【R18】秘密。

かのん

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病院。②

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「体大丈夫ですか?」



「体?」



「昨日血を吐いて…」



もう長くないって…



長くないってそういうことなの?



これからもそういうシーンをみることになるのかな――



“ピリリリリッ…”



「ごめん…はい…うん。え!?…わかった。」



「じゃあ、拓也先生また…」


誰にも言わないでほしいって言われたし



忙しいみたいだからまた今度聞けばいい――



どうして私なのか…



だけど答えを聞かずにこのままズルズルといたい…



真実は知らないほうがいい時もある――



だけど本当は



拓也先生と一時じゃなくて



ずっと一緒にそばにいたい…



その感情は同情じゃなくて――



「琴音…」



「はい!?」



考え事をしていたし、名前を呼ばれるなんて…びっくりする。



「今週の日曜日時間ある?」



「え…はい、お店お休みなので。」



「10時に○○公園に来て。」



「はい…あの…でももし話があるなら今聞きます…先生忙しいと思うので。



「…ハハハハハッ!」



「え…」



いつも冷たい印象の拓也がこんなにも笑うなんて…



こんな風に声をあげてくしゃっと笑うんだ…



「デートだよ。」



「え!?デート…///」



「そう…だから行きたいとこ考えておいて。」



「はい!」



嬉しい…初めてのデート…



忙しいのに誘ってくれたんだ…



嬉しくてニヤニヤが止まらない――



嬉しいけど、血を吐いている姿を思い出すとこのデートが最後になるかもしれないの…?



“ガラガラガラ…”



「あ、先生すいません遅くなって…」



「じゃあ…失礼します。」



「あぁ…」



琴音は微笑みながら診察室を出て行く。



「看護婦さん…タバコ、吸ってきてもいい?」



「あ、はい、どうぞ。先ほどの患者さんは別のお医者様に診てもらっていますので。」



「…ありがとう。」



「…え!?」



看護婦は拓也が言った言葉に驚きを隠せなかった。



「どうしたの、驚いた顔して。」



他の看護師が声をかけてきた。



「だって今、拓也先生ありがとうって…」



「え~結構ありがとうって言ってくれるよ、拓也先生。」



「そうじゃなくて、今日は機嫌が悪い日だったから。」



「あ~拓也先生って、機嫌がいい日と悪い日が激しいよね。」



「機嫌が悪いと必ずタバコ吸うからさ…タバコ吸う日なのにありがとうって言われちゃった…」



「え!?それはびっくり…院長にさっき怒られていたみたいだから反省したんじゃない?」



「そうなのかな~」



「でも拓也先生って本当たまに――」















「別人みたいだよね。」













拓也先生って不思議な人――



優しかったり、急に不機嫌になったり、明るかったり…



急にどこかへ行ってしまいそうな寂しい表情をする時は胸が締め付けられる



これは病気のせいなの…?



それとも――



これは“恋”なんですか?




「フゥ…」



拓也はタバコを屋上で吸いながら琴音が嬉しそうに病院から出て行くのを見届けていた。



「デート嬉しいんだな…」



琴音との会話や診察室での出来事を思い出すと涙が出そうだ…



琴音の体を目の前に触れないでいるのは拷問に近かった



触れたくて触れたくて



何度も自分の感情を消した



人間はどうして駄目だと言われると反発したくなるのだろうか――



琴音を愛したくても愛してはいけない…



愛してはいけないのに



再会してから毎晩琴音が夢に出てくる――



夢の中では…



夢の中だけは――



琴音を愛したい



だけど



たまに夢との境目がわからなくなる…



現実が夢であればいいのに――
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