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青いバラ②
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「青いバラは私の大切な人のイメージで……もう彼には会うのは不可能なので、青いバラの花言葉と一緒だなって……」
「でも、今は“夢かなう”の意味もありますよね。」
「はい、そうです。お詳しいんです……ね。」
顔を上げた瞬間、息が、時間が止まったと思った。
ずっと会いたいと願っていた人が
今目の前にいるだなんて……。
「三島さん……?」
「結衣……」
「どうして……っ」
言いたいこと、聞きたいこともたくさんあったけど
言葉より涙が出てきて……話せなかった。
「私にとっても青いバラは結衣だった。」
「え……?」
「こんな風に会うのは不可能だと……青いバラが私たちを引き合わせてくれたから、だから、この研究所に興味を持って今日はきたんだ。」
私も年を取ったけど
三島も年を取っていた。
もう50代……昔の三島では想像つかなかっただろう。
三島の瞳にはうっすらと涙が浮かんでいる。
あの冷たそうな瞳はもうない。
目尻にも皺があって
髪の毛もだいぶグレーになっている。
「結衣……」
でも、名前を愛おしそうに呼ぶ声と
ちょっと冷たいこの指先は変わらない。
その指先にはもう結婚指輪はない。
「ううっ……っ……」
気付いたら両手で力いっぱい三島を抱きしめていた。
三島も痛いぐらい力強く抱きしめてくれた。
「会いたかった……本当はすっごく会いたかった。だけど怖かった……」
「済まなかった結衣……長い間ごめん。」
「結衣、こっちへ来て。」
三島に言われるがままに車に乗り降りると着いたのは
逢瀬をかわしていたマンション
「このマンション……」
実は以前住んでいた県の隣に引っ越していたので
車ではすぐいける距離だった
「さぁ、結衣。」
「三島さん、あの……」
また、繰り返すの?
名もない関係をこのまま繰り返してしまうのだろうか。
「待ってください、私……」
三島に引っ張られて連れてこられた
以前と同じ部屋
でもそこは以前とは違う部屋になっていた。
「これ……」
以前はベッドが一つ
生活空間が全くなく
いかにもヤルだけの部屋だった。
それが、ソファがあってテレビがあって
生活空間がある部屋になっていた。
「この部屋を……どうしても手放せなかった。私には思い出がいっぱい詰まっていたから。」
「三島さん……」
「今ここに住んでいるんだ。」
「三島さんの部屋……?」
以前はホテルかこの部屋で出会っていたから
三島の部屋なんか入ったことがないというか
どこに家があるかも知らなかった。
「結衣、これを……」
跪いた三島から差し出されたのは
バラの形をしたサファイヤの指輪が――
「偶然に結衣と会うことができたら…そんな奇跡が叶ったら、この部屋でこの指輪でプロポーズをしようとずっと考えていた。」
「……私のこと好きなんですか?私は奥様の結衣さんじゃないですよ。」
「宮園結衣が好きだ。愛している。」
「私のこと…忘れたんじゃないんですか?」
「忘れるわけがない……あの時は…」
「やっぱり…」
「え?」
「私のことを想ってくれたんですよね?嘘…ついていたの気づいていました。三島さん嘘をつくとき、まばたきを2回するんです。」
「そうなのか……」
「だから……さっきの私のことが好きだっていうのも嘘じゃないってわかります……っ」
「結衣……」
「私もずっと三島さんのこと想っていました。」
完璧な三島らしく
指輪のサイズはピッタリだった。
夢見てた左手の薬指の指輪。
昔、一度だけティッシュで指輪を作ったことがある。
三島みたいに私も指輪をはめたいと願っていたから。
「でも、今は“夢かなう”の意味もありますよね。」
「はい、そうです。お詳しいんです……ね。」
顔を上げた瞬間、息が、時間が止まったと思った。
ずっと会いたいと願っていた人が
今目の前にいるだなんて……。
「三島さん……?」
「結衣……」
「どうして……っ」
言いたいこと、聞きたいこともたくさんあったけど
言葉より涙が出てきて……話せなかった。
「私にとっても青いバラは結衣だった。」
「え……?」
「こんな風に会うのは不可能だと……青いバラが私たちを引き合わせてくれたから、だから、この研究所に興味を持って今日はきたんだ。」
私も年を取ったけど
三島も年を取っていた。
もう50代……昔の三島では想像つかなかっただろう。
三島の瞳にはうっすらと涙が浮かんでいる。
あの冷たそうな瞳はもうない。
目尻にも皺があって
髪の毛もだいぶグレーになっている。
「結衣……」
でも、名前を愛おしそうに呼ぶ声と
ちょっと冷たいこの指先は変わらない。
その指先にはもう結婚指輪はない。
「ううっ……っ……」
気付いたら両手で力いっぱい三島を抱きしめていた。
三島も痛いぐらい力強く抱きしめてくれた。
「会いたかった……本当はすっごく会いたかった。だけど怖かった……」
「済まなかった結衣……長い間ごめん。」
「結衣、こっちへ来て。」
三島に言われるがままに車に乗り降りると着いたのは
逢瀬をかわしていたマンション
「このマンション……」
実は以前住んでいた県の隣に引っ越していたので
車ではすぐいける距離だった
「さぁ、結衣。」
「三島さん、あの……」
また、繰り返すの?
名もない関係をこのまま繰り返してしまうのだろうか。
「待ってください、私……」
三島に引っ張られて連れてこられた
以前と同じ部屋
でもそこは以前とは違う部屋になっていた。
「これ……」
以前はベッドが一つ
生活空間が全くなく
いかにもヤルだけの部屋だった。
それが、ソファがあってテレビがあって
生活空間がある部屋になっていた。
「この部屋を……どうしても手放せなかった。私には思い出がいっぱい詰まっていたから。」
「三島さん……」
「今ここに住んでいるんだ。」
「三島さんの部屋……?」
以前はホテルかこの部屋で出会っていたから
三島の部屋なんか入ったことがないというか
どこに家があるかも知らなかった。
「結衣、これを……」
跪いた三島から差し出されたのは
バラの形をしたサファイヤの指輪が――
「偶然に結衣と会うことができたら…そんな奇跡が叶ったら、この部屋でこの指輪でプロポーズをしようとずっと考えていた。」
「……私のこと好きなんですか?私は奥様の結衣さんじゃないですよ。」
「宮園結衣が好きだ。愛している。」
「私のこと…忘れたんじゃないんですか?」
「忘れるわけがない……あの時は…」
「やっぱり…」
「え?」
「私のことを想ってくれたんですよね?嘘…ついていたの気づいていました。三島さん嘘をつくとき、まばたきを2回するんです。」
「そうなのか……」
「だから……さっきの私のことが好きだっていうのも嘘じゃないってわかります……っ」
「結衣……」
「私もずっと三島さんのこと想っていました。」
完璧な三島らしく
指輪のサイズはピッタリだった。
夢見てた左手の薬指の指輪。
昔、一度だけティッシュで指輪を作ったことがある。
三島みたいに私も指輪をはめたいと願っていたから。
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