天使に恋をした。

かのん

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涼子

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「久しぶり!会いたかったのよ!」




涼子が抱きついてくる。






「え…何してんの?」





「待ち合わせしているの、今。」






「涼子!遅くなってごめん。」



(コイツ知ってる。確か…)





「雅さんですよね?初めてお会いしたけど格好いいですね!」





(入店して1ヶ月でナンバーワンになったっていうホストだ)





「じゃあ、お店行きましょうか。」






「ちょっと待って。ホストクラブ行くの?」



「そうだけど?」






「剛はこのこと知ってるの?」






「言ってないから知らないんじゃない?夜旦那も剛君もいないと寂しいのよ~」






「ほら、涼子さん早くいこ!」



「私は剛君より雅君がタイプなんだよね。剛君と付き合ったのだって、雅君に近づくためだもの。」






「え?どういう意味?」






「雅君のお店にもいけなくなって、着信も拒否されて…でも剛君雅君の親友だっていうから会えると思ってた。だけど全然会えなくて。」






「じゃあ涼子さんは剛のこと…」



「何にも思ってないよ!あははは!ホストのくせに騙されて、最近のあいつ重いんだよね。仕事もマジで辞めると思ってなかったし。」






「やめろ…」






「え?」






「剛を侮辱するのはやめてくれ!」



「剛は本当にアンタのこと…」






「…それぐらい私も雅のこと好きだったの。愛していたの。わかる?」






「え?」






「私、本当に雅が好きで雅と一緒になりたかった。だけど既婚者だって分かった途端急に冷たくなって…連絡も会うのも拒否されて辛かった。」



「いや、でも…」






「既婚者だったから?でも雅は別に私が既婚者じゃなくても本気にしなかったわよね。あなたが私をみる視線は愛じゃなくて“モノ”って感じだった…」






「ごめん、涼子さん。俺確かに涼子さんをそういう風にみてた。でも涼子さんだけじゃなくて、女は全員そういう風にみてきた。俺を捨てた母親にしかみえなかった。特に既婚って聞くと…あの頃はごめん、だから剛のこと見捨てないでくれ。」






「剛のことちゃんとするわ。じゃあ私と付き合って。」



「それは…」






「私の愛わかってくれたんでしょう?」






「…ごめん。今好きな人がいるんだ。」







「え…何それ。私はずっと外からみていたのに。雅が変わってくれるの待っていたのに。どういうこと!?」



涼子はヒステリックに声をあげる。





気づけば涼子に近づいていたホストはその場から逃げていた。






「どうしました!?」






警察官が駆けつける。






「ただの喧嘩です。涼子さん落ち着いて。」



「いやよ、イヤ!絶対イヤ!認めないんだから!」





涼子は泣き叫びながら道路の上に崩れる。






「とりあえず交番に行こうか。お兄さんもちょっとこっち来て。」






「俺、ちょっと仕事場に電話してもいいですか?」






「はい、どうぞ。」



仕事場に電話すると剛が電話に出た。






「え?何で剛?」






「今忙しくて飲み物もたくさん出ててさ~ってお前何やってんの?お客待ってるよ。」






「俺ちょっと交番行ってくるわ。」







「え?どうしたの?」



「雅!雅!」






電話口から涼子の声が聞こえる。






「え!?涼子さん?」






「大丈夫だから、帰ったら全部話すから。」



雅は急いで電話をきり、警察に誘導されながら交番にいく。






警察もホストと女性のいい合いになれていて、雅にはこれから気をつけてねの一言ですんだ。






急いでお店に帰るともうお店は終わっていた。






「剛…」



「…どうしたんだよ。どうして涼子さんがあそこにいたんだよ。何で雅の名前必死に呼んでるんだよ!!」





剛が雅に怒鳴り声をあげた。






「涼子さんホスト遊びしていてあそこにいたよ。たまたま会ったんだ。」






「…それで?何で雅の名前を呼んでたわけ?」



「…」






「八ッ…そうか、まだ涼子さん雅のこと好きなんだ。」






「剛…」






「知ってたよ。みてみぬ振りしてたんだ、俺。だって親友を好きとかさ…ちょっときつんだよね。」






「剛、俺…」




「ごめん、ちょっと一人にならせて。」






「うん、じゃあ先帰るわ。」






「雅!」






「ん?」







「俺、正直お前のことが憎かったり、嫉妬したり、むかついたりしていた時もあったんだ…」



「…うん。」






「だけど今日一日はお前のこと大嫌いになる!今までの人生で一番きらいになる!好きな女がお前をまだ好きなんてイヤだし!だけどさ…」







「…」







「明日からまた親友になってもいい?」



「…何だよ、それ。」






「フッ…やっぱり無理?」







「俺は今日も明日も親友だけどね。」






雅はロッカールームから出て行く。
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