【R18】アムール

かのん

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隣にいる私を見て…

不器用な愛③

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「美優の友達は…?」



「え?」



「あの子のことはどうするんだ?」



「親友さえ辞めたいって言われたよ。俺が中途半端に愛に接してしまったから……愛を傷つけてしまった。俺わかったよ…美優の時は兄さんに負けたくなくて独占したくて…それが愛だと思ってた。」



兄さんに渡したくない、その思いだけで動いていたんだーー



「愛は……隣にいるのが当たり前で、居心地がよくて…だけど親友さえ辞めたいって言われて気づいたよ。失う怖さをーー美優の時とは違う感情だってことも。」



「でお前は諦めるのか?」



「…諦めない。愛にちゃんと自分の気持ちを伝えたい。愛の顔を見てちゃんと……今から会いに行く。」



「今からって……あなた正気なの?窓も外を見なさいよ!あんなにマスコミがいるのよー!?」



「……それでも、今伝えに行きたいんです。昨日みたいに後回しにしたら後悔するから。」



「だからって……巧?どこに行くの?」



「行くぞ、ヒロ。」



「兄さん?」



「俺について来い。」



「え?」



「巧、裏から行くの?裏だってすぐ回り込まれて後をつけられるわよ…」



兄さんはいつも自信で満ち溢れていて憧れていた



兄さんがいつも自信があるのは自分を信じているから



目の前のことにいつも真剣に立ち向かうから



そして優しいからーー



だから絶対周りを責めない



傷ついていいのは自分だけでいいって思ってる。



そんな兄さんに美優が惚れるのは当たり前だ



俺だって女だったら惚れそうだーー



「ヒロ……俺が外に出て10秒たったら外に出てこい。いいな?振り返らず走るんだ。」



手に持っていたサングラスと帽子を俺につけながら、語りかけてくる巧の目は、サングラス越しでも目力はすごい。




巧の青い目は冷たい目だと思ってたけど



この近さでみて初めて気づいた



ブルーの目にうつる自分が嫌だったんだ



自信がない自分を思い知らされるブルーの目が怖かったんだ



「兄さん……何するつもりなの?」



俺の質問には答えず、ただニッコリと笑う巧の優しい笑顔



俺はこんな優しい人になんてことしたんだろうーー



「兄さん、何でそんなに優しくしてくれるの…?」



サングラスしててよかった……


目には涙で溢れてて溢れそうだからーー



「俺はお前に感謝してるよ?過去があるから今があるんだ。美優とも恋に落ちたのだって過去があるからーーあのまま3人で過ごしたってどうなってたかなんてわからない。だからお前はもう自分を責めるな。」



「兄さん……ッ」



「今は俺だって帰る場所がある。だからお前も帰る場所に帰れ。手放すなよ…」



「兄さん…?」



「お誕生日おめでとう、ヒロ。1日遅れだけど、今年は言えてよかったよ。」
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