初恋の人。

かのん

文字の大きさ
63 / 105

花音の答え

しおりを挟む



「花音!こっち!」






















「海斗君…」


















「こっちこっち!来てくれてよかった~はい、座って。」



「海斗君、あの――」



「花音、お誕生日おめでとう。」



「あ、ありがとう…」



「これ誕生日ケーキ。」



花音の目の前にはイチゴが乗ったショートケーキが置かれていた。



「ショートケーキ…」



まるで幼稚園の頃を思い出すようなショートケーキが…



「花音、誕生日プレゼントがあるから目をつぶってくれる?」



「あ、うん…」



花音が自分の目を手で隠す。



「はい、いいよ。」



花音が目をあけると目の前には――



「イチゴが…」



ショートケーキに乗っていたイチゴが無くなっていた。



海斗を見ると口がもごもごと動いている。



この光景、幼稚園の頃にも――




「花音…俺はさ、花音に大好きなイチゴをあげれないんだ…」



「え…?」



俺は花音に大好きなイチゴも



大好きな笑顔を引き出すこともできない…



花音の今日の表情を見てすぐわかった



俺に別れを言うためにきたんだって――



今にも泣きそうな表情だったから…



花音が言いにくいのなら、俺が背中を押してやるんだ


















それが俺の…花音への誕生日プレゼント――



















「イチゴをくれる…翔のところにいきなよ!」



「海斗君…ごめんなさい…」



「…初恋より二番目の恋のほうが幸せになれるっていうからさ、俺はそっちの道をとるよ。だけど花音はさ…」



目に涙をいっぱい溜めている花音の手を海斗が両手で握ってくる。



「初恋でも幸せになれるって俺に証明してみせてよ。」



海斗の目は優しいけどまっすぐで嘘偽りのない目をしていた。



本当に私のこと応援してくれているんだ…



「花音に出会って恋をして…俺こんなにも人のために何かができるんだって新しい自分を知れた。優しい気持ちにもなれて…だから花音の誕生日をこうやって一緒に過ごせて嬉しかった。産まれてきてくれて、ありがとう。」



「うぅ…」



「わぁ!泣くなよ!な?」



「…ッ…」



「これで最後なんだから、花音の笑顔で別れよう。」



「…うん。」



花音がゆっくりと顔をあげると海斗は優しそうに笑っているけど…



左目の端が光っているようにも見えた。



その表情をみたら、また顔を下げてしまった…



こんなにも自分のことを思ってくれてくれる人をどうして好きになれなかったんだろう――



“ギュッ…”



握っていた手を海斗が力をいれて握ってきた。



言葉はなかったけど



だけど俺は大丈夫だよって言われているようだった。



せめて最後は海斗君の希望通り笑顔で別れを――
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

私の息子を“愛人の子の下”にすると言った夫へ──その瞬間、正妻の役目は終わりました

放浪人
恋愛
政略結婚で伯爵家に嫁いだ侯爵令嬢リディアは、愛のない夫婦関係を「正妻の務め」と割り切り、赤字だらけの領地を立て直してきた。帳簿を整え、税の徴収を正し、交易路を広げ、収穫が不安定な年には備蓄を回す――伯爵家の体裁を保ってきたのは、いつも彼女の実務だった。 だがある日、夫オスヴァルドが屋敷に連れ帰ったのは“幼馴染”の女とその息子。 「彼女は可哀想なんだ」 「この子を跡取りにする」 そして人前で、平然と言い放つ。 ――「君の息子は、愛人の子の“下”で学べばいい」 その瞬間、リディアの中で何かが静かに終わった。怒鳴らない。泣かない。微笑みすら崩さない。 「承知しました。では――正妻の役目は終わりましたね」

幼馴染

ざっく
恋愛
私にはすごくよくできた幼馴染がいる。格好良くて優しくて。だけど、彼らはもう一人の幼馴染の女の子に夢中なのだ。私だって、もう彼らの世話をさせられるのはうんざりした。

【R18】幼馴染がイケメン過ぎる

ケセラセラ
恋愛
双子の兄弟、陽介と宗介は一卵性の双子でイケメンのお隣さん一つ上。真斗もお隣さんの同級生でイケメン。 幼稚園の頃からずっと仲良しで4人で遊んでいたけど、大学生にもなり他にもお友達や彼氏が欲しいと思うようになった主人公の吉本 華。 幼馴染の関係は壊したくないのに、3人はそうは思ってないようで。 関係が変わる時、歯車が大きく動き出す。

思い出さなければ良かったのに

田沢みん
恋愛
「お前の29歳の誕生日には絶対に帰って来るから」そう言い残して3年後、彼は私の誕生日に帰って来た。 大事なことを忘れたまま。 *本編完結済。不定期で番外編を更新中です。

里帰りをしていたら離婚届が送られてきたので今から様子を見に行ってきます

結城芙由奈@コミカライズ連載中
恋愛
<離婚届?納得いかないので今から内密に帰ります> 政略結婚で2年もの間「白い結婚」を続ける最中、妹の出産祝いで里帰りしていると突然届いた離婚届。あまりに理不尽で到底受け入れられないので内緒で帰ってみた結果・・・? ※「カクヨム」「小説家になろう」にも投稿しています

いちばん好きな人…

麻実
恋愛
夫の裏切りを知った妻は 自分もまた・・・。

フッてくれてありがとう

nanahi
恋愛
【25th Anniversary CUP】にて、最終ランキング3位に入りました。投票してくださった皆様、読んでくださった皆様、ありがとうございました! 「子どもができたんだ」 ある冬の25日、突然、彼が私に告げた。 「誰の」 私の短い問いにあなたは、しばらく無言だった。 でも私は知っている。 大学生時代の元カノだ。 「じゃあ。元気で」 彼からは謝罪の一言さえなかった。 下を向き、私はひたすら涙を流した。 それから二年後、私は偶然、元彼と再会する。 過去とは全く変わった私と出会って、元彼はふたたび──

離した手の温もり

橘 凛子
恋愛
3年前、未来を誓った君を置いて、私は夢を追いかけた。キャリアを優先した私に、君と会う資格なんてないのかもしれない。それでも、あの日の選択をずっと後悔している。そして今、私はあの場所へ帰ってきた。もう一度、君に会いたい。ただ、ごめんなさいと伝えたい。それだけでいい。それ以上の願いは、もう抱けないから。

処理中です...