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和也の愛
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387ページ
「琴音…琴音…」
頭も瞼も重い…
名前を呼ばれているのに返事もできない
「琴音!」
「…ッ…」
「琴音!目を覚まして!」
少しづつ重い瞼がやっと開いた。
「よかった…」
「せ…んせ…」
目の前で私の名前を呼び続ける人は
右の額にホクロがある人――
「ここは病院だよ。お母さん呼んでくるから。」
「まっ…て。」
「琴音?」
「あなた…拓也…君?」
「そう…だよ。」
「和也君…は?」
「和也のこと…知ってるの?」
「和也君は…?」
「和也は…」
私…どうして眠っていたんだろう
和也君が耳元でつぶやいた言葉
拓也君の今の表情
今ここに和也君がいないこと
胸騒ぎしかない――
391ページ
「琴音!!!」
「お母さん…」
母親が目を覚ましている琴音をギュッと抱きしめる。
「よかった…よかったッ…」
「心配かけてごめんなさい…」
母親に声を聞くと緊張がとれて涙が出てくる。
「琴音…琴音…」
「お母さん…?」
母親の体が小刻みに震えてくる。
「琴音…ごめんね…ごめんねッ…」
「…どうしてお母さんが謝るの…?」
琴音が尋ねても母親は泣いてばかり
「…和也君のこと?」
「…お母さんが悪いの。」
「どういうこと?」
「…和也のところに行こうか。」
拓也のその一言で和也がこの病院にいるとわかりホッとする。
「和也君…和也君!」
和也の病室にはすでに父親がそばに立っていた。
「バカ息子だ…桜みたいな優秀な医者にはまだ程遠いのにッ…」
右手で顔を覆いながらも父親の頬には涙が流れていた。
「和也君は…目を覚ましますか?お父さんがどうして関係あるんですか?」
「琴音…お母さん言ってなかったけど心臓が悪かったの。」
「え?」
「あなたのお父さんは…お母さんに心臓をあげるために自分が作った薬で…私が病気にならなければ…」
母親も耐え切れずに座り込んで泣き出した。
「和也君は…お父さんと一緒の薬を…?」
「わずかに残った薬や桜先生が残したメモを参考に薬を作ったらしい…きちんとした薬は作れなかったみたいだけど、意識はもう――」
「もう…?」
先の言葉を言うか言わないかためらいながら、拓也は下唇をかむ。
「戻らないと思う。」
「琴音…琴音…」
頭も瞼も重い…
名前を呼ばれているのに返事もできない
「琴音!」
「…ッ…」
「琴音!目を覚まして!」
少しづつ重い瞼がやっと開いた。
「よかった…」
「せ…んせ…」
目の前で私の名前を呼び続ける人は
右の額にホクロがある人――
「ここは病院だよ。お母さん呼んでくるから。」
「まっ…て。」
「琴音?」
「あなた…拓也…君?」
「そう…だよ。」
「和也君…は?」
「和也のこと…知ってるの?」
「和也君は…?」
「和也は…」
私…どうして眠っていたんだろう
和也君が耳元でつぶやいた言葉
拓也君の今の表情
今ここに和也君がいないこと
胸騒ぎしかない――
391ページ
「琴音!!!」
「お母さん…」
母親が目を覚ましている琴音をギュッと抱きしめる。
「よかった…よかったッ…」
「心配かけてごめんなさい…」
母親に声を聞くと緊張がとれて涙が出てくる。
「琴音…琴音…」
「お母さん…?」
母親の体が小刻みに震えてくる。
「琴音…ごめんね…ごめんねッ…」
「…どうしてお母さんが謝るの…?」
琴音が尋ねても母親は泣いてばかり
「…和也君のこと?」
「…お母さんが悪いの。」
「どういうこと?」
「…和也のところに行こうか。」
拓也のその一言で和也がこの病院にいるとわかりホッとする。
「和也君…和也君!」
和也の病室にはすでに父親がそばに立っていた。
「バカ息子だ…桜みたいな優秀な医者にはまだ程遠いのにッ…」
右手で顔を覆いながらも父親の頬には涙が流れていた。
「和也君は…目を覚ましますか?お父さんがどうして関係あるんですか?」
「琴音…お母さん言ってなかったけど心臓が悪かったの。」
「え?」
「あなたのお父さんは…お母さんに心臓をあげるために自分が作った薬で…私が病気にならなければ…」
母親も耐え切れずに座り込んで泣き出した。
「和也君は…お父さんと一緒の薬を…?」
「わずかに残った薬や桜先生が残したメモを参考に薬を作ったらしい…きちんとした薬は作れなかったみたいだけど、意識はもう――」
「もう…?」
先の言葉を言うか言わないかためらいながら、拓也は下唇をかむ。
「戻らないと思う。」
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