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無計画なようで確実なモノ
25.狼か虎か
しおりを挟む驚いた事に写真は大人気となった。
目の前を通った親子連れが子供2人の写真を撮れと言ってきた。いや言語はわからないがそのようなことを言っている筈だ。そう思って涼は2人の子供を撮ると写真を渡す。1番困った事は写真がすぐに映し出されない事だったが、適当に振るフリをしていたら真似してきたのでどちらにせよ時間稼ぎにちょうどいい結果となった。
それを見ていた他の人間が綱引き状態で釣れていく。その機械はなんだと言われている気もしたが、清を見習って笑顔だけで人差し指を口に持って行くとかなりの確率で諦めてくれた。
女性1人が来ると見本を指差してそれが欲しい的なことを言ってきた。べつに何でもよかった涼はそれも売っていく、何故か2倍の金額を払ってくれた。数はわからないがコインから札に変わったのだ。地球と同じならば高くついたはず。
見本もなくなると寝たままの晫斗を撮る。一回許可は取るために起こしたがまた目を一瞬開けただけで寝てしまった。何度も起こすのは申し訳ないので勝手に写真を追加していく。
そもそも寝ているだけでも絵になる男なので涼は満足である。
ついに全種類の見本が売れたので、また自分の写真を適当取った。スマホなので自撮りは容易い。見知らぬ地で本人の意思とは関係ない自撮りになんだか笑えた。
また見本を置くと人影が近づいた。
「おっと、いらっしゃいませ」
どうせ言っても通じないのだが。
しかし、見上げたその光景に驚く。
でかい。その一言に尽きた。青い髪に青い目が異様に目立つ。眉一つ動かさないその顔で口だけが動いた。
「わるかるばるぬ?」
涼にはそう聞こえた。実際はもっと違う発音だろうがわからないものはわからない。やはり英語でも中国でもヒンディー語でも無い。少しは言語の知識があるがやはり物語の世界なのだろうか。
とりあえず相手の写真を撮って渡してみた。まだ残りはたくさんあるのでいらないと言われても見本にするだけだ。
男はじっと写真を見つめ今までの客と同じようにパタパタと動かした。実際は動かさなくてもいいのだが何も映らないと怒られては商売にならない。
「ばるぼりば?」
「うん、悪い。全然わかんねぇわ」
どうせ独り言なので涼の言葉も雑になる。それでも笑顔だけは絶やさなかった。別段怒られようが罵倒されようが涼が気にする範疇ではない。主人が心ゆくままに彼女達の元へ行ければいいのだから。
「……」
黙り込んだ男はまだ動かない。もう一度しっかり笑ってみた。
すると突然男が人差し指と中指だけを立てて、涼の額に向けた。思わず剣に腕がいく。
「涼、動くな」
いつのまにか起きていた晫斗の声に反射的に従った涼の目の前でその指から魔法陣が飛び出した。男が何かを唱えた時、突然聞き慣れた日本語を話し出した。
「お前たち、異世界人か?」
その通りとしか言いようがない。
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