【R18】秘密。

かのん

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告白。

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「桜さん、中へどうぞ。」



「失礼します。」



「琴音…」



「あ…今日は検診の結果を聞きたくて…」



「あぁ…そっか。」



看護婦が琴音のカルテを和也に渡しながら、二人の関係が気になるようで口元が緩んでいる。



「特に気になるところはないけど…生活してどう?胸が痛むことある?」



「…」



「琴音…?」



ただ名前を呼ばれているだけなのに



心臓が鷲掴みされているみたいにキュウッとなる――



拓也先生に会うと胸がドキドキと鼓動が早くなってしまう…



「あの…」



“プルプルプルプルッ…”



「あ、ごめん、はい…はい、わかりました。すぐ行きます。ごめん、ちょっと待ってて。」



「はい…」



“ガラガラガラッ…”



和也が診察室から出て行くと心臓がいつもどおりの鼓動に戻った。



「はぁ…」



「気分でも悪い?」



「あ…違うんです。」



「さっき先生に言いかけただけど心臓どこか変?」



「あの…拓也先生の前で心臓が苦しくなるんです…普段はどうもないんですけど…鼓動も早くなったり、鷲掴みされている感覚になったり…」



「…ふふふ。」



「え?」











「恋しているのね、拓也先生に。」









「あ…///」



「だって拓也先生の前だけなんでしょ?」



「…でもいつもってわけじゃないんです。ドキドキしないときもあって…」



「う~ん。まぁいつもドキドキするわけじゃないしね。」



「そういうもの…ですかね。」



「ちゃんと心臓が動いているっていう証拠ね。」



心臓ってただ動いているだけじゃないんだ…



恋は病の一種だっていう人もいるけど本当にそうだ



ドキドキしたり胸が苦しくなったり…涙が出そうになったり…



だけどその分誰かを愛おしく思って



心臓がちゃんと動いていることを実感させてくれる



生きているって思える――



“ガラガラガラ…”



後ろからドアを開けられてビックリしたのか



それとも苦手だった消毒液の匂いがしたからか――



また心臓がドキドキする…



「ごめん待たせて…えっとさっき…」



「あ、あの、何でもないです。元気です…」



看護婦さんと話してからより一層拓也先生のことを意識しちゃう――



“キィ…”



「あの…」



和也が琴音の顔を下から覗き込んでくる。



「顔が赤いけど熱でも――」



「大丈夫です!検査結果異常ないなら失礼します!」



「琴音!?おい!琴音ッ――」



“ガラガラガラ…”



どうしよう、胸が苦しい…



だって拓也先生は私のことどう思っているのか



聞いたことがない――



「先生、もうシフトは大林先生になるんで、早く診察室から出て行ってください。」



「え?」



診察室で看護婦が和也の腕をひっぱり椅子から立たせようとする。



「早く彼女を追いかけたほうがいいですよ。」



「いや、別に…」



「付き合っているんですよね?」



「…まぁ。」



俺じゃなくて拓也だけど。



「先生って医師としては腕もいいのに、人の気持ちは鈍感なんですね。」



「え?」



「女の子の顔が赤くなるって熱以外でも赤くなるんですよ?」



…いやいや、まさか――



まさかだけど…



「お疲れ様!」



「は~い。頑張ってください♪」



でも仮に琴音が好きでいてくれても



俺じゃなくて拓也だったら?



拓也だったら…



琴音に聞くのは怖いはずなのに



体が琴音の元へと走っていた



それは少しでも俺に可能性があるって信じたいからだろうか?










もし俺のことを好きでいてくれたら…


          俺はどうすればいいんだ…








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