10年前に戻れたら…

かのん

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敦子サイド⑤

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“4月26日

激しい雨が降っていた。
それでもあの家にいるよりはと思って外に飛び出した。
お花屋さんは定休日だから桜君には会えないと思っていた。
だけど――



彼は傘をもって現れてきてくれた。
昔から王子様は白馬に乗って現れると思っていたけど
本当は傘を差し出してくれるのが王子様なのかもしれない・・・



熱をだしてしまってそのまま気づいたら桜君の家にいた。
抱きしめられて、キス、されるかと思った。
すごくドキドキして…熱じゃなくて、桜君にドキドキして顔が赤くなった。



桜君に好きだといわれて
私もってとてもじゃないけど言えない…
敦子には私しかいないのだから。”




“4月27日


主人に昨日は散々暴力振るわれた…
桜君にはとてもいえなかった。
朝遅れたことたくさん謝った。
土下座もした。


そして離婚してほしいって伝えた。



だけど離婚届はやっぱり破られた。
離婚するなら敦子はおれが引き取るといわれた…
こんなお金があっても暴力的な男にとてもじゃないけど預けられない。



今まで離婚届を破られるたびに書き直してた。
だけど敦子を引き取るといわれたら…
もう書き直すことはできなかった。



桜君と思い出がほしい。
ずっとこれから先あの男と生きていけるような思い出…”




“4月28日

桜君と遊園地に行った。
一緒に乗り物のって、笑いあって…
デートってこんなに楽しいものなんだって思った。


ワンピースにコーヒーのしみがついたけど
それさえ愛おしい。
家に帰ってその染みをみるたび
桜君のことを思い出せるから…



最後、桜君の顔をみたら会わないって決めたのに
揺らぎそうになった…
でもしおりに私の想いを託したから
桜君からもらった思い出とこの赤いバラの蕾…



純潔、純粋な愛、愛の告白、そして…あなたに尽くします



それは私が桜君に思っている感情だった










彼の誕生日の10月10日




それは敦子の誕生日





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