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我武者羅
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「あ、でもちゃんと来夏に許可っつうか報告しとこ、知秋スマホ貸して」
「は?」
「来夏に連絡するから」
寝起きで頭が追いついてない知秋の上で偉そう言って、手を差し出すと知秋は訳がわからない顔でそれでも枕元のスマホを探し手渡してくれた。
他のやつに連絡しようとするなとか言われる前に知秋にも見えるように知秋の胸板に背中を向けてくっつける。ようやくやろうとしている事が分かったのか知秋は何も言わず俺のお腹に手を回して肩に顎を乗せながらスマホを覗き込んだ。
あ、やばい、なんかこれ今日見た夢のせいで意識してしまう。つーかこいつ寝る時半裸だからそのせいだ。忘れろ、一旦忘れるんだ。
とにかく知秋のスマホから来夏を探す。
「あー、えーと、来夏どれだ?」
「その下……」
「これか!てゆか俺弁当今日作ってないし……」
しかも部屋には居なかったので俺に声もかけず朝早くに出かけたようだ。それは珍しい事なのでもしかしたら昨日俺が言った事を気にさせているのかもしれない。空気悪くしちゃったしな。
「……んー……弁当、作れなくてごめんな。夜は来夏の食いたいもんつくるよ!そしてタバコ吸います!すまん!!っと」
いつも通りの俺だ。
タバコも来夏が嫌ってのがわかるが俺は吸いたい、ので折衷案としては、たまに吸わせてってのが良いはず。
だからさらっと謝って書いておこう。今日は許してねって。
なんかきっとこう言うのが大事なのかも。何事もホウレンソウだろ。
それだけまで黙っていた知秋が俺の手元を見ながら少し不思議そうな声を出す。
「……なんだ、もう機嫌直ったわけか」
「昨日はごめんな」
振り向いたら知秋が面食らってて、おお……とか生返事が来た。なんかこいつら素直な俺に弱くてご機嫌斜めな方が慣れてないか。
ブーッとスマホが鳴ると来夏からの電話だった。
反応はや。
もちろん俺もすぐに通話ボタンを押す。
「もしもーし」
「……英羅?」
少し伺うような来夏の声。電話越しで声を聞くのってなんだか新鮮だ。
「おはよ。何も言わずに出るなんて珍しいな」
「よく寝てたから、ごめんね」
それはつまり覗きには来たって事だろうか。でも寝てたからって何も言わずに出ていかなくても、なんて思ったけど俺が空気悪くしたからだろう。
「昨日はごめん」
「……え!う、ううん。本当に、よく寝てたから」
来夏の驚いた声。
またこれだ。俺が不機嫌になったからメイラの面影が出て謝る訳ないとか思ってるのか。
あれ、そもそもだ、夢の中の2人はメイラがどんな態度でも気にも止めて無かった。メイラが自分を傷つけるような仕草を見せてもそこまで慌ててないのに、俺に対しては過敏過ぎないか?
「……英羅?」
「え、ああ、大丈夫!それでメールのタバコなんですけど……吸わせていただきますね」
ちょっとまた考え込みそうになって来夏の声でハッとする。今は一旦置いておいて、とにかく一応ここでも報告だ。
「……ビタミン」
「え?」
「ビタミン!取って!それから今日はパックもして食べ物は健康重視にしてくれないと嫌だ」
「わ、分かった分かった」
「あと、夜はオムライスが良い……」
「おっけ!」
最後が可愛くて思わず笑ってしまった。
来夏はちょっと怒ってるけど、プリプリというか可愛いもんだった。
その後は少し話してたら結局知秋が長いって不貞腐れ始めて切っちゃったけど、嫌な感じは一切ない。なんだか話したら頭の痛みも少し和らいで、気分も良くなる。
やっぱり何事も素直が1番だ。
こうして話すべきだったんじゃないか。
メイラ、お前もさ。
「は?」
「来夏に連絡するから」
寝起きで頭が追いついてない知秋の上で偉そう言って、手を差し出すと知秋は訳がわからない顔でそれでも枕元のスマホを探し手渡してくれた。
他のやつに連絡しようとするなとか言われる前に知秋にも見えるように知秋の胸板に背中を向けてくっつける。ようやくやろうとしている事が分かったのか知秋は何も言わず俺のお腹に手を回して肩に顎を乗せながらスマホを覗き込んだ。
あ、やばい、なんかこれ今日見た夢のせいで意識してしまう。つーかこいつ寝る時半裸だからそのせいだ。忘れろ、一旦忘れるんだ。
とにかく知秋のスマホから来夏を探す。
「あー、えーと、来夏どれだ?」
「その下……」
「これか!てゆか俺弁当今日作ってないし……」
しかも部屋には居なかったので俺に声もかけず朝早くに出かけたようだ。それは珍しい事なのでもしかしたら昨日俺が言った事を気にさせているのかもしれない。空気悪くしちゃったしな。
「……んー……弁当、作れなくてごめんな。夜は来夏の食いたいもんつくるよ!そしてタバコ吸います!すまん!!っと」
いつも通りの俺だ。
タバコも来夏が嫌ってのがわかるが俺は吸いたい、ので折衷案としては、たまに吸わせてってのが良いはず。
だからさらっと謝って書いておこう。今日は許してねって。
なんかきっとこう言うのが大事なのかも。何事もホウレンソウだろ。
それだけまで黙っていた知秋が俺の手元を見ながら少し不思議そうな声を出す。
「……なんだ、もう機嫌直ったわけか」
「昨日はごめんな」
振り向いたら知秋が面食らってて、おお……とか生返事が来た。なんかこいつら素直な俺に弱くてご機嫌斜めな方が慣れてないか。
ブーッとスマホが鳴ると来夏からの電話だった。
反応はや。
もちろん俺もすぐに通話ボタンを押す。
「もしもーし」
「……英羅?」
少し伺うような来夏の声。電話越しで声を聞くのってなんだか新鮮だ。
「おはよ。何も言わずに出るなんて珍しいな」
「よく寝てたから、ごめんね」
それはつまり覗きには来たって事だろうか。でも寝てたからって何も言わずに出ていかなくても、なんて思ったけど俺が空気悪くしたからだろう。
「昨日はごめん」
「……え!う、ううん。本当に、よく寝てたから」
来夏の驚いた声。
またこれだ。俺が不機嫌になったからメイラの面影が出て謝る訳ないとか思ってるのか。
あれ、そもそもだ、夢の中の2人はメイラがどんな態度でも気にも止めて無かった。メイラが自分を傷つけるような仕草を見せてもそこまで慌ててないのに、俺に対しては過敏過ぎないか?
「……英羅?」
「え、ああ、大丈夫!それでメールのタバコなんですけど……吸わせていただきますね」
ちょっとまた考え込みそうになって来夏の声でハッとする。今は一旦置いておいて、とにかく一応ここでも報告だ。
「……ビタミン」
「え?」
「ビタミン!取って!それから今日はパックもして食べ物は健康重視にしてくれないと嫌だ」
「わ、分かった分かった」
「あと、夜はオムライスが良い……」
「おっけ!」
最後が可愛くて思わず笑ってしまった。
来夏はちょっと怒ってるけど、プリプリというか可愛いもんだった。
その後は少し話してたら結局知秋が長いって不貞腐れ始めて切っちゃったけど、嫌な感じは一切ない。なんだか話したら頭の痛みも少し和らいで、気分も良くなる。
やっぱり何事も素直が1番だ。
こうして話すべきだったんじゃないか。
メイラ、お前もさ。
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