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デート⑥
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「百合……?」
「やっぱりそうだ、久しぶり~元気だった?」
「う、うん……」
「ママ~だあれ?」
「この子、私の子供なの。今4歳。ママの高校のお友達だよ」
「ちあき、4さい!」
「千晶ちゃん?」
「……どうかした?」
「ううん、何でもない」
「その人は……?」
「あ……会社の後輩だよ」
「初めまして~お邪魔してごめんなさい」
「いえ……」
愛莉さんの高校生の同級生か。
子供がいても綺麗なママって感じだけど
このぐいぐい来る感じが何だか苦手だ。
「あ、主人を待たせているから、またね」
「うん。千晶ちゃんもまたね」
「ばいばーい!」
2人が去っていくのと同時にお店に入れたけど
愛莉さんの表情がどんどん暗くなっていくのがわかる。
一体どうしたんだろう……?
「崇君は……」
「え?」
「何にするか決めた?なんかどれも美味しそうだね~あ、パフェも最後に食べたいな。パスタかピザもどっちにしようかな~」
何だか無理に話している感じが
凄く伝わってくる。
愛想笑いまでしちゃって……
「無理しないでよ」
「え?」
「顔に書いてある」
「……」
「あの人となんかあったの?」
「私と別れたあと、付き合ってたって聞いた」
あぁ、旦那の元カノか。
綺麗な人だったけど
愛莉さんと比べると結構タイプ違うんだな。
「で?」
「それで……昨日寝言で百合って……付き合っていたのはずっと昔なはずなのに」
「で、焼きもち妬いているわけだ」
「焼きもち……?」
やっぱ結局旦那のことが好きなんだな
まぁそりゃそうだよな、結婚しているわけだし。
「焼きもちっていうか……うまく説明できないけど、女の勘っていうの?なんか感じるの。あの二人には何かあるって……」
「でも、あの人今結婚しているんだよね?」
「結婚しているみたいだね……子供もいたし」
「それなら、少しは安心してもいいかもしれないよ」
「……そう……だよね」
この時は、あまり余計な心配はさせたくなくて
こういう風に言ってしまったけど
今となれば、この時もっと愛莉さんの話を聞いてあげればよかった。
愛莉さんは本当は確信していたんだ。
俺に言えなかっただけで……
ご飯食べている時に
何を話したか覚えていない。
愛莉さんとやっとこうやって
デートみたいなことをしているのに
何でか……目の前にいる愛莉さんが
遠くに感じた。
「お店美味しかったね。じゃあ、また会社で……」
そう言って帰る愛莉さんを引き止めたかった。
だけど、愛莉さんを引き止めてどうする?
愛莉さんが結婚している限り
一歩を踏み込んだら、愛莉さんにも迷惑がかかる。
「パパー!」
愛莉さんと別れたあと
反対側の道路で千晶ちゃんが男性に飛びついている。
あの人がお父さんだったのか……
隣で旦那さんの元カノも幸せそうに笑っている。
愛莉さんもきっと
こういう幸せな家庭を
ただただ築きたかっただけなんだろう。
旦那さんより早く出会っていれば……
そういったって何も始まらないのに
そう願わずにはいられなかった。
「やっぱりそうだ、久しぶり~元気だった?」
「う、うん……」
「ママ~だあれ?」
「この子、私の子供なの。今4歳。ママの高校のお友達だよ」
「ちあき、4さい!」
「千晶ちゃん?」
「……どうかした?」
「ううん、何でもない」
「その人は……?」
「あ……会社の後輩だよ」
「初めまして~お邪魔してごめんなさい」
「いえ……」
愛莉さんの高校生の同級生か。
子供がいても綺麗なママって感じだけど
このぐいぐい来る感じが何だか苦手だ。
「あ、主人を待たせているから、またね」
「うん。千晶ちゃんもまたね」
「ばいばーい!」
2人が去っていくのと同時にお店に入れたけど
愛莉さんの表情がどんどん暗くなっていくのがわかる。
一体どうしたんだろう……?
「崇君は……」
「え?」
「何にするか決めた?なんかどれも美味しそうだね~あ、パフェも最後に食べたいな。パスタかピザもどっちにしようかな~」
何だか無理に話している感じが
凄く伝わってくる。
愛想笑いまでしちゃって……
「無理しないでよ」
「え?」
「顔に書いてある」
「……」
「あの人となんかあったの?」
「私と別れたあと、付き合ってたって聞いた」
あぁ、旦那の元カノか。
綺麗な人だったけど
愛莉さんと比べると結構タイプ違うんだな。
「で?」
「それで……昨日寝言で百合って……付き合っていたのはずっと昔なはずなのに」
「で、焼きもち妬いているわけだ」
「焼きもち……?」
やっぱ結局旦那のことが好きなんだな
まぁそりゃそうだよな、結婚しているわけだし。
「焼きもちっていうか……うまく説明できないけど、女の勘っていうの?なんか感じるの。あの二人には何かあるって……」
「でも、あの人今結婚しているんだよね?」
「結婚しているみたいだね……子供もいたし」
「それなら、少しは安心してもいいかもしれないよ」
「……そう……だよね」
この時は、あまり余計な心配はさせたくなくて
こういう風に言ってしまったけど
今となれば、この時もっと愛莉さんの話を聞いてあげればよかった。
愛莉さんは本当は確信していたんだ。
俺に言えなかっただけで……
ご飯食べている時に
何を話したか覚えていない。
愛莉さんとやっとこうやって
デートみたいなことをしているのに
何でか……目の前にいる愛莉さんが
遠くに感じた。
「お店美味しかったね。じゃあ、また会社で……」
そう言って帰る愛莉さんを引き止めたかった。
だけど、愛莉さんを引き止めてどうする?
愛莉さんが結婚している限り
一歩を踏み込んだら、愛莉さんにも迷惑がかかる。
「パパー!」
愛莉さんと別れたあと
反対側の道路で千晶ちゃんが男性に飛びついている。
あの人がお父さんだったのか……
隣で旦那さんの元カノも幸せそうに笑っている。
愛莉さんもきっと
こういう幸せな家庭を
ただただ築きたかっただけなんだろう。
旦那さんより早く出会っていれば……
そういったって何も始まらないのに
そう願わずにはいられなかった。
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