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クリスマスプレゼント②
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「……………母さん?」
「…やっぱり…そうなのね…」
「どうして、あなたが…楓さんが母親?」
「私も普段あなたと同じでコンタクトをしているのよ。ずっと探していたのよ…よかった…」
楓も巧と同じで片目がブルーだった。
巧の記憶の中の母親も片目がブルーだった。
楓は巧に抱きつき何度も頭を撫でる。
「あなたにすぐ母親だって名乗れなくてごめんなさい…あなたがどんな反応をするか怖かったの…ごめんなさい。」
泣きじゃくる楓は普段大女優とは思えないぐらいグシャグシャの顔になっていた。
「でも毎年クリスマスがくるたび胸が締め付けられて…でも今年は素敵なクリスマスプレゼントだわ…」
「クリスマス…?」
「…覚えてないの?」
「俺は…母さんが俺と同じ片目がブルーで赤ちゃんを抱っこしていることしか…」
「赤ん坊?それは1歳の時の記憶ね…ヒロのことね。」
「ヒロが弟?」
「そうよ。あなたの弟。ヒロは両目とも茶色だけど…あなたの本当の名前はルイよ。」
「ルイ…?」
「15年前…クリスマスパーティーをうちでやることになっていたのよ。」
「クリスマス…」
「あなた達、クリスマスパーティーの前に秘密基地で遊ぶって…秘密基地を作っていたみたいで…それがフェンスを越えた場所で…流れの速い川のあるところだった…」
「川…そうだ、俺は川に流されて…記憶が…名前もわからなかった…」
「そうだったの…ごめんなさいね…」
楓がまた巧をギュッと抱きしめる。
「それで…何で川に落ちたんだ?」
「みゅうちゃんの大事なものが入ったバッグをとろうとして…」
「みゅう…?」
「近くに住んでいる女の子で、ヒロと同じ年の…ご両親がレストラン経営されていて、あなたも食べに行ったことがあるわ。」
巧は頭を抱えながら後ずさりをする。
いきなり色んなものがフラッシュバックしてきた。
「あなた達、美優ちゃんって言いにくかったみたいで…あなたはみゅう、ヒロはみーちゃんって呼んでたわ。」
「…そうだ…いつも三人で遊んで…みゅうだけ目が海みたいでキレイって言ってくれて…」
「そう、あの子は本当にいい子で…あなたの目をいつも気に入ってくれてた…」
「あの時、美優がバッグを取ろうとして…落ちそうになったから、俺がバッグを…」
巧は少しづつ記憶が戻ってきて思い出してきた。
「美優ちゃん、あなたがいなくなったのは自分のせいだって責めて責めて…ご飯も食べれなくなって…そしたらいきなりあなたのこと覚えてないって言い出して…」
「あれは俺が勝手に…」
「4歳の子にはショックだったと思うわ。私がちゃんと警察に届けてれば…」
「え…?」
「私まだその頃結婚したことさえ世間に隠してた。もちろん子供のことも…私も主人もまだ駆け出しだったの…ごめんなさい…ちゃんと警察に届けてればきっともっと早く見つけ出してあげれたかもしれないッ…」
楓は自分の力で立てなくなり、床に泣き崩れた。
「…でもまだ親子って実感が…」
「きっと親子よ。母親の勘があるもの。」
「いまさら母親面するんじゃねぇよ!!」
巧は今まで溜まっていた感情を表にだした。
「…なんだよ…お前にとっては俺が生きていたことがクリスマスプレゼントでも、俺にとっては母親に捨てられたっていう事実がクリスマスプレゼントかよ!!」
「ルイ…違う、そんなつもりは…」
「正真正銘の親子だよ。」
「ヒロ…?どういうことなの?」
ヒロが巧に封筒と帽子を投げる。
「これ、俺の…」
巧の中の封筒を開けると中にはDNA鑑定書が入っていた。
「巧の毛髪と母さんの毛髪からDNA鑑定したよ。親子だった…」
「ヒロ…あなたいつから知っていたの?」
「だいぶ前から…」
「どうして教えてくれなかったの?私がルイに会いたがってたのは知ってたでしょ?」
「母さんも美優もいつも兄さんしか見ていなかったから…」
「そんなこと…」
「母さんは自分の同じブルーの目をもつ兄さんのこといつも可愛がっていたよ!美優だって…いつも兄さんについて遊んでた…兄さんがいなくなって、母さんも美優もやせていって…美優だって兄さんのことが好きだから、だからいなくなったのは自分のせいだって責めて記憶を封印して…」
「ヤメロ…」
「…え?」
「ヤメロ!!!!!!」
巧はDNA鑑定書を破いて部屋から立ち去る。
「待って、待って、ルイ!話を聞いて!」
「…やっぱり…そうなのね…」
「どうして、あなたが…楓さんが母親?」
「私も普段あなたと同じでコンタクトをしているのよ。ずっと探していたのよ…よかった…」
楓も巧と同じで片目がブルーだった。
巧の記憶の中の母親も片目がブルーだった。
楓は巧に抱きつき何度も頭を撫でる。
「あなたにすぐ母親だって名乗れなくてごめんなさい…あなたがどんな反応をするか怖かったの…ごめんなさい。」
泣きじゃくる楓は普段大女優とは思えないぐらいグシャグシャの顔になっていた。
「でも毎年クリスマスがくるたび胸が締め付けられて…でも今年は素敵なクリスマスプレゼントだわ…」
「クリスマス…?」
「…覚えてないの?」
「俺は…母さんが俺と同じ片目がブルーで赤ちゃんを抱っこしていることしか…」
「赤ん坊?それは1歳の時の記憶ね…ヒロのことね。」
「ヒロが弟?」
「そうよ。あなたの弟。ヒロは両目とも茶色だけど…あなたの本当の名前はルイよ。」
「ルイ…?」
「15年前…クリスマスパーティーをうちでやることになっていたのよ。」
「クリスマス…」
「あなた達、クリスマスパーティーの前に秘密基地で遊ぶって…秘密基地を作っていたみたいで…それがフェンスを越えた場所で…流れの速い川のあるところだった…」
「川…そうだ、俺は川に流されて…記憶が…名前もわからなかった…」
「そうだったの…ごめんなさいね…」
楓がまた巧をギュッと抱きしめる。
「それで…何で川に落ちたんだ?」
「みゅうちゃんの大事なものが入ったバッグをとろうとして…」
「みゅう…?」
「近くに住んでいる女の子で、ヒロと同じ年の…ご両親がレストラン経営されていて、あなたも食べに行ったことがあるわ。」
巧は頭を抱えながら後ずさりをする。
いきなり色んなものがフラッシュバックしてきた。
「あなた達、美優ちゃんって言いにくかったみたいで…あなたはみゅう、ヒロはみーちゃんって呼んでたわ。」
「…そうだ…いつも三人で遊んで…みゅうだけ目が海みたいでキレイって言ってくれて…」
「そう、あの子は本当にいい子で…あなたの目をいつも気に入ってくれてた…」
「あの時、美優がバッグを取ろうとして…落ちそうになったから、俺がバッグを…」
巧は少しづつ記憶が戻ってきて思い出してきた。
「美優ちゃん、あなたがいなくなったのは自分のせいだって責めて責めて…ご飯も食べれなくなって…そしたらいきなりあなたのこと覚えてないって言い出して…」
「あれは俺が勝手に…」
「4歳の子にはショックだったと思うわ。私がちゃんと警察に届けてれば…」
「え…?」
「私まだその頃結婚したことさえ世間に隠してた。もちろん子供のことも…私も主人もまだ駆け出しだったの…ごめんなさい…ちゃんと警察に届けてればきっともっと早く見つけ出してあげれたかもしれないッ…」
楓は自分の力で立てなくなり、床に泣き崩れた。
「…でもまだ親子って実感が…」
「きっと親子よ。母親の勘があるもの。」
「いまさら母親面するんじゃねぇよ!!」
巧は今まで溜まっていた感情を表にだした。
「…なんだよ…お前にとっては俺が生きていたことがクリスマスプレゼントでも、俺にとっては母親に捨てられたっていう事実がクリスマスプレゼントかよ!!」
「ルイ…違う、そんなつもりは…」
「正真正銘の親子だよ。」
「ヒロ…?どういうことなの?」
ヒロが巧に封筒と帽子を投げる。
「これ、俺の…」
巧の中の封筒を開けると中にはDNA鑑定書が入っていた。
「巧の毛髪と母さんの毛髪からDNA鑑定したよ。親子だった…」
「ヒロ…あなたいつから知っていたの?」
「だいぶ前から…」
「どうして教えてくれなかったの?私がルイに会いたがってたのは知ってたでしょ?」
「母さんも美優もいつも兄さんしか見ていなかったから…」
「そんなこと…」
「母さんは自分の同じブルーの目をもつ兄さんのこといつも可愛がっていたよ!美優だって…いつも兄さんについて遊んでた…兄さんがいなくなって、母さんも美優もやせていって…美優だって兄さんのことが好きだから、だからいなくなったのは自分のせいだって責めて記憶を封印して…」
「ヤメロ…」
「…え?」
「ヤメロ!!!!!!」
巧はDNA鑑定書を破いて部屋から立ち去る。
「待って、待って、ルイ!話を聞いて!」
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