9 / 66
友達の夫は…
しおりを挟む
先生と一夜をともにしたあの日から一年
さすがに私の連絡先を見たとは思う
でも連絡してこないということはあまりいい関係が築けるとは思えなかった
私も社会人になって半年が過ぎ、一クラス5人という少数人数のクラスなので、とても教えやすく、教壇にたつ緊張もほぐれていった。
だいぶ生徒に授業を教えることに自信がついてきた。
今日は大学の友達の安奈の結婚式で、結局私の就職祝いからなんだかんだで会えなく、今日久しぶりに会えることになった。
「すいません、安奈、えっと神木安奈さんの結婚披露宴はどこですか?」
「あちらのほうになります。」
「ありがとうございます。」
大事な友達の安奈の結婚式というのに遅刻してしまった。
式から参列するはずだったのに間に合わなく、披露宴からの参加になってしまった。
「こっちだよ、奈々!」
ねぇ、先生。
私今でも思うんだ
どうしてあの日に限って寝坊したんだろうって
寝坊していなかったら違う人生歩めたよね
「はぁ~間に合った~」
「もう、何でこんな大事な日に寝坊するの!?」
怒っていたのはしっかりものの鈴だった。
「いや、本当なんでだろう。ちゃんと目覚ましセットしていたのにな~」
「まぁまぁ、披露宴間に合ったんだし、まだ入場までちょっと時間あるしさ。あ、ドリンク飲む?」
「ありがとう、加奈子。」
「あ、会社から電話だ。ちょっと外に出るね。」
「うん。わかった。あ、奈々、これ安奈のウェディングドレスだよ。綺麗だよね~」
「うわぁ~本当綺麗だね~」
二人で安奈のウェディングドレスをみていたら、後ろで親戚の話が聞こえてきた。
「安奈ちゃん、まだ大学院なんでしょ。結婚急がなくてもよかったのにね~」
「でもお父さんがあんな感じじゃね~脳梗塞で倒れて車椅子じゃ、早くウェディングドレス姿見せたいものよ。」
「籍は大学院を卒業してからいれるんだって。」
「でも政略結婚みたいなものだから、急いで籍いれないほうがいいんじゃないかしら?」
「それにお相手のお母様去年自殺なさったんでしょ~経営が悪化したから自殺なさったとか。」「え…今の話本当なの、加奈子?」
「あ…うん。政略結婚っていうか、お相手の方のお父様の会社があまりよくなくて、それのサポートを安奈のお父さんがするみたいで…」
「え!?大丈夫なの、それ?最近集まっていなかったから安奈がどんな人と結婚するかぜんぜん知らなかった。」
「あ、でもね!さっき安奈に会った時、最初はね、本当嫌だったみたいだけど、イケメンだし、7つ年上で落ち着いている男性で、こういう人なら結婚もいいかもって。」
「7つ?」
なぜだか胸騒ぎがした。
「その人、お相手の人、どういうお仕事しているの?」
「なんかお父さんの経営のお手伝いしているみたいだよ。でもね、安奈幸せそうに笑ってたし、こういう結婚も結局は本人たちが愛し合っていればいいのかなって思ったよ。」
『まもなく新郎新婦が入場します。』
司会者の人がアナウンスして、会場が沈まる。
『それでは新郎新婦の入場です!どうぞ!』
奈々はカメラを入り口に向けて構えた。
BGMと同時に扉が開くと新郎新婦が頭を下げて立っていた。
ゆっくりと頭をあげると――
「先生…」
「奈々?」
カメラを落としたのも自分で気付かなかった。
幸せそうに笑っている安奈と、いつものポーカーフェイスの表情の先生が隣を過ぎ去っていく。
「奈々、カメラ落としたよ。」
加奈子がカメラを拾って渡してくれた。
「あ、ごめん。安奈のウェディング姿綺麗すぎて…びっくりしちゃった。」
「だよね~私も早くウェディングドレス着たいな~」
『えー新郎の綾部健さんは○○高校の教師をしており…』
「あれ?○○高校って奈々の母校だよね?知ってるの?」
「…知ってるけど、担任や教科の先生じゃなかったからあんまり…」
「はぁ~電話長くなっちゃって、結局入場の時はいれなかった。」
「鈴、お疲れ様~ね、安奈の旦那さん、奈々の母校の先生だったんだって。」
「え!?そうなの?そんな偶然もあるんだね~でも先生が友達と結婚ってびっくりしたんじゃない?」
「あ、うん…もう、本当、びっくりしちゃって…」
さすがに私の連絡先を見たとは思う
でも連絡してこないということはあまりいい関係が築けるとは思えなかった
私も社会人になって半年が過ぎ、一クラス5人という少数人数のクラスなので、とても教えやすく、教壇にたつ緊張もほぐれていった。
だいぶ生徒に授業を教えることに自信がついてきた。
今日は大学の友達の安奈の結婚式で、結局私の就職祝いからなんだかんだで会えなく、今日久しぶりに会えることになった。
「すいません、安奈、えっと神木安奈さんの結婚披露宴はどこですか?」
「あちらのほうになります。」
「ありがとうございます。」
大事な友達の安奈の結婚式というのに遅刻してしまった。
式から参列するはずだったのに間に合わなく、披露宴からの参加になってしまった。
「こっちだよ、奈々!」
ねぇ、先生。
私今でも思うんだ
どうしてあの日に限って寝坊したんだろうって
寝坊していなかったら違う人生歩めたよね
「はぁ~間に合った~」
「もう、何でこんな大事な日に寝坊するの!?」
怒っていたのはしっかりものの鈴だった。
「いや、本当なんでだろう。ちゃんと目覚ましセットしていたのにな~」
「まぁまぁ、披露宴間に合ったんだし、まだ入場までちょっと時間あるしさ。あ、ドリンク飲む?」
「ありがとう、加奈子。」
「あ、会社から電話だ。ちょっと外に出るね。」
「うん。わかった。あ、奈々、これ安奈のウェディングドレスだよ。綺麗だよね~」
「うわぁ~本当綺麗だね~」
二人で安奈のウェディングドレスをみていたら、後ろで親戚の話が聞こえてきた。
「安奈ちゃん、まだ大学院なんでしょ。結婚急がなくてもよかったのにね~」
「でもお父さんがあんな感じじゃね~脳梗塞で倒れて車椅子じゃ、早くウェディングドレス姿見せたいものよ。」
「籍は大学院を卒業してからいれるんだって。」
「でも政略結婚みたいなものだから、急いで籍いれないほうがいいんじゃないかしら?」
「それにお相手のお母様去年自殺なさったんでしょ~経営が悪化したから自殺なさったとか。」「え…今の話本当なの、加奈子?」
「あ…うん。政略結婚っていうか、お相手の方のお父様の会社があまりよくなくて、それのサポートを安奈のお父さんがするみたいで…」
「え!?大丈夫なの、それ?最近集まっていなかったから安奈がどんな人と結婚するかぜんぜん知らなかった。」
「あ、でもね!さっき安奈に会った時、最初はね、本当嫌だったみたいだけど、イケメンだし、7つ年上で落ち着いている男性で、こういう人なら結婚もいいかもって。」
「7つ?」
なぜだか胸騒ぎがした。
「その人、お相手の人、どういうお仕事しているの?」
「なんかお父さんの経営のお手伝いしているみたいだよ。でもね、安奈幸せそうに笑ってたし、こういう結婚も結局は本人たちが愛し合っていればいいのかなって思ったよ。」
『まもなく新郎新婦が入場します。』
司会者の人がアナウンスして、会場が沈まる。
『それでは新郎新婦の入場です!どうぞ!』
奈々はカメラを入り口に向けて構えた。
BGMと同時に扉が開くと新郎新婦が頭を下げて立っていた。
ゆっくりと頭をあげると――
「先生…」
「奈々?」
カメラを落としたのも自分で気付かなかった。
幸せそうに笑っている安奈と、いつものポーカーフェイスの表情の先生が隣を過ぎ去っていく。
「奈々、カメラ落としたよ。」
加奈子がカメラを拾って渡してくれた。
「あ、ごめん。安奈のウェディング姿綺麗すぎて…びっくりしちゃった。」
「だよね~私も早くウェディングドレス着たいな~」
『えー新郎の綾部健さんは○○高校の教師をしており…』
「あれ?○○高校って奈々の母校だよね?知ってるの?」
「…知ってるけど、担任や教科の先生じゃなかったからあんまり…」
「はぁ~電話長くなっちゃって、結局入場の時はいれなかった。」
「鈴、お疲れ様~ね、安奈の旦那さん、奈々の母校の先生だったんだって。」
「え!?そうなの?そんな偶然もあるんだね~でも先生が友達と結婚ってびっくりしたんじゃない?」
「あ、うん…もう、本当、びっくりしちゃって…」
0
あなたにおすすめの小説
病弱な彼女は、外科医の先生に静かに愛されています 〜穏やかな執着に、逃げ場はない〜
来栖れいな
恋愛
――穏やかな微笑みの裏に、逃げられない愛があった。
望んでいたわけじゃない。
けれど、逃げられなかった。
生まれつき弱い心臓を抱える彼女に、政略結婚の話が持ち上がった。
親が決めた未来なんて、受け入れられるはずがない。
無表情な彼の穏やかさが、余計に腹立たしかった。
それでも――彼だけは違った。
優しさの奥に、私の知らない熱を隠していた。
形式だけのはずだった関係は、少しずつ形を変えていく。
これは束縛? それとも、本当の愛?
穏やかな外科医に包まれていく、静かで深い恋の物語。
※この物語はフィクションです。
登場する人物・団体・名称・出来事などはすべて架空であり、実在のものとは一切関係ありません。
愛のかたち
凛子
恋愛
プライドが邪魔をして素直になれない夫(白藤翔)。しかし夫の気持ちはちゃんと妻(彩華)に伝わっていた。そんな夫婦に訪れた突然の別れ。
ある人物の粋な計らいによって再会を果たした二人は……
情けない男の不器用な愛。
【完結】退職を伝えたら、無愛想な上司に囲われました〜逃げられると思ったのが間違いでした〜
来栖れいな
恋愛
逃げたかったのは、
疲れきった日々と、叶うはずのない憧れ――のはずだった。
無愛想で冷静な上司・東條崇雅。
その背中に、ただ静かに憧れを抱きながら、
仕事の重圧と、自分の想いの行き場に限界を感じて、私は退職を申し出た。
けれど――
そこから、彼の態度は変わり始めた。
苦手な仕事から外され、
負担を減らされ、
静かに、けれど確実に囲い込まれていく私。
「辞めるのは認めない」
そんな言葉すらないのに、
無言の圧力と、不器用な優しさが、私を縛りつけていく。
これは愛?
それともただの執着?
じれじれと、甘く、不器用に。
二人の距離は、静かに、でも確かに近づいていく――。
無愛想な上司に、心ごと囲い込まれる、じれじれ溺愛・執着オフィスラブ。
※この物語はフィクションです。
登場する人物・団体・名称・出来事などはすべて架空であり、実在のものとは一切関係ありません。
極上イケメン先生が秘密の溺愛教育に熱心です
朝陽七彩
恋愛
私は。
「夕鶴、こっちにおいで」
現役の高校生だけど。
「ずっと夕鶴とこうしていたい」
担任の先生と。
「夕鶴を誰にも渡したくない」
付き合っています。
♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡
神城夕鶴(かみしろ ゆづる)
軽音楽部の絶対的エース
飛鷹隼理(ひだか しゅんり)
アイドル的存在の超イケメン先生
♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡
彼の名前は飛鷹隼理くん。
隼理くんは。
「夕鶴にこうしていいのは俺だけ」
そう言って……。
「そんなにも可愛い声を出されたら……俺、止められないよ」
そして隼理くんは……。
……‼
しゅっ……隼理くん……っ。
そんなことをされたら……。
隼理くんと過ごす日々はドキドキとわくわくの連続。
……だけど……。
え……。
誰……?
誰なの……?
その人はいったい誰なの、隼理くん。
ドキドキとわくわくの連続だった私に突如現れた隼理くんへの疑惑。
その疑惑は次第に大きくなり、私の心の中を不安でいっぱいにさせる。
でも。
でも訊けない。
隼理くんに直接訊くことなんて。
私にはできない。
私は。
私は、これから先、一体どうすればいいの……?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる