【R18】秘密。

かのん

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病院。

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「23歳?」



「お母さんは23歳の時、どんなだった?」



「23歳は結婚していたわよ~」



「え…そんなに早く?」



「ふふ、大恋愛だったもの~」



「そっか、お母さんはもう結婚していたんだ…」



「あんたもよく小さい頃23歳で結婚するって言ってたわよね。」



「そうなの?」



「名前は忘れちゃったけど…一緒に入院していた子なんだけど…」



「…覚えていないや。」



「まぁ、小さい頃の話だしね。あ、病院は?今日でしょ?拓也先生に会うの~」



「うん…あの、お母さん、私――」



「付き合っているんでしょ?拓也先生と。」



「え…?どうして…」



「拓也先生に言われたわよ。若女将と付き合ってもいいですかって。」



「嘘…」



「クールそうに見えるのに誠実なところもあっていいじゃない。胸の傷も拓也先生なら気にしないわよ。私も早く孫の顔がみたいし♪」



「うん…」



「ほら、時間でしょ?行って来なさい。」



「…行ってきます。」



お母さんはうれしそうだけど…



お母さんごめんね。



孫の顔はきっと見せれない――



期間限定の付き合いだとはとても言えない…



「拓也!拓也待ちなさい!」



「…何ですか院長?」



「手術はチームプレイだと何度言わせるんだ!お前一人でやっているわけじゃない!もっと周りの話も…」



「でも結果的に助かりましたけど。」



「助かったのはいいことだが、こんな風に周りと孤立してはこれから先拓也が困ることに…」



院長が先の言葉が言えないぐらい拓也は冷たい目で院長見る。



「な、なんだ…?」











「拓也…ね。」










「ッ…」



院長は拓也の言葉でさらに言葉が言えなくなっているように見えた。



「あ…」



拓也が桜に気づき、琴音のほうへ近づいてくる。



「患者さんがいますので…」



「拓也!待ちなさい!」



「俺はもう話すことはないので。」



「あの拓也先生…」



「いいから。」







「何でアイツはあんなにも俺に似ているんだ…」





先生



お父さんと何かあったの?



言葉や態度はあんなにも冷たいのに



私を見つけた時



どうしてそんなにもホッとして



でも傷ついた表情をして



私の方へ歩んできたの――?



「定期健診…か。」



「はい…」



「じゃあ、下着はつけたままでいいので、ボタンを外してもらってもいいですか?」



看護婦さんがニコニコと明るく指示してくれた。



「はい…」



やっぱり…



こんな明るい明かりの下で拓也先生に胸を見せるのは緊張してしまう



“コンコンッ…”



ボタンに手をかけた瞬間後ろのドアのノック音が聞こえた。



「あ、ちょっと待っててね。」



看護婦さんはカーテンを閉めてドアをあけた。



「どうされました?」



「すいません。うちの子が待っている間吐いてしまって…」



「あ…ちょっと待っててくださいね。先生、ちょっと行ってきます。」



看護婦さんは洗面器などを持って診察室を出て行ってしまった…」



「あ…」



「診察は続けるのでボタン外して。」



「はい…」



“ギィ…”



先生に見られている



「…」



いつも外しているボタンが外せれない…



手が震えてうまく外せれない



それは拓也先生に見られているから?



それともやっぱり男性にこの傷を見られるのが嫌だから…?




“ギィッ…”



「あ、あの――」



「震えているけど…どうした?」



手をそんな至近距離で握られたら…今度は顔が赤くなりそう…



「き、緊張してしまって…すいません、すぐボタン外します…」



「俺がやるから。」



「え…」



拓也がボタンをひとつずつ外していく。



左の額にほくろがあるのが見えるぐらいの至近距離だ――



ボタンがひとつ外されるたびに心臓の鼓動が早くなっていくのが自分でもわかる。



“ピクッ…”



ひんやりとした聴診器を胸に当てられると、一瞬は冷たいのにそこに熱が集中して熱くなる…



自分の心臓の音が自分でも聞こえるぐらいドキドキいっていた。



「うん…緊張しているからか早いけど音はきれいだ。」



「そうですか…よかったです。」



「後ろ向いて。」



「はい。」



“スッ…”



ブラウスの下から聴診器を入れられ、心臓の音を熱心に拓也は聞いていた。



「あと、血液検査とかの結果は一週間後に聞きにきて。」



「はい…あの。」
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