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甘くて酸っぱい苺のような恋愛
カノンさん
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「今日は定時だぁぁ!!」
いつも凛が翔に質問して翔の仕事が花音に回ってきたが、今日は凛は里香に質問したり、自分で頑張っていて翔の仕事が回ってこなかった。
「早く帰って何しようかな~」
ルンルン気分で会社から出ようとすると久しぶりな人を見かけた。
「カノンさん…」
「花音ちゃん…久しぶり。」
同じ会社だけど課も違うこともあってすれ違うことさえなかった。
「…あれ?」
カノンは社員証ではなく『visitor』の文字が書かれている名札を下げている。
「え…カノンさん…」
「…うん。今日は荷物を受け取りにきたんだ。」
「いつ辞めたの…?転職するの?」
「…花音ちゃん今時間ある?」
「え?うん…」
昔はどこかピリピリとした雰囲気があったカノンだったが、今はニコッと微笑みながら話しかける優しい雰囲気になっていた。
会社の近くの公園のベンチに二人で腰掛ける。
「ここ…」
翔君とカノンさんが付き合った場所でもあり
私にとっては失恋の場所でもあるベンチ――
「私…結婚するんだ。」
「…え…えぇぇ!?」
まさかこのベンチで今度はカノンから結婚の話を振られるなんてあの時想像できただろうか・・・
「おめでとう…おめでとう、カノンさん!」
「でもどうして会社…」
「…北海道に行くの。それでプロポーズされて。」
「そうなんだ…どんな人?」
「優しいよ。高校の同級生で同窓会で再会して…私の失恋の話も聞いてくれて…」
「そっか…」
「花音ちゃんは?結婚は?」
「え!?いやいやまだ付き合ってそんなに日が経っていないし…いつかはしたいけど…」
「でも私達は付き合ってなかったよ。」
「え!?付き合ってないのに!?」
「再会してご飯は何度か食べたけど…彼も急に転勤が決まって…でも彼のこと昔から知っていたしさ。花音ちゃんと翔君だってお互いのことよく知ってるじゃん。」
「そうだけど…結婚か~北海道とか知らない土地についていくなんてすごいよ!」
「私に比べたら花音ちゃんのほうがすごいじゃない。」
「え?私?」
「アメリカについていくんでしょ?」
「アメリカ…え…?翔君が?」
「え…」
花音は知っているとばかり思っていたらしく、花音の意外な反応にカノンも戸惑う。
「人事部で翔君何度か見かけて…アメリカに行くから会社を辞めるって…」
「会社も…?何で…」
「私も詳しい話は聞いていないけど…」
どうして…どうして私に相談してくれなかったんだろう…
会社を辞めることも
アメリカに行ってしまうことも――
「海外ってなると…花音ちゃんに言いにくかったんじゃない?」
「え…?」
「だって花音ちゃんお母さんと暮らしているんでしょ?私だって国内だけど片親の母親のこと迷ったよ…親は親、子は子ってわかっているけど…それでも心配だもん。」
「…」
たしかに翔君にアメリカについてきてほしいって言われても正直お母さんのことは気になる
翔君は翔君なりに言いにくかったのかもしれない
「もしかして…」
「ん?」
「翔君が私に話さなかったのって別れたいのかな…」
「まさか!違うよ違う!ただ人生で大事なことだから…ほら、大好きな人ほどいえないことってあるじゃん。」
悪い方向へと考えが進んでいく花音にカノンが慌ててフォローする。
「ごめんね…そうだよね。なんかびっくりしちゃって変な方に考えちゃう。」
「そうだよ。今日はもう早く寝て気持ち落ち着かせて。明日また翔君と話してみて。」
翔君はアメリカに本当にいってしまうの・・・?
すぐ帰ってくるの?それとも永住してしまうの?
私は…待っていればいいの?
翔君に聞きたい言葉はたくさん浮かぶけど
どの言葉も別れの言葉を言われるんじゃないかと思うと
不安になって言えなくなるよ…
いつも凛が翔に質問して翔の仕事が花音に回ってきたが、今日は凛は里香に質問したり、自分で頑張っていて翔の仕事が回ってこなかった。
「早く帰って何しようかな~」
ルンルン気分で会社から出ようとすると久しぶりな人を見かけた。
「カノンさん…」
「花音ちゃん…久しぶり。」
同じ会社だけど課も違うこともあってすれ違うことさえなかった。
「…あれ?」
カノンは社員証ではなく『visitor』の文字が書かれている名札を下げている。
「え…カノンさん…」
「…うん。今日は荷物を受け取りにきたんだ。」
「いつ辞めたの…?転職するの?」
「…花音ちゃん今時間ある?」
「え?うん…」
昔はどこかピリピリとした雰囲気があったカノンだったが、今はニコッと微笑みながら話しかける優しい雰囲気になっていた。
会社の近くの公園のベンチに二人で腰掛ける。
「ここ…」
翔君とカノンさんが付き合った場所でもあり
私にとっては失恋の場所でもあるベンチ――
「私…結婚するんだ。」
「…え…えぇぇ!?」
まさかこのベンチで今度はカノンから結婚の話を振られるなんてあの時想像できただろうか・・・
「おめでとう…おめでとう、カノンさん!」
「でもどうして会社…」
「…北海道に行くの。それでプロポーズされて。」
「そうなんだ…どんな人?」
「優しいよ。高校の同級生で同窓会で再会して…私の失恋の話も聞いてくれて…」
「そっか…」
「花音ちゃんは?結婚は?」
「え!?いやいやまだ付き合ってそんなに日が経っていないし…いつかはしたいけど…」
「でも私達は付き合ってなかったよ。」
「え!?付き合ってないのに!?」
「再会してご飯は何度か食べたけど…彼も急に転勤が決まって…でも彼のこと昔から知っていたしさ。花音ちゃんと翔君だってお互いのことよく知ってるじゃん。」
「そうだけど…結婚か~北海道とか知らない土地についていくなんてすごいよ!」
「私に比べたら花音ちゃんのほうがすごいじゃない。」
「え?私?」
「アメリカについていくんでしょ?」
「アメリカ…え…?翔君が?」
「え…」
花音は知っているとばかり思っていたらしく、花音の意外な反応にカノンも戸惑う。
「人事部で翔君何度か見かけて…アメリカに行くから会社を辞めるって…」
「会社も…?何で…」
「私も詳しい話は聞いていないけど…」
どうして…どうして私に相談してくれなかったんだろう…
会社を辞めることも
アメリカに行ってしまうことも――
「海外ってなると…花音ちゃんに言いにくかったんじゃない?」
「え…?」
「だって花音ちゃんお母さんと暮らしているんでしょ?私だって国内だけど片親の母親のこと迷ったよ…親は親、子は子ってわかっているけど…それでも心配だもん。」
「…」
たしかに翔君にアメリカについてきてほしいって言われても正直お母さんのことは気になる
翔君は翔君なりに言いにくかったのかもしれない
「もしかして…」
「ん?」
「翔君が私に話さなかったのって別れたいのかな…」
「まさか!違うよ違う!ただ人生で大事なことだから…ほら、大好きな人ほどいえないことってあるじゃん。」
悪い方向へと考えが進んでいく花音にカノンが慌ててフォローする。
「ごめんね…そうだよね。なんかびっくりしちゃって変な方に考えちゃう。」
「そうだよ。今日はもう早く寝て気持ち落ち着かせて。明日また翔君と話してみて。」
翔君はアメリカに本当にいってしまうの・・・?
すぐ帰ってくるの?それとも永住してしまうの?
私は…待っていればいいの?
翔君に聞きたい言葉はたくさん浮かぶけど
どの言葉も別れの言葉を言われるんじゃないかと思うと
不安になって言えなくなるよ…
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