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先生ver.
罠。③
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「先生としては失格だねって笑っていたけど、私、早瀬先生の恋応援したくなっちゃって……大丈夫ですか!?」
「……ごめん。大丈夫。」
俺に助けを求めることもできたのに
それをしないで一人で恐怖と戦い俺を思い続けたくれたことを聞かされたら――
目頭が熱くなった。
目頭が熱くなってこぼれそうな涙を奈々の生徒の前では見せられなくて下をうつむいて目をつぶって泣くなと自分に言い聞かせる
早く奈々に会ってたくさん、たくさん抱きしめたい――
「すいません、もう少し急げますか?」
タクシーに乗り込んで教えてもらった居酒屋へと急いだが金曜日な上に雪がすごくて周りの車もスピードを出せずにいた
「あと少しなんだけど進まないですね~ほら、あそこなんですけどね。」
そう言われて指差されたところを見ると雪でぼんやりとして見えないけど中年の男性が女性を抱えてタクシーに押し込む姿が目にうつった。
「…奈々?」
一瞬しか顔は見えなかったけどぐったりとしている奈々のように見えた
「あれは…」
タクシーに奈々のあとに乗り込んだのはセクハラ塾長だ
間違いない、くるくるパーマに細い目つき、眉毛も薄く中年太りの――
「奈々!!!」
タクシーの中から大声をあげてみたけど、奈々と塾長が乗ったタクシーは発進してしまった。
「お客さん!?どうされたんです!?」
「すいません、あのタクシーを追ってください!お願いします!!」
「え!?あ、はい!」
見失わないようにとタクシーの運転手も奈々が乗ったタクシーを追いかけてくれるが、雪が吹雪になって追うのが難しくなってくる。
「あ~…」
とうとう信号が赤になってしまい後がつけなくなってしまった。
「ここで降ろしてください!」
「え!?大丈夫なの?」
「いいです。きっとこの雪なら走るのと一緒ですから。」
「だけどあんたここのもんじゃないんだろ?雪の怖さ知らんだろ?」
「そうですけど、今追いかけないと…もう後悔したくないんです!!」
「…」
タクシーの運転手が黙って助手席のシートの下から靴を取り出してきた。
「サイズ合うか知らんけど、スパイク入っていて雪道もこれなら急げるから。」
「え…いいんですか?」
「女を追いかけてきたんだろ?ホラッ、いいから。」
さっき咄嗟に奈々の名前を呼んでしまったことに今頃気づいた。
タクシー運転手から靴を受け取り履き替えてお金も渡している間もタクシー運転手は奈々が乗ったタクシーを視界が悪い中探してくれる。
「あ!!ほら、あっちの道路の向こうじゃないか!?」
「え!?あッ…!」
二階建てのアパートの前でタクシーがいるのみえ、奈々が雪の中に放り出されるのも見えた。
「酷いな…意識がないのか?」
「ありがとうございました!」
「急げ!!」
タクシーを降りたら運転手さんのいったとおり俺は雪国の雪を確かになめていたことを感じた。
風も強くて目も開けられない、足も一歩が進まない。
口も唇がくっつきそうになるけど――
言わなきゃ…伝えなきゃ…
「グッ……奈々…奈々!」
声を出してもぐったりとした奈々を部屋の中に連れて行く姿を見ることしかできない。
生き地獄ってこういうことなのか。
気持ちだけ焦って体が言うこときかない。
「クッ……」
運転手さんに靴を借りたから、体は冷えても足元は暖かくてすべらずに一歩ずつ歩くことができる。
“ドンドンドンドンドンッ…”
雪でなければ1分で走れるところを5分はかかったと思う。
手は冷たく感覚がなくなっているけどドアは一生懸命たたくことができた
本当はこのドアだってぶち破りたいぐらいだ――
「くそッ――」
絶対気づいているはずなのに何の反応もない
“ドンドンドンドンドン…”
ありったけの力を込めても届かないのか…
「奈々!!!」
「……ごめん。大丈夫。」
俺に助けを求めることもできたのに
それをしないで一人で恐怖と戦い俺を思い続けたくれたことを聞かされたら――
目頭が熱くなった。
目頭が熱くなってこぼれそうな涙を奈々の生徒の前では見せられなくて下をうつむいて目をつぶって泣くなと自分に言い聞かせる
早く奈々に会ってたくさん、たくさん抱きしめたい――
「すいません、もう少し急げますか?」
タクシーに乗り込んで教えてもらった居酒屋へと急いだが金曜日な上に雪がすごくて周りの車もスピードを出せずにいた
「あと少しなんだけど進まないですね~ほら、あそこなんですけどね。」
そう言われて指差されたところを見ると雪でぼんやりとして見えないけど中年の男性が女性を抱えてタクシーに押し込む姿が目にうつった。
「…奈々?」
一瞬しか顔は見えなかったけどぐったりとしている奈々のように見えた
「あれは…」
タクシーに奈々のあとに乗り込んだのはセクハラ塾長だ
間違いない、くるくるパーマに細い目つき、眉毛も薄く中年太りの――
「奈々!!!」
タクシーの中から大声をあげてみたけど、奈々と塾長が乗ったタクシーは発進してしまった。
「お客さん!?どうされたんです!?」
「すいません、あのタクシーを追ってください!お願いします!!」
「え!?あ、はい!」
見失わないようにとタクシーの運転手も奈々が乗ったタクシーを追いかけてくれるが、雪が吹雪になって追うのが難しくなってくる。
「あ~…」
とうとう信号が赤になってしまい後がつけなくなってしまった。
「ここで降ろしてください!」
「え!?大丈夫なの?」
「いいです。きっとこの雪なら走るのと一緒ですから。」
「だけどあんたここのもんじゃないんだろ?雪の怖さ知らんだろ?」
「そうですけど、今追いかけないと…もう後悔したくないんです!!」
「…」
タクシーの運転手が黙って助手席のシートの下から靴を取り出してきた。
「サイズ合うか知らんけど、スパイク入っていて雪道もこれなら急げるから。」
「え…いいんですか?」
「女を追いかけてきたんだろ?ホラッ、いいから。」
さっき咄嗟に奈々の名前を呼んでしまったことに今頃気づいた。
タクシー運転手から靴を受け取り履き替えてお金も渡している間もタクシー運転手は奈々が乗ったタクシーを視界が悪い中探してくれる。
「あ!!ほら、あっちの道路の向こうじゃないか!?」
「え!?あッ…!」
二階建てのアパートの前でタクシーがいるのみえ、奈々が雪の中に放り出されるのも見えた。
「酷いな…意識がないのか?」
「ありがとうございました!」
「急げ!!」
タクシーを降りたら運転手さんのいったとおり俺は雪国の雪を確かになめていたことを感じた。
風も強くて目も開けられない、足も一歩が進まない。
口も唇がくっつきそうになるけど――
言わなきゃ…伝えなきゃ…
「グッ……奈々…奈々!」
声を出してもぐったりとした奈々を部屋の中に連れて行く姿を見ることしかできない。
生き地獄ってこういうことなのか。
気持ちだけ焦って体が言うこときかない。
「クッ……」
運転手さんに靴を借りたから、体は冷えても足元は暖かくてすべらずに一歩ずつ歩くことができる。
“ドンドンドンドンドンッ…”
雪でなければ1分で走れるところを5分はかかったと思う。
手は冷たく感覚がなくなっているけどドアは一生懸命たたくことができた
本当はこのドアだってぶち破りたいぐらいだ――
「くそッ――」
絶対気づいているはずなのに何の反応もない
“ドンドンドンドンドン…”
ありったけの力を込めても届かないのか…
「奈々!!!」
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