALSになってから私はたくさん勉強した。
だから……。
「キャー――!!!」
誠二の身体を支えながら
何とか会場に入れたと思ったら
いきなり悲鳴が聞こえた。
男が割れたボトルをもって、小さな男の子に向けている。
「永一!」
誠二の身体を支えながら急ぎ足は
一緒に足がもつれてしまって倒れてしまった。
「誠二!大丈夫?」
誠二の冷たい手を握りながら
神に祈った。
私が神に祈りたい人はもうこの世にいない。
だから、せめて、誠二と美緒さんのことは
神様、見捨てないであげてほしい。
「ま……どっ」
「誠二!よかった!誠二、今日ね、永一君を後継者に指名するって。だからもう美緒さんも自由になれるよ!誠一さんから聞いたんだけど、離婚届を美緒さんに渡したって。だから、あとは誠二は自分の身体のことを考えて!」
「ダメだっ……」
「誠二?何しているの?誠二!」
さっきまで寝ていた人とは思えないぐらいのパワーで
誠二は点滴を抜いて起き上がって病室を出ていく。
「何で?もう大丈夫だよ!」
「今日が一番危ない…永一の命が狙われる」
「え…?」
「永一は俺の子供だけど、俺は……一族の子供じゃない」
「どういうことなの……誠一さんと双子じゃないってこと?」
「双子だよ、だけど、俺は父さんの子供じゃない」
「……それってもしかして」
「双子のケースで稀にある、父親が違うんだ」
「そんなこと……いつ知ったの?本当なのそれ」
「母さんにも確認した。この病気になって血液検査するまで、俺は知らなかった。だって病院に行ったこともなかったから」
なんで、誠二なの?
誠二は何も悪いことしていないのに。
病気になって、自分が一族の人間じゃないと知るなんて。
だって、ずっと、一族のために、自分の心も
自分のしたいことも全部、全部、我慢してきたのに……
「円花、お願いだ。俺をその場所へ連れて行ってほしい」
「そんな体で連れていけるわけないよ!!」
「頼む、もう、お前しかいない」
「ズルいよ……ズルいよ、誠二っ……」
「円花が一緒なら、俺は大丈夫だよ」
何があっても、絶対助ける。
誠二をまだ、死なせやしない。
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だから……。
「キャー――!!!」
誠二の身体を支えながら
何とか会場に入れたと思ったら
いきなり悲鳴が聞こえた。
男が割れたボトルをもって、小さな男の子に向けている。
「永一!」
誠二の身体を支えながら急ぎ足は
一緒に足がもつれてしまって倒れてしまった。
「誠二!大丈夫?」
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