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セックスレス
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「孫の顔はいつ見せてくれるのかしら?」
いつもアポなしで訪問してくる姑。
そして、部屋に入ってから開口一番はこのセリフ。
もう、5年聞いてきた。
「そうですね。」
「そうですねってあなた!自分のことでしょう。」
ご機嫌ななめになっても
まだまだ帰らない姑。
出されたお茶菓子を食べ終わるまでいつも家に帰らない。
お茶菓子を出さなきゃいいんだろうが
出さないとそれはそれで色々と文句を言ってくる。
なので、まだ子供のことを色々言われるほうが
気が楽なのだ。
だって……
あなたの息子さんと
子作りしていませんから。
心の中でそうつぶやいていることを
この人は知らない。
「聞いているの?まったくあなたって人は!」
フルタイムの仕事を終えて帰って来て
何もしたくないのに
姑の話なんて聞いているはずがない。
自分でいれたブラックコーヒーを飲んで気持ちを落ち着かせた。
「カフェインとか飲まないほうがいいんじゃないの?だから、子供ができないのよ!」
何だか色々と勘違いをしている姑に反論する気もない。
黙ったままコーヒーを飲んでいると
姑は私が相手をしてくれないから暇になり
勝手に帰って行った。
「お疲れ様、私……」
ベランダでタバコを吸いながら外の夜景を見る。
夫婦で共働きのフルタイムだから
それなりにお金はある。
子供もいない夫婦2人生活。
この夜景を見ながら
自分を労わってあげるのが、私の日課。
「そこにいたのか。」
「お帰りなさい、雅人。」
「俺にも火をくれ。」
夫の雅人もタバコを咥え、私のタバコの火に近づけてくる。
傍から見たら、私たち夫婦はどちらかというと
仲が良くみえるだろう。
お互いの頬が触れるか触れないかの距離。
昔は胸が高まったけど
今はこんな近くにいても
ドキドキしない。
心臓がキュウッとなると感覚が
どんな感じだったのか
忘れてしまった……。
「フゥ……しかし、禁煙が広まっているのに、俺たちはまだ喫煙者だな。」
「そうね……」
「お前はいつからタバコ吸っているんだっけ?」
「……いつからだろう。」
嘘。本当は覚えている。
本当は結婚して3年目から吸い始めた。
夫に子供を作る気がないことがわかったから。
ストレス発散にタバコを吸っている。
「お袋、また来ていたのか。」
「うん……」
「追い返せばいいのに。」
「そんなことできないよ。」
そんなことしたら……
思い込みの激しい姑は何をしでかすか分からない。
だから、家に招き、お茶とお菓子は出すが
あとは何もしない。
それをずっと繰り返している。
嫁として最低限のことはすると。
「あ、夕飯いまから作るから。」
「俺出かけるからいいよ。ついで外で食べてくるから。」
「え……」
「そのほうがお前も楽だろう。」
そうね、作る手間はなくなる。
だけど、それは買い物をする前に言ってほしかったし
家には今簡単にできるカップ麺とかのご飯もない。
結局つくらないといけないのだ、一人分のご飯のために。
いつもアポなしで訪問してくる姑。
そして、部屋に入ってから開口一番はこのセリフ。
もう、5年聞いてきた。
「そうですね。」
「そうですねってあなた!自分のことでしょう。」
ご機嫌ななめになっても
まだまだ帰らない姑。
出されたお茶菓子を食べ終わるまでいつも家に帰らない。
お茶菓子を出さなきゃいいんだろうが
出さないとそれはそれで色々と文句を言ってくる。
なので、まだ子供のことを色々言われるほうが
気が楽なのだ。
だって……
あなたの息子さんと
子作りしていませんから。
心の中でそうつぶやいていることを
この人は知らない。
「聞いているの?まったくあなたって人は!」
フルタイムの仕事を終えて帰って来て
何もしたくないのに
姑の話なんて聞いているはずがない。
自分でいれたブラックコーヒーを飲んで気持ちを落ち着かせた。
「カフェインとか飲まないほうがいいんじゃないの?だから、子供ができないのよ!」
何だか色々と勘違いをしている姑に反論する気もない。
黙ったままコーヒーを飲んでいると
姑は私が相手をしてくれないから暇になり
勝手に帰って行った。
「お疲れ様、私……」
ベランダでタバコを吸いながら外の夜景を見る。
夫婦で共働きのフルタイムだから
それなりにお金はある。
子供もいない夫婦2人生活。
この夜景を見ながら
自分を労わってあげるのが、私の日課。
「そこにいたのか。」
「お帰りなさい、雅人。」
「俺にも火をくれ。」
夫の雅人もタバコを咥え、私のタバコの火に近づけてくる。
傍から見たら、私たち夫婦はどちらかというと
仲が良くみえるだろう。
お互いの頬が触れるか触れないかの距離。
昔は胸が高まったけど
今はこんな近くにいても
ドキドキしない。
心臓がキュウッとなると感覚が
どんな感じだったのか
忘れてしまった……。
「フゥ……しかし、禁煙が広まっているのに、俺たちはまだ喫煙者だな。」
「そうね……」
「お前はいつからタバコ吸っているんだっけ?」
「……いつからだろう。」
嘘。本当は覚えている。
本当は結婚して3年目から吸い始めた。
夫に子供を作る気がないことがわかったから。
ストレス発散にタバコを吸っている。
「お袋、また来ていたのか。」
「うん……」
「追い返せばいいのに。」
「そんなことできないよ。」
そんなことしたら……
思い込みの激しい姑は何をしでかすか分からない。
だから、家に招き、お茶とお菓子は出すが
あとは何もしない。
それをずっと繰り返している。
嫁として最低限のことはすると。
「あ、夕飯いまから作るから。」
「俺出かけるからいいよ。ついで外で食べてくるから。」
「え……」
「そのほうがお前も楽だろう。」
そうね、作る手間はなくなる。
だけど、それは買い物をする前に言ってほしかったし
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結局つくらないといけないのだ、一人分のご飯のために。
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