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デート③
しおりを挟む「竹下様、お誕生日おめでとうございます。」
「え…海斗君お誕生日だったの…?」
「あ…すみません、てっきり…」
「いいのいいの。ありがとう覚えてくれていて。支配人にそう伝えておいてください。」
「どうしよう…私お財布もないし…」
「いいよ。」
「でも…何かほしいものある?」
「俺別に今日誕生日だっていうつもりはなかったんだ。ただこうやって花音と笑ったり、ご飯食べたりしたかっただけ。」
「欲しいもの…それはやっぱり花音かな。」
「私…?」
「厳密に言うと花音の心…お金で買えないから。」
「海斗君…」
「…今日はこうやってそばにいてよ。それだけでいいからさ。」
注がれたグラスを持ち上げ海斗が花音のグラスに近づけてきた。
「…わかった…あ、ちょっと待って、コホン!」
花音が椅子を座り直し、海斗の目を見つめる。
「海斗君、お誕生日おめでとうございます。」
「…ありがとう。」
「えっと…幼稚園で出会って25年の月日をへて再会して…あの頃の海斗君と全然違って驚きました。」
「ははッ…」
「海斗君がいてくれて…精神的にも救われました。今日も楽しかったし…」
花音が話すのを嬉しそうに海斗は聞いていた。
「産まれてきてくれてありがとう、海斗君。」
自分は産まれてはきてはいけない子だってずっと思っていた
だってずっと虐待されて
邪険にされて
殴られ、蹴られ、言葉の暴力…
だけどこんな自分でも誰かのために役に立っていて
こんな俺でも生きていてもいいんだ――
「海斗君…?」
「あ…ごめん、嬉しくて…ありがとう。」
ずっと親に言ってもらいたかった言葉を
誕生日に好きな人に言ってもらえて
幸せだ――
「乾杯――」
たとえ花音が俺に100%気持ちが向いていなくても――
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