妻×恋

かのん

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揺れる心②

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「ありがとう……本田君は、意外に優しいんだね」


「意外って……俺のことどう思ってたの?」


「う~ん、冷たい感じだと思っていた。勝手な想像だけど」


「ふ~ん……合っているんじゃない?冷たいって結構言われるし」


「冷たくないよ……今日だってこうやってきてくれたし、ペットボトルも開けてくれるし」


「……」


「ん?どうしたの?」


急に黙ったので顔を覗き込んでみると
崇君は真っ赤に照れていた。


「無意識だった」


「え?」


「無意識でしてた、そういうこと」


「本田君……」


クールだと思っていたけど
本当は優しくて照れ屋で
私に対してストレートに気持ちをぶつけてくれる本田君が何だか……


可愛い。




「また……本田君呼びだし……」


「え?ごめん、中々慣れなくて……」


「べつにいいけどさ…食べ終わったら早く手伝って」


「あ、ごめん!」


結局ご飯を食べ終わった後も
崇君はもくもくと袋詰めを手伝ってくれた。


「この仕事……」


「え?」


「本当に好きなんだね」


「どうして?」


「大事に包んでいるから」


「これを手に取った人の人生が変わるんだと思ったら……大事にしたいの」


「どういうこと?」


「嫌なことがあっても、綺麗な下着を着ていたら気分上がるんだよね。人には見えなくても……それに大好きな人の前で着るのも、その人が勇気を出して着るのであれば、応援できますようにって心こめてる。私の分も頑張ってくださいって……」


「私の分もって……離婚するの?」


「それは……分からない。まだ、そこまで気持ちが追い付いていない。だけど、このままもよくないのは分かっている」



「ふ~ん……」


「ごめんね、こんな話…あ、もうすぐ終わりそう。本田君が手伝ってくれたからだよ。ありがとう!」


「これ終わったら、家に帰るの?」


「うん……終電間に合わなかったらタクシーで家に帰るよ」


「……家まで送る」


「え?いいよ、大丈夫だよ。ありがとう」


「ここまで車で来たから。今日は金曜日なんだからタクシーもつかまらないよ」


「そうだね……じゃあお願いしてもいい?」


「うん……」


会社の人間とはいえ、男性と車という密室で2人っきり。
正直戸惑いはあった。
後ろめたさもあった。
雅人が…逆の立場だったら、私は嫌だなって思ってしまう。


でも今は……雅人にも
嫌な思いをさせたい。


「本田君、本当に今日はありがとう。助かったよ!おかげで日付が変わる前に終わって……しかも送ってもらえるなんて」


「明日の約束覚えているか心配だったから」


「え?」


「ほら、忘れてる。明日デートしようって言ったのに」


「デート……?あぁ!シャツの買い出しね」


「買い出しって……」
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