初恋の人。

かのん

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ベッドの中②

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翔が車から降りてきて、ドアを叩く花音の腕をつかんだ。



「でも…」



「もう寝てるよ。それに近所迷惑になるって。」



「確かに…」



二人は車に戻ってもう一度かばんの中を探してみた。



「やっぱりない…ホテルに泊まる。」



「今から探すの?」



「…」












「俺んち来いよ。」









「え…いやでもカノンさんに悪いから…」



「…じゃあどうすんの?」



「会社で寝泊りする。」



「会社も閉まってるよ。」



「そう…だよね。」



翔はサイドブレーキを踏んでシフトチェンジして車を発進させる。



「どこ行くの?」



「俺んち。俺疲れてるから早く寝たいんだよ。前泊まったことあるだし大丈夫だろ?」



「いや…」



前は酔っ払って寝てたから記憶にないし…



「てかもう着いたから。」



「えぇ!?」



ち、近い…もうこのままお邪魔する流れなの?



でも二人きりのチャンスなわけだし告白するなら今日なんじゃ!?



「お、お邪魔します。」



「どうぞ。」



以前入った時は部屋は綺麗にしていたが、今日も綺麗だった。



「いつも部屋綺麗だよね…」



「そう?あ、俺先に風呂入っていい?」



「どうぞ、どうぞ。」



花音は着替えの下着がないことに気づいた。



「あの、翔君!」



脱衣所にいる翔に声をかけてみる。



「どうした!?」



「キャアァァ!!」



「え!?」



翔が上半身裸で出てきたので花音は目のやり場がなくて蹲った。



「服、服!!」



「上半身裸なだけだよ…でどうした?」



「ちょっとコンビニ行ってきてもいい?」



「あぁ、なんだ…わかった。一緒に行こうか?」



「いい!一人で行きたいから…」



「気をつけていけよ。」



“ガラガラガラッ…”



翔が脱衣所に戻ったのを確認して花音はゆっくりと立ち上がる。



男の人の体なんてみたことがない花音にとっては衝撃が強かった。



あぁ…もうドキドキした…



翔君の裸なんて幼稚園の頃でストップしているから…



あんな…程よくついた筋肉の胸板に腹筋も割れて…



キャーーー!!!



“ガチャッ”



冷たい風にあたりたくて勢いよくドアをあけた。



鍵のことなんて考える余裕がないぐらい自分のことで精一杯で――



「顔…熱い…」



自分でもわかるぐらい顔は真っ赤だった。



熱くて熱くて仕方なかった――



コンビニに行ってとりあえずパンツだけ買った。



「あ、ビール…」



泊まらせてもらうお礼にビールを買っておこうかな…



ビールと朝食用のパンも買って翔の家に帰った。



「ただいま~」



翔はまだお風呂に入っているようでシャワーの音が聞こえてきた。



正座して座って1ルームの翔の部屋をキョロキョロと見てみると、飛行機や鳥の本や模型がたくさんあった。



「綺麗に整理整頓されているな~あ…」



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