オレの魂はいずれドラゴンかアイツに食われるらしいが死んだ後のことに興味はない。

仔犬

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7.あんまり深く考えてないから悩みも特に無い

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「2人っていつも一緒にいすぎよね」

そう言ったのは、同じ学部のサラだ。黒髪のショートヘアにセンスの良い服装。気前がよく男女共に好かれるタイプの彼女とはオレ達もよく話すことが多い。

「腐れ縁だから」

「とは言ってもさー、よく飲んでるし朝なんて一緒に来てツバサはレイガの服借りてるし」

「映画見に泊って、同じ服で学校来たくなかったんだよね」

レイガの服ってセンス良いし好きなんだけど幾分派手なのだ。だから借りたらすぐバレる。普段着ない系統なので似合う?と聞けばサラはジト目を返してきた。


「……その綺麗な顔だからキャッキャ言われてるけど、普通の顔だったらすでにホモ疑惑が出て晒し者になるはずよ」

「お前それその辺の普通の顔の奴に失礼だな!ま、おれらは確かにスペック高いとも!えっへん!」

全国の男子を敵に回したのにサラもレイガも気づいていない。周りの男子くんが居た堪れなさそうな顔してるけど、フォローなんてオレがしても意味がなさそうだから黙っておこう。

レイガは面白そうに笑いながらオレに後ろから抱きつく。周りの女子がどこかできゃあと悲鳴を上げた。不思議なことに黄色い悲鳴だ。


「いーじゃん別になんでも、どっちにしろツバサは俺がいないとダメだし」

「そうかなぁ」

面倒見の良いこいつに助けられていることは確かだが異様に構い過ぎなのはレイガの性質だ。自分の少しゆるい性格は自覚しているがそこまで言われると首をひねる。

サラは眉間にシワを寄せて小さな声で話す。

「その発言のせいでもあるけど……」

「レイガは面白がってんだよ」

それに存外どうでも良い噂だ。他人の評価になんて書かれても全てがどうだって良くて、自分の楽しいは自分で決める。オレはそんなことよりも今日も空を飛ぶドラゴンの方が重要だし。あ、目があった。今日もお前可愛いな。


「まーーーた、空見てる!この黄昏男子が!」

「癒されてんだから邪魔すんな」

「え、おれより空の方が大事なのか」

まじ……?と呟きながら大袈裟に一歩一歩離れるレイガ。うめき声が響いて体勢を低くする。

「この……浮気者おおお!」

物凄い綺麗なクラウチングスタートで駆け出したレイガはオレの荷物を持って行った。目立つなあいつ、全部が。

「席取っといてくれー」

「あんた達、わざとやってんの……?」

「さあ……?」

アイツのせいで今現在も他の生徒から注目されているけど、それよりも駆け出し様が面白かった方が気になる。

「アイツは賑やかしが好きなんだよきっと」

「それにしたって毎日飽きないわね……」


そう言えばレイガは昔からそうだ。オレに対して何でも諦めが悪い、よく言えば粘り強い。オレがどんなに適当でもアイツだけは最後までオレを諦めなかった。
何でだろ、何かしたのだろうか、そんな甲斐甲斐しくオレの面倒を見るような事が。それともオレがそれほど頼りなく見えるのだろうか、サラに聞いてみた。

「オレって頼りないか?」

「え、何よ突然……そうねぇ、ミステリアスでほっとけないらしいわよ、あの子達曰く」

後ろを指さしたサラ。
誰かも知らない女の子だったけど、他人評価はそんな感じか。目が合ってしまったので小さく笑って返したら顔を真っ赤にしてしまう。

「……あの子達が不憫ね。当の本人はこんなにも適当なのに」

「え、何もしてないよ。でも喜んでるなら夢を与えてるとも言う」

サラにゴミでも見るような目で見られた。
きっとこの眼差しが好きという人間も存在するのだから人間は面白い。

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